区分求積法の難問~京大2003後期~
が で連続微分可能なとき
一見複雑ですが美しい公式です。公式の自然な証明と,応用例として京大2003後期第5問を解説します。
なお, が連続微分可能とは, が連続かつ が存在して連続という意味です。
公式の観察
公式の観察
上記の公式を覚える必要はありませんが,考え方はしっかり理解しておきましょう。きっとどこかの難関大学でまた出題されます!
公式を証明する方法はいくつかありそうですが,ここでは 「リミットとシグマを見たら区分求積法を連想すべし」という発想から証明します。
区分求積法を直接は使えないので工夫する必要があります。そこで,とりあえずシグマの部分を具体的に書き下してみます:
この形を見て以下の2つの基礎知識を組み合わせます!(これを思いつくのが一番むずかしい)
- 正負が交互に現れるので二項ずつまとめて評価したくなる
- 関数の差は平均値の定理で簡単に評価できる
具体的には例えば,平均値の定理より
と評価できます( は を満たす定数)。
以上に注意して公式を証明します。
区分求積法を使う公式の証明
区分求積法を使う公式の証明
平均値の定理より,
と書ける。ただし,
よって,
これで区分求積法が使える:
※2行目から3行目は区分求積法に慣れていれば自明ですが,ピンとこない人は図を書いてみると分かります。
※3行目から4行目は微分して積分すると元に戻ることを使っています。→なぜ定積分で面積が求まるのか
区分求積法の難問
区分求積法の難問
2003年京大後期第5問です。
京大の後期は良問・難問が豊富です。
以下の極限を求めよ:
上記の公式(または考え方)を覚えていれば一瞬で解ける問題です。
上記の公式で とすると,
求めたい極限は
であることが分かる。
また,次の問題もどこかの入試問題だった気がします。
以下の極限を求めよ:
公式において とすれば極限値が であることが分かります。
大学入試問題を一般化するのも楽しいです。