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次元定理の意味,具体例,証明

更新日時 2021/03/07

行列における次元定理:

AAm×nm\times n 実行列とするとき, rankA+dim(KerA)=n\mathrm{rank}\:A+\dim (\mathrm{Ker}\:A)=n

目次
  • 次元定理について

  • 具体例

  • 次元定理のイメージ

  • 次元定理の証明

次元定理について

  • rankA\mathrm{rank}\:AAA のランク(階数),dim\dim は次元,KerA\mathrm{Ker}\:AAA のカーネル(核)です。「ランク,次元,カーネルってなんだ,全部初耳だよ」って方は,以下の具体例とイメージを見てなんとなく雰囲気を知った上でお引き取り下さいm(__)m
  • 次元定理は行列に対してではなく一般の線形写像について述べられることも多いです。ただし意味はほとんど同じなので,行列の形の場合にきちんと理解しておけばOKです。
  • Wikipediaでは「階数・退化次数の定理」と呼ばれています。

具体例

例題

A=(123246)A=\begin{pmatrix}1&2&3\\-2&-4&-6\end{pmatrix} に対して次元定理が成立することを確認せよ。

解答
  • AA2×32\times 3 行列である(n=3n=3
  • AA の2本の行ベクトル:(1,2,3)(1,2,3)(2,4,6)(-2,-4,-6) は一次従属なので rankA=1\mathrm{rank}\:A=1

・最後に AA のカーネルについて考える。

xundefined=(xyz)\overrightarrow{x}=\begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix} に対して xKerAx\in \mathrm{Ker} \:A

    Axundefined=0undefined\iff A\overrightarrow{x}=\overrightarrow{0}

    x+2y+3z=0\iff x+2y+3z=0 かつ 2x4y6z=0-2x-4y-6z=0

    x+2y+3z=0\iff x+2y+3z=0

この条件を満たす xundefined\overrightarrow{x} たちのなす空間は2次元である(xyzxyz 空間で平面を表す)。

よって,dim(KerA)=2\dim(\mathrm{Ker}\:A)=2

以上より,rankA+dim(KerA)=3\mathrm{rank}\:A+\dim (\mathrm{Ker}\:A)=3 となり次元定理が成立している。

次元定理のイメージ

次元定理の意味

次元定理の意味は図を見ると分かりやすいかと思います。

次元定理: 像の次元(ランク)+カーネルの次元= nn を言い換えると「青丸の大きさ」+「緑丸の大きさ」=「赤丸の大きさ」となります。

ここで,ランクと像の次元が等しいことに注意: rankA=dim(ImA)\mathrm{rank\:A}=\dim (\mathrm{Im} \:A)

次元定理の証明

  • ai,bi,x,ya_i,b_i,x,y はベクトルなので aiundefined,biundefined\overrightarrow{a_i},\overrightarrow{b_i} などと書くべきですが省略します。
  • 証明の前半部分が重要です。
証明

KerA\mathrm{Ker\:A} の基底を a1,a2,asa_1,a_2,\cdots a_s とする(*)。

さらに,そこにベクトル b1,b2,,bnsb_1,b_2,\cdots, b_{n-s} を追加して nn 次元空間 Rn\mathbb{R}^n の基底となるようにする。

dim(KerA)=s\dim (\mathrm{Ker}\:A)=s であるので,dim(ImA)=ns\dim (\mathrm{Im}\:A)=n-s を証明すればよい。

そのためには,Ab1,Ab2,,AbnsAb_1,Ab_2,\cdots ,Ab_{n-s}ImA\mathrm{Im}\: A の基底であることを示せば十分(ここまでが重要,以下作業)。

Ab1,Ab2,,AbnsAb_1,Ab_2,\cdots ,Ab_{n-s}ImA\mathrm{Im}\:A を張ること

xImAx\in \mathrm{Im}\: A のとき,

ある y=c1a1++csas+d1b1+dnsbnsy=c_1a_1+\cdots +c_sa_s+d_1b_1+\cdots d_{n-s}b_{n-s} が存在して Ay=xAy=x

これと,aia_i たちが KerA\mathrm{Ker}\:A の要素であることから

A(d1b1++dnsbns)=xA(d_1b_1+\cdots +d_{n-s}b_{n-s})=x

つまり,x=d1Ab1++dnsAbnsx=d_1Ab_1+\cdots +d_{n-s}Ab_{n-s} となり,xxAb1,Ab2,,AbnsAb_1,Ab_2,\cdots ,Ab_{n-s} の線形結合で表せる。

Ab1,Ab2,,AbnsAb_1,Ab_2,\cdots ,Ab_{n-s} が一次独立であること

c1Ab1+c2Ab2++cnsAbns=0c_1Ab_1+c_2Ab_2+\cdots +c_{n-s}Ab_{n-s}=0 のとき,

A(c1b1+c2b2++cnsbns)=0A(c_1b_1+c_2b_2+\cdots +c_{n-s}b_{n-s})=0

よって,c1b1+c2b2++cnsbnsKerAc_1b_1+c_2b_2+\cdots +c_{n-s}b_{n-s}\in \mathrm{Ker A}

c1=c2==cns=0c_1=c_2=\cdots =c_{n-s}=0 でないと(*)に矛盾する。

英語ではrank-nullity theoremと言うようです。

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