三項間漸化式の3通りの解き方
三項間漸化式:
の3通りの解法と,それぞれのメリットデメリットを解説します。
- 特性方程式を用いた解法
- 答えを気合いで予想する
- 行列の 乗を求める方法
例題として, を解きます。
特性方程式の解が重解になる場合は最後に補足します。
1:特性方程式を用いた解法
1:特性方程式を用いた解法
教科書に載っている定番の解法です。
特性方程式 の解は であり,漸化式は以下のように変形できる:
よって,上の式から は公比 の等比数列となる:
同様に下の式から は公比 の等比数列となる:
以上2つの式から を消去する:
メリット:定番の方法だから安心感がある
デメリット:記述量が少し多い
→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT39では,より計算が複雑な応用問題と「計算ミスを減らすコツ」も紹介しています。
2:答えを気合いで予想する
2:答えを気合いで予想する
三項間漸化式の特性方程式の解を とおくと,漸化式の一般項は
と表される。 は初期条件から求める。
特性方程式 の解は である。…(1)
一般項を以下の形と予想する。
実際に漸化式に代入すると成立していることが分かる。…(2)
ここで, を代入すると,
これを解いて
よって,
記述式の場合(1)の文言は不要ですが,(2)は必須です。
メリット:記述量が少ない,一般の 項間漸化式に拡張できる,漸化式の構造が微分方程式の構造に似ていることが分かる
デメリット:邪道なので解法1を覚えた上で使うのがよい
ちなみに四項間漸化式 の場合は, の解を とすると一般項は
と書けます。 項間漸化式でも同様です!→漸化式の特性方程式の意味とうまくいく理由
行列の 乗を用いる方法
行列の 乗を用いる方法
漸化式の一般的な議論をする際には重要な考え方です。
与えられた漸化式は行列を用いて以下のように変形できる:
よって,この式を繰り返し用いると,
となるので,行列の 乗(正確には 乗)を求める問題に帰着される。
行列の 乗は対角化なり予想して帰納法なりで解くことができる(詳細省略)。
メリット:一般の 項間漸化式に拡張できる,線形代数のよい練習になる
デメリット:行列の 乗を求めるのがめんどう,記述量が多い
補足:特性方程式が重解を持つ場合
補足:特性方程式が重解を持つ場合
特性方程式の解が (重解)の場合は,いずれの方法でも微妙に修正が必要になります。
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方法1では, という形の式が本来なら2つ構成できるのですが,重解の場合は1つしか作れません。その場合は直接この式を解くことになります。両辺を で割って と置くと二項間漸化式 型に帰着されます。
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方法2では,漸化式の一般項は という形になります。 は初期条件から求めます。
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方法3では,固有値が縮退して対角化できない可能性があります。その場合はジョルダン標準形を用いて行列の 乗を求めることになります。
なぜ教科書から行列を消したんだあああ!