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直交行列の5つの定義と性質の証明

更新日時 2021/03/07

直交行列の同値な5つの定義,同値であることの証明,性質および具体例を解説します。

目次
  • 直交行列の定義

  • 直交行列の性質

  • 直交行列の例

  • 5つの定義が同値であることの証明

直交行列の定義

実正方行列(サイズを n×nn\times n とする)UU に対して以下の5つの条件は同値です。この条件のいずれか一つ(従って全部)を満たすとき UU を直交行列と言います。

(同値であることの証明は記事末に)

1. U=U1U^{\top}=U^{-1}

2. UUnn 本の行ベクトルが正規直交基底をなす

3. UUnn 本の列ベクトルが正規直交基底をなす

4.任意の xRnx\in \mathbb{R}^n に対して Ux=x\|Ux\|=\|x\|

5.任意の x,yRnx,y\in\mathbb{R}^n に対して UxUy=xyUx\cdot Uy=x\cdot y

補足

・5つとも重要です,覚えましょう。

  • 「正規直交」とは,全てのベクトルの長さが 11 で異なる二本のベクトルの内積が 00 であることを意味します。
  • 4は「変換でベクトルのノルム(長さ)が変わらない」,5は「変換で二つのベクトルの内積が変わらない」ことを表しています。
  • 直交行列の概念を複素行列に拡張したものをユニタリー行列と言います。

直交行列の性質

・直交行列の行列式は ±1\pm 1 である。

証明

「積の行列式=行列式の積」であることと detU=detU\det U=\det U^{\top} を使うと,

1=detI=detUdetU1=detUdetU=(detU)21=\det I\\=\det U\det U^{-1}\\=\det U\det U^{\top}\\ =(\det U)^2

よって detU=±1\det U=\pm 1

・直交行列の逆行列も直交行列

証明

直交行列の定義1〜3を使う。

UU が直交行列

UU の列ベクトルが正規直交基底をなす

UU^{\top} の行ベクトルが正規直交基底をなす

U1U^{-1} の行ベクトルが正規直交基底をなす

U1U^{-1} が直交行列

・対称行列は直交行列で対角化できる。 →対称行列の固有値と固有ベクトルの性質の証明

ちなみに複素数バージョンだと「エルミート行列はユニタリー行列で対角化できる」となります。

直交行列の例

・二次元の回転行列

(cosθsinθsinθcosθ)\begin{pmatrix}\cos\theta&-\sin\theta\\\sin\theta&\cos\theta\end{pmatrix}

・置換行列(各行,各列に 11 が一つずつある行列)

(010100001)\begin{pmatrix}0&1&0\\1&0&0\\0&0&1\end{pmatrix}

・アダマール行列(の定数倍)

14(1111111111111111)\dfrac{1}{4}\begin{pmatrix}1&1&1&1\\1&-1&1&-1\\1&1&-1&-1\\1&-1&-1&1\end{pmatrix}

5つの定義が同値であることの証明

まず1,2,3の同値性を証明して,最後に1→5→4→3を証明することで5と4を仲間に入れます。

・1と2が同値であること

UU の第 ii 行(横ベクトル)を uiu_i^{\top} とおくと,UUUU^{\top}ijij 成分は uiuju_i^{\top} u_j となる。よって,1と2の条件はいずれも uiuju_i^{\top} u_ji=ji=j のとき 11iji\neq j のとき 00 であることを表している。

・1と3が同値であること

1と2が同値であることの証明とほぼ同じ(UU=IU^{\top}U=I を考える)。

・1ならば5

UxUxUyUy の内積は,xUUyx^{\top}U^{\top}Uy

であり,UU=IU^{\top} U=I なのでこれは xxyy の内積と一致する。

・5ならば4

5で y=xy=x とすると Ux2=x2\|Ux\|^2=\|x\|^2 ,つまり Ux=x\|Ux\|=\|x\| を得る。

・4ならば3

UUii 列目を uiu_i とおく。

x=eix=e_i (第 ii 成分が 11 で残りが 00 であるような縦ベクトル)を4に入れると ui=1\|u_i\|=1 が分かる。次に x=ei+ej(ij)x=e_i+e_j\:(i\neq j) を4に入れると ui+uj=2\|u_i+u_j\|=\sqrt{2} が分かる。両辺二乗すると,uiuj=0u_i\cdot u_j=0 が分かる。

僕は置換行列が結構好きです。

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