漸化式の特性方程式の意味とうまくいく理由
定数係数の隣接 項間漸化式:
について, 次方程式
を特性方程式と言う。特性方程式の解 が全て異なるとき,数列 の一般項は
と表せる( は初期条件によって決まる定数)。
具体例
漸化式を行列で表現する
冒頭の定理の証明
具体例
隣接二項間漸化式()
の場合, という漸化式です。この特性方程式は となり,解は です。一般項は と表せます(ただの等比数列)。
隣接三項間漸化式()
の場合, という漸化式です。この特性方程式は となり,この解を とおくと( の場合),一般項は と表せます。 →三項間漸化式の3通りの解き方
なお,この記事で扱う漸化式は定数項が のもののみです。 など,定数項が でない場合は(多くの場合)平行移動することで定数項が である場合に帰着できます。
漸化式を行列で表現する
冒頭の定理を理解するには行列の知識(高校数学範囲外)が必要です。(一般の場合も同様なので)表記簡略化のために ,つまり四項間漸化式の場合で説明します。
漸化式は行列とベクトルを用いて,
と表現できます。
左辺のベクトルを ,右辺の行列を とおくと, と書けます。
よって,これを繰り返し用いると となります。
は初期条件から計算できるので,一般項を求めるためには を計算すればよいことが分かります。
冒頭の定理の証明
行列 の特性方程式 と定理の主張内で定義した特性方程式 は一致する(これは行列式を実際に計算すると分かる→注)。よって, の解 は の固有値である。→固有値,固有ベクトルの定義と具体的な計算方法
の固有値が全て異なるとき,ある正則行列 を用いて と対角化できる。ただし, は を対角成分に持つ対角行列。→行列の対角化の意味と具体的な計算方法
よって, の各成分は の線形結合で表せる。よって, の各成分も の線形結合で表せる。
注: の場合,
は簡単に確認できます。一般の場合も同様です。
高校生にも理解して欲しい定理ですが,線形代数の知識がガッツリ必要なのが残念です。