合成関数の微分公式と例題7問

この記事では合成関数を微分する方法を2通り紹介します。合成関数の微分をマスターすれば y=(x2+3x+1)4y=(x^2+3x+1)^4 など複雑な関数も微分できます。例題7問と3通りの証明も解説します。

合成関数の微分公式

合成関数の微分公式

考え方1

合成関数を微分する方法1

yyuu の関数で,uuxx の関数であるとき,yyxx で微分したものは以下のようになる:

dydx=dydududx\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{dy}{du}\dfrac{du}{dx}

この公式だけを見てもピンと来ないと思います。例題を見てみましょう。

例題1

y=(x2+3x+1)4y=(x^2+3x+1)^4 を微分せよ。

解答

u=x2+3x+1u=x^2+3x+1 とおくと y=u4y=u^4 となる。

このとき,uuxx で微分すると dudx=2x+3\dfrac{du}{dx}=2x+3

yyuu で微分すると dydu=4u3\dfrac{dy}{du}=4u^3

よって,求めたい微分は,合成関数の微分公式を使うと,

dydx=dydududx=4u3(2x+3)=4(x2+3x+1)3(2x+3)\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{dy}{du}\dfrac{du}{dx}\\ =4u^3(2x+3)\\=4(x^2+3x+1)^3(2x+3)

考え方2

合成関数を微分する方法2

上記の方法1で述べた公式に対して,具体的に二つの関数を u=g(x)u=g(x)y=f(u)y=f(u) とおくと,以下のように書くこともできる:

{f(g(x))}=f(g(x))g(x)\{f(g(x))\}'=f'(g(x))g'(x)

g(x)g(x) をひとかたまりと見ると,

合成関数の微分==かたまりで微分したもの(=f(g(x))=f'(g(x)))×かたまりの微分(=g(x)=g'(x)とみなせます。

方法2でさきほどの例題を解いてみましょう。

例題1

y=(x2+3x+1)4y=(x^2+3x+1)^4 を微分せよ。

方法2による解答

x2+3x+1x^2+3x+1 をかたまりと見る。

  • かたまりで微分→ 4(x2+3x+1)34(x^2+3x+1)^3
  • かたまりの微分→ 2x+32x+3

これらの積が答え。

2つの方法の比較

方法1「dydududx\dfrac{dy}{du}\dfrac{du}{dx} を計算する」は,かたまりをいちいち uu とおいて計算するのでめんどうですが確実です。また,公式も覚えやすいので初心者向けです。

一方,慣れたら方法2「(かたまりで微分)×(かたまりの微分)」の方が速いのでオススメです。

例題と練習問題

ここからは合成関数の微分公式を使う例題をひたすら紹介していきます!なお,\sqrt{ }log\log などを合成しているため定義域が複雑な物もありますが,全ての例題で「定義域の範囲内で微分せよ」と解釈してください。

まずは,ルートの入った合成関数です。

例題2

y=x2+1y=\sqrt{x^2+1} を微分せよ

解答(方法1による)

u=x2+1u=x^2+1 とおくと y=uy=\sqrt{u} である。このとき dudx=2x\dfrac{du}{dx}=2xdydu=12u\dfrac{dy}{du}=\dfrac{1}{2\sqrt{u}}

よって,dydx=12u2x=xx2+1\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{1}{2\sqrt{u}}\cdot 2x=\dfrac{x}{\sqrt{x^2+1}}

解答(方法2による)

x2+1x^2+1 をかたまりと見る。

かたまりで微分→ 12x2+1\dfrac{1}{2\sqrt{x^2+1}}

かたまりの微分→ 2x2x

これらの積が答え。

三角関数・指数対数関数を含む例題

ここからは,解答として方法2だけを載せておきます。

三角関数を含む合成関数の微分です。

例題3

y=sin(x32)y=\sin (x^3-2) を微分せよ

解答

かたまりで微分→ cos(x32)\cos (x^3-2)

かたまりの微分→ 3x23x^2

よって,答えは 3x2cos(x32)3x^2\cos(x^3-2)

次は対数関数と三角関数を合成したものです。

例題4

y=log(cosx)y=-\log (\cos x) を微分せよ

解答

かたまりで微分→ 1cosx-\dfrac{1}{\cos x}

かたまりの微分→ sinx-\sin x

よって答えは y=tanxy'=\tan x

次は指数関数とルートの合成です。

例題5

y=exy=e^{\sqrt{x}} を微分せよ

解答

かたまりで微分→ exe^{\sqrt{x}}

かたまりの微分→ 12x\dfrac{1}{2\sqrt{x}}

よって答えは ex2x\dfrac{e^{\sqrt{x}}}{2\sqrt{x}}

次は3つの関数(対数関数,三角関数,多項式)を合成したものです。

例題6

y=log(sin(x32))y=\log(\sin (x^3-2)) を微分せよ

解答

かたまりで微分→ 1sin(x32)\dfrac{1}{\sin (x^3-2)}

かたまりの微分,つまり sin(x32)\sin (x^3-2) の微分にもう一度合成関数の微分を使う。これは例題3より 3x2cos(x32)3x^2\cos (x^3-2)

よって,答えは 3x2cos(x32)sin(x32)\dfrac{3x^2\cos (x^3-2)}{\sin (x^3-2)}

最後に私が本気出して作った関数です。多分こんなのは出題されませんが練習にどうぞ。

例題7

y=(sin(log(cos(1+e4x))))3y=(\sin (\log(\cos(1+e^{4x}))))^3

解答

以下の六個の関数を全てかけ合わせたものが答えになります!

3(sin(log(cos(1+e4x))))23(\sin (\log(\cos(1+e^{4x}))))^2

cos(log(cos(1+e4x)))\cos (\log(\cos(1+e^{4x})))

1cos(1+e4x)\dfrac{1}{\cos (1+e^{4x})}

sin(1+e4x)-\sin (1+e^{4x})

e4xe^{4x}

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証明

合成関数の微分公式の証明(説明)を3通り紹介します。

1:多くの参考書に載っている証明

微分の定義より,y=f(g(x))y=f(g(x)) の微分は

limh0f(g(x+h))f(g(x))h\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{f(g(x+h))-f(g(x))}{h}

ここで,上式は g(x+h)g(x)g(x+h)\neq g(x) のもとで以下のように変形できる:

limh0{f(g(x+h))f(g(x))g(x+h)g(x)×g(x+h)g(x)h}\displaystyle\lim_{h\to 0}\left\{\dfrac{f(g(x+h))-f(g(x))}{g(x+h)-g(x)}\times\dfrac{g(x+h)-g(x)}{h}\right\}

ここで,1つめの分母 g(x+h)g(x)=kg(x+h)-g(x)=k とおくと,

limh0{f(g(x)+k)f(g(x))k×g(x+h)g(x)h}\displaystyle\lim_{h\to 0}\left\{\dfrac{f(g(x)+k)-f(g(x))}{k}\times\dfrac{g(x+h)-g(x)}{h}\right\}

と変形できる。h0h\to 0 のとき k0k\to 0 なので,上式の1つめの分数は f(g(x))f'(g(x)) となり2つめの分数は g(x)g'(x) となる。

※ 1は証明としては不十分です。g(x+h)g(x)g(x+h)\neq g(x) のもとで考えましたが,厳密には g(x)g(x) が考えている付近で定数の場合も考える必要があります。

2:わかりやすいが大雑把な説明
  • xx をちょっと動かしたときに,uu がその何倍動くかを表すのが dudx\dfrac{du}{dx}
  • uu をちょっと動かしたときに,yy がその何倍動くかを表すのが dydu\dfrac{dy}{du}

よって,xx をちょっと動かしたときに,uududx\dfrac{du}{dx} 倍動き,さらに yy はその dydu\dfrac{dy}{du} 倍動くので,結局 yyxxdudx×dydu\dfrac{du}{dx}\times\dfrac{dy}{du} 倍動く。

つまり,dydx=dudx×dydu\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{du}{dx}\times\dfrac{dy}{du}

3:上記の2をもう少し丁寧にした証明

xx を固定して考える。ff の微分の定義より,

  • f(x+h)=f(x)+f(x)h+ε1(h)hf(x+h)=f(x)+f'(x)h+\varepsilon_1(h)h
  • limh0ε1(h)=0\displaystyle\lim_{h\to 0}\varepsilon_1(h)=0

となる ε1(h)\varepsilon_1(h) が存在する。同様に,gg の微分の定義より,

  • g(x+h)=g(x)+g(x)h+ε2(h)hg(x+h)=g(x)+g'(x)h+\varepsilon_2(h)h
  • limh0ε2(h)=0\displaystyle\lim_{h\to 0}\varepsilon_2(h)=0

となる ε2(h)\varepsilon_2(h) が存在する。

よって,

f(g(x+h))=f(g(x)+g(x)h+ε2(h)h)f(g(x+h))=f(g(x)+g'(x)h+\varepsilon_2(h)h)

であり,h~=g(x)h+ε2(h)h\tilde h=g'(x)h+\varepsilon_2(h)h とおくと,上式は

f(g(x)+h~)=f(g(x))+f(g(x))h~+ε1(h~)h~f(g(x)+\tilde h) \\=f(g(x))+f'(g(x))\tilde h+\varepsilon_1(\tilde h)\tilde h

以上より,

  • f(g(x+h))=f(g(x))+f(g(x))g(x)h+ε3(h)hf(g(x+h))=f(g(x))+f'(g(x))g'(x)h+\varepsilon_3(h)h
  • limh0ε3(h)=0\displaystyle\lim_{h\to 0}\varepsilon_3(h)=0

となる ε3(h)\varepsilon_3(h) が存在する。つまり,f(g(x))f(g(x)) の微分係数は f(g(x))g(x)f'(g(x))g'(x)

→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT119では,さらなる例題と別解も紹介しています。

例題7,かっこがゴチャゴチャしててすみませんm(__)m

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