内積と外積の意味と嬉しさ
内積:2本のベクトルに対してスカラーを対応させる演算
外積:2本のベクトルに対してベクトルを対応させる演算
内積と外積を比較しながら意味を探ることで,高校の教科書では扱わない外積についての理解を深めます。後半は難しいですがかなり面白いと思うのでじっくり読んでみてください!
以下,ベクトル に対する内積,外積について考えます。
内積と外積の幾何的意味
内積と外積の代数的意味
内積の重要性
外積の重要性
内積と外積の幾何的意味
(内積ー1):スカラー値 のこと。
(外積ー1):長さが で と に垂直なベクトルのこと。
ただし,外積の性質を満たすベクトルは2つ存在するので,どちらか向きを決めないと1つに定まりません。これは座標系の取り方(右手系,左手系)によって異なり本質的ではないのでとりあえずほっときます。
内積と外積の代数的意味
(内積ー2):スカラー値 のこと。
(外積ー2): という成分で表されるベクトルのこと。
こちらを利用すれば簡単に内積や外積を計算することができますが,図形的なイメージがよくわかりません。一長一短ですね。
内積の重要性
高校の教科書では(内積ー1)を内積の定義として,そこから余弦定理を用いて内積の性質(内積ー2)を導いています。しかし, (内積ー1)と(内積ー2)は同値なので(内積ー2)を定義として(内積ー1)を性質とすることもできます。
内積は2つの顔を持っており,我々は都合の良い方を使うことができます。そして2つを自由に使うことは 暗に余弦定理を用いているということと同値です。
つまり,内積を用いることで,「余弦定理の利用を思いついてめんどくさい計算をする」という手間カットしているのです。これが内積の嬉しさです。
追記:見方によっては「内積」を用いて余弦定理を証明することもできます。→ベクトルの内積を用いた余弦定理の証明
外積の重要性
内積と同様に,外積に関しても,(外積−1)と(外積−2)は同値です。ですので 自分の分かりやすい方を定義としてもう一方を性質とすればよいのです。
僕は図形的なイメージが分かりやすいので(外積ー1)を定義として(外積ー2)を性質だと思うことにしています。
外積ー1と外積ー2が同値であることは,内積の場合と同じく余弦定理を用いてゴリゴリ計算することで証明できます。内積の場合より計算はハードなので省略します。
外積も2つの顔を持っており,我々は都合の良い方を使うことができます。そして2つを自由に使うことは 暗に上記のゴリゴリ計算の結果を用いているということと同値です。
つまり,外積を用いることで,「余弦定理を含んだめんどくさい計算をする」という手間カットしているのです。これが外積の嬉しさです。
外積の応用例としては,平面の方程式を高速で求める方法などがあります。 →平面の方程式とその3通りの求め方
外積が教科書に載っていないのは少し残念です。
Tag:数検1級の範囲と必要な公式まとめ