ベクトルの内積と外積の意味と嬉しさ

更新日時 2022/07/26

ベクトルの内積と外積についてわかりやすく解説します。外積は高校数学範囲外ですが,大学入試で役立つこともあります。

目次
  • ベクトルの内積とは

  • 内積の成分表示

  • 内積の嬉しさ

  • ベクトルの外積とは

  • 外積の成分表示

  • 外積の重要性

ベクトルの内積とは

内積は,2本のベクトルに対してスカラーを返す演算です。

内積の定義1

ベクトル aundefined\overrightarrow{a}bundefined\overrightarrow{b} に対して,aundefinedbundefinedcosθ|\overrightarrow{a}||\overrightarrow{b}|\cos\theta を内積と言う。ただし,θ\thetaaundefined\overrightarrow{a}bundefined\overrightarrow{b} がなす角。

例題1

長さが 2233 で,なす角が 6060^{\circ} である2本のベクトルの内積を求めよ。

例題1の答えは,内積の定義1より 2×3×cos60=32\times 3\times \cos 60^{\circ}=3 となります。

内積の成分表示

実は,内積にはもう1つの定義があります。

内積の定義2

成分表示された2本の平面ベクトル aundefined=(ax,ay),bundefined=(bx,by)\overrightarrow{a}=(a_x,a_y),\overrightarrow{b}=(b_x,b_y) に対して,axbx+aybya_xb_x+a_yb_y を内積と言う。

例題2

aundefined=(2,3)\overrightarrow{a}=(2,3)bundefined=(4,1)\overrightarrow{b}=(4,1) の内積を求めよ。

例題2の答えは,内積の定義1より 2×4+3×1=112\times 4+3\times 1=11 となります。

ちなみに,空間ベクトルの場合,aundefined=(ax,ay,az)\overrightarrow{a}=(a_x,a_y,a_z)bundefined=(bx,by,bz)\overrightarrow{b}=(b_x,b_y,b_z) の内積は axbx+ayby+azbza_xb_x+a_yb_y+a_zb_z となります。

内積の嬉しさ

内積には以下の2つの定義がありました:

  • aundefinedbundefinedcosθ|\overrightarrow{a}||\overrightarrow{b}|\cos\theta
  • axbx+aybya_xb_x+a_yb_y

この2つの値は同じになります。実際,高校の教科書では「定義1」を採用しており,そこから余弦定理を用いて内積の性質(定義2)を導いています。しかし,定義1と定義2は同値なので,定義2を定義として定義1を性質とみなすこともできます。

つまり,内積は2つの顔を持っており,我々は都合の良い方を使うことができます。そして2つを自由に使うことは 暗に余弦定理を用いているということと同値です。

すなわち,内積を用いることで,「余弦定理の利用を思いついてめんどくさい計算をする」という手間カットしているのです。これが内積の嬉しさです。

追記:見方によっては「内積」を用いて余弦定理を証明することもできます。→ベクトルの内積を用いた余弦定理の証明

ベクトルの外積とは

ここからは外積です。外積は,2本のベクトルに対してベクトルを返す演算です。

外積の定義1

空間ベクトル aundefined\overrightarrow{a}bundefined\overrightarrow{b} に対して,長さが aundefinedbundefinedsinθ|\overrightarrow{a}||\overrightarrow{b}|\sin\theta で,aundefined\overrightarrow{a}bundefined\overrightarrow{b} に垂直なベクトルのことを「外積」と呼ぶ。

外積の長さは,aundefined\overrightarrow{a}bundefined\overrightarrow{b} の成す平行四辺形の面積 となっています。

ただし,外積の性質を満たすベクトルは2つ存在するので,どちらか向きを決めないと1つに定まりません。これは座標系の取り方(右手系,左手系)によって異なり本質的ではないのでとりあえずほっときます。

外積の成分表示

内積と同じく,外積にももう1つ定義があります。

外積の定義2

成分表示された2本の空間ベクトル aundefined=(ax,ay,az),bundefined=(bx,by,bz)\overrightarrow{a}=(a_x,a_y,a_z),\overrightarrow{b}=(b_x,b_y,b_z) に対して,(aybzazby,azbxaxbz,axbyaybx)(a_yb_z-a_zb_y,a_zb_x-a_xb_z,a_xb_y-a_yb_x) という成分で表されるベクトルのことを外積と言う。

定義2を利用すれば簡単に外積を計算できますが,図形的なイメージは定義1の方がわかりやすいです。一長一短ですね。

外積の重要性

内積と同様に,外積に関しても2つの定義は同値です。自分の分かりやすい方を定義としてもう一方を性質とすればよいのです。

私は図形的なイメージが分かりやすいので定義1を定義として定義2を性質だと思うことにしています。

2つの定義が同値であることは,内積の場合と同じく余弦定理を用いてゴリゴリ計算することで証明できます。内積の場合より計算はハードなので省略します。

外積も2つの顔を持っており,我々は都合の良い方を使うことができます。そして2つを自由に使うことは 暗に上記のゴリゴリ計算の結果を用いているということと同値です。

つまり,外積を用いることで,「余弦定理を含んだめんどくさい計算をする」という手間カットしているのです。これが外積の嬉しさです。

外積の応用例としては,平面の方程式を高速で求める方法などがあります。 →平面の方程式とその3通りの求め方

外積が教科書に載っていないのは少し残念です。

Tag:数検1級の範囲と必要な公式まとめ