サラスの公式と使い方

更新日時 2021/03/07

サラスの公式の意味と応用を紹介します。「行列式」の意味を知らない高校生でも楽しめる内容です。

  • 座標平面上の三角形の面積・座標空間上の四面体の体積をすばやく計算する方法(高校生向け)
  • 3×3の行列式をすばやく計算する方法
目次
  • サラスの公式による面積・体積の求め方

  • サラスの公式とは

  • 面積・体積公式を使う際の諸注意

  • サラスの公式の証明

サラスの公式による面積・体積の求め方

面積・体積を求める公式
  1. 座標平面上の3点 O(0,0),A(x1,y1),B(x2,y2)O(0,0), A(x_1,y_1), B(x_2,y_2) に対して,三角形 OABOAB の面積は,
    12x1y2y1x2\dfrac{1}{2}|x_1y_2-y_1x_2|

  2. 座標空間上の4点 O(0,0,0),A(x1,y1,z1),B(x2,y2,z2),C(x3,y3,z3)O(0,0,0),A(x_1,y_1,z_1), B(x_2,y_2,z_2),C(x_3,y_3,z_3) に対して四面体 OABCOABC の体積は,
    16y1z2x3+z1x2y3+x1y2z3z1y2x3x1z2y3y1x2z3\dfrac{1}{6}|y_1z_2x_3+z_1x_2y_3+x_1y_2z_3-z_1y_2x_3-x_1z_2y_3-y_1x_2z_3|

2は覚えるのが難しそうですが,背後にあるサラスの公式(サラスの規則)を理解すれば簡単に計算できます。

サラスの公式とは

サラスの公式(サラスの規則)とは,3×3の行列式を素早く計算するための以下の公式です。

サラスの公式

3×3の行列の行列式は,

  • 「左上から右下に向けて掛けて足す」

マイナス

  • 「右上から左下に向けて掛けて足す」

で計算できる。

つまり, (x1y1z1x2y2z2x3y3z3)\begin{pmatrix}x_1&y_1&z_1\\x_2&y_2&z_2\\x_3&y_3&z_3\\\end{pmatrix} の行列式は

  • x1y2z3+y1z2x3+z1x2y3x_1y_2z_3+y_1z_2x_3+z_1x_2y_3

マイナス

  • x1z2y3+y1x2z3+z1y2x3x_1z_2y_3+y_1x_2z_3+z_1y_2x_3

です。図を見ると覚えやすいです。 サラスの公式 ちなみに,右端と左端はつながっているいわゆるドラクエスタイルです。

サラスの公式と体積公式の関係

実は体積を求める公式2: 16x1y2z3+y1z2x3+z1x2y3x1z2y3y1x2z3z1y2x3\dfrac{1}{6}|x_1y_2z_3+y_1z_2x_3+z_1x_2y_3-x_1z_2y_3-y_1x_2z_3-z_1y_2x_3|
の絶対値の中身は上記の行列式と一致します。

つまり,以下の方法で四面体の体積が計算できます!

  • 「左上から右下に向けて掛けて足す」

マイナス

  • 「右上から左下に向けて掛けて足す」

  • 最後に 16\dfrac{1}{6} 倍する。

面積・体積公式を使う際の諸注意

  • 公式1を暗記している人は多いです。
  • 公式2を使いこなせるようになれば単純な場合だと30秒以内に四面体の体積を求めることができるので多くの場面で活躍します。
  • 入試などで解答するのに直接サラスの公式を用いてもよいですし,誘導にしたがって求積した上で検算に用いることもできます。
  • 面積公式では最後に 12\dfrac{1}{2} 倍,体積公式では最後に 16\dfrac{1}{6} 倍するのを忘れやすいので注意しましょう。
  • 面積or体積を求めたい図形の頂点に原点が含まれない場合は,いずれかの頂点が原点に重なるように全ての頂点を平行移動して考えます。

A(1,3),B(1,3),C(0,1)A(1,3), B(-1,-3), C(0,-1) として三角形 ABCABC の面積を求めたいときは,各頂点を yy 方向に1ずらして A(1,4),B(1,2),C(0,0)A'(1,4), B'(-1, -2), C'(0,0) として

三角形 ABCABC の面積=三角形 ABCA'B'C' の面積 =1(2)4(1)2=1=\frac{1\cdot(-2)-4\cdot(-1)}{2}=1

とすればよい。

面積・体積公式の応用例としては,以下があります。

サラスの公式の証明

読者の方に質問をいただいたので体積公式の証明を追記しておきます。愚直に体積を計算していく方針ですが,座標空間の便利な道具を駆使することで簡単な計算で証明できます。

使う道具は以下の3つです:

証明

三角形 OABOAB を底面とする四面体と見て体積を計算する。

三角形 OABOAB の面積 SS は,

S=12OA×OB×sinAOB=12OA×OB×1cos2AOB=12OA2OB2(OAundefinedOBundefined)2=12(x12+y12+z12)(x22+y22+z22)(x1x2+y1y2+z1z2)2=12(y1z2y2z1)2+(z1x2z2x1)2+(x1y2x2y1)2S=\dfrac{1}{2}OA\times OB\times\sin \angle AOB\\ =\dfrac{1}{2}OA\times OB\times\sqrt{1-\cos^2\angle AOB}\\ =\dfrac{1}{2}\sqrt{OA^2OB^2-(\overrightarrow{OA}\cdot \overrightarrow{OB})^2}\\ =\dfrac{1}{2}\sqrt{(x_1^2+y_1^2+z_1^2)(x_2^2+y_2^2+z_2^2)-(x_1x_2+y_1y_2+z_1z_2)^2}\\ =\dfrac{1}{2}\sqrt{(y_1z_2-y_2z_1)^2+(z_1x_2-z_2x_1)^2+(x_1y_2-x_2y_1)^2}

次に,三角形 OABOAB を含む平面の方程式を求める。法線ベクトルはベクトルの外積を用いて,

OAundefined×OBundefined=(y1z2y2z1,z1x2z2x1,x1y2x2y1)\overrightarrow{OA}\times \overrightarrow{OB}=(y_1z_2-y_2z_1,z_1x_2-z_2x_1,x_1y_2-x_2y_1) と表せるので,求める平面が原点を通ることに注意すると,

(y1z2y2z1)x+(z1x2z2x1)y+(x1y2x2y1)z=0(y_1z_2-y_2z_1)x+(z_1x_2-z_2x_1)y+(x_1y_2-x_2y_1)z=0

となる。

最後に三角形 OABOAB と点 CC の距離 hh を求める。点と平面の距離公式より,

h=(y1z2y2z1)x3+(z1x2z2x1)y3+(x1y2x2y1)z3(y1z2y2z1)2+(z1x2z2x1)2+(x1y2x2y1)2h=\dfrac{|(y_1z_2-y_2z_1)x_3+(z_1x_2-z_2x_1)y_3+(x_1y_2-x_2y_1)z_3|}{\sqrt{(y_1z_2-y_2z_1)^2+(z_1x_2-z_2x_1)^2+(x_1y_2-x_2y_1)^2}}

ここで,求める体積は 13Sh\dfrac{1}{3}Sh だが SShh の分母が打ち消し合って hh の分子の 16\dfrac{1}{6} 倍が残り,サラスの公式が証明された。

なお,この公式を応用することで六辺の長さから四面体の体積を求める公式も導出できます。→四面体の体積を求める2つの公式with行列式

大学で行列式を習うとサラスの公式のイメージがより鮮明になります→行列式の3つの定義と意味

Tag:大学入試共通テストにも役立つ即効性の高い公式まとめ

Tag:三角形の面積を求める公式まとめ