合成関数の微分公式と例題7問
合成関数の微分は(かたまりで微分)×(かたまりの微分)
合成関数を微分する方法を2通り紹介します。また,合成関数の微分について7つの例題を解説します。最後に公式の証明をします。
合成関数の微分公式1
合成関数の微分公式2
2つの方法の比較
簡単な例題
三角関数などの例題
難しい例題
証明
合成関数の微分公式1
が の関数で, が の関数であるとき, を で微分したものは以下のようになる:
この公式だけを見てもピンと来ないと思います。例題を見てみましょう。
を微分せよ。
とおくと となります。
このとき, を で微分すると ,
を で微分すると
となります。よって,求めたい微分は,合成関数の微分公式を使うと,
となります。
合成関数の微分公式2
上記の公式1に対して,具体的に二つの関数を , とおくと,以下のように書くこともできる:
をひとかたまりと見ると,
合成関数の微分かたまりで微分したもの()×かたまりの微分()とみなせます。
方法2でさきほどの例題を解いてみましょう。
を微分せよ。
方法2: をかたまりと見ます。
- かたまりで微分→
- かたまりの微分→
これらの積が答え。
2つの方法の比較
方法1「 を計算する」は,かたまりをいちいち とおいて計算するのでめんどうですが,確実です。また,公式も覚えやすく,初心者向けです。
一方,慣れたら方法2「(かたまりで微分)×(かたまりの微分)」の方が速いのでオススメです。
簡単な例題
ここからは合成関数の微分公式を使う例題をひたすらに紹介していきます!なお, や などを合成しているため定義域が複雑な物もありますが,全ての例題で「定義域の範囲内で微分せよ」と解釈してください。
まずは,ルートの入った合成関数です。
を微分せよ
方法1: とおくと である。このとき ,
よって,
方法2: をかたまりと見る。
かたまりで微分→
かたまりの微分→
これらの積が答え。
三角関数などの例題
ここから解答として方法2だけを載せておきます。
三角関数を含む合成関数の微分です。
を微分せよ
かたまりで微分→
かたまりの微分→
よって,答えは
次は対数関数と三角関数を合成したものです。
を微分せよ
かたまりで微分→
かたまりの微分→
よって答えは
次は指数関数とルートの合成です。
を微分せよ
かたまりで微分→
かたまりの微分→
よって答えは
難しい例題
次は3つの関数(対数関数,三角関数,多項式)を合成したものです。
を微分せよ
かたまりで微分→
かたまりの微分,つまり の微分にもう一度合成関数の微分を使う。これは例題3より
よって,答えは
最後に私が本気出して作った関数です。多分こんなのは出題されませんが練習にどうぞ。
以下の六個の関数を全てかけ合わせたものが答えになります!
証明
合成関数の微分公式の証明(説明)を3通り紹介します。
微分の定義より, の微分は
ここで,上式は のもとで以下のように変形できる:
ここで,1つめの分母 とおくと,
と変形できる。 のとき なので,上式の1つめの分数は となり2つめの分数は となる。
※ 1は証明としては不十分です。 のもとで考えましたが,厳密には が考えている付近で定数の場合も考える必要があります。
- をちょっと動かしたときに, がその何倍動くかを表すのが
- をちょっと動かしたときに, がその何倍動くかを表すのが
よって, をちょっと動かしたときに, は 倍動き,さらに はその 倍動くので,結局 は の 倍動く。
つまり,
を固定して考える。 の微分の定義より,
となる が存在する。同様に, の微分の定義より,
となる が存在する。
よって,
であり, とおくと,上式は
以上より,
となる が存在する。つまり, の微分係数は
例題7,かっこがゴチャゴチャしててすみませんm(__)m
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