四面体の体積を求める2つの公式with行列式
一般的な四面体の体積を求める公式を二つ解説します。行列式が登場しますが,行列式を知らなくても楽しめます!応用例として東北大の入試問題も。
なお,四面体が特別な場合にはもっと簡単な公式で体積が求まります。
- 正四面体の場合:→正三角形の面積,正四面体の体積
- 等面四面体の場合:→等面四面体とその性質
行列式
行列式
四面体の体積と行列式
四面体の体積と行列式
四面体の各頂点の座標が与えられているときには上記の行列 を用いて四面体の体積を表すことができます。
を頂点とする四面体の体積は となる。
証明には「ベクトルの外積」と「点と平面の距離公式」を用います。サラスの公式の下の方で詳しく解説しています。
この公式にはいろいろな言い換えがあります。
-
上記の四面体の体積は
である。
行列式は転置しても変わらない(簡単な計算で証明できる)ので の座標を縦と横どっちに並べるんだっけ……と迷う必要はありません。 -
が作る四面体の体積は である。
1をベクトルを使って表記するとこのようになります。 -
が張る平行六面体の体積は である。
四面体の体積を六倍すると,考えている平行六面体の体積になることは簡単に分かるので2と3は同値です。
三辺と三つの角度or六辺の長さから体積を求める
三辺と三つの角度or六辺の長さから体積を求める
(一つの頂点に集まる)三辺と三つの角度が分かっているときに使える公式です!
のとき,四面体 の体積は,
なお,六辺の長さが全て求まっているときには余弦定理により角度( )が簡単に求まるので,この公式を使えば 六辺の長さから四面体の体積を機械的に求めることもできます。
証明の前に例題です。この公式,一見かなりマニアックですが,意外と検算に使えます。
2013年東北大学の問題の小問をカットしたものです。
のとき四面体 の体積を求めよ。
上記の公式より,求める体積は
公式の証明
公式の証明
行列式の性質を使うことでエレガントに証明します!(ここからは完全に大学内容です)
前半の公式より,
よって,
ただし,ここで「行列式の積=積の行列式」を用いた。
を計算してみると,
である(例えば 成分は のように計算できる)。よって,
この行列式を計算して に代入すると求める公式を得る。
行列式を知っている人には最後の証明で「うおおおお,すげえええ」ってなって欲しいです。