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逆行列を求める2通りの方法と例題

更新日時 2021/03/07

与えられた正方行列の逆行列を求める方法,具体的な計算例を解説します。なお,公式の証明は線形代数の教科書を参照して下さい。

目次
  • 2×2行列の場合

  • 逆行列の求め方1:掃き出し法

  • 逆行列の求め方2:余因子を用いる

2×2行列の場合

A=(abcd)A=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix} の逆行列は,A1=1adbc(dbca)A^{-1}=\dfrac{1}{ad-bc}\begin{pmatrix}d&-b\\-c&a\end{pmatrix}

2×2の場合は覚えるのみです。高校数学の旧課程では重要な公式でした。

逆行列の求め方1:掃き出し法

以下,一般の n×nn\times n の正方行列の逆行列を求める二通りの方法を解説します(具体例は3×3の場合のみ)。

単位行列を II とします。

横長の行列(AI)(A\:\:I) に行基本変形を繰り返し行って(IB)(I\:\:B) になったら,BBAA の逆行列である。

行基本変形とは以下の三つの操作です。

操作1:ある行を定数倍する

操作2:二つの行を交換する

操作3:ある行の定数倍を別の行に加える

掃き出し法を実際にやってみます!

例題

A=(111201021)A=\begin{pmatrix}1&1&-1\\-2&0&1\\0&2&1\end{pmatrix} の逆行列を求めよ。

(AI)=(111100201010021001)(A\:I)=\begin{pmatrix}1&1&-1&1&0&0\\-2&0&1&0&1&0\\0&2&1&0&0&1\end{pmatrix}

行基本変形を適用して左半分を II にするのが目標。まず一列目を見て, 1行目の2倍を2行目に加える:

(111100021210021001)\begin{pmatrix}1&1&-1&1&0&0\\0&2&-1&2&1&0\\0&2&1&0&0&1\end{pmatrix}

次に, 二列目(の第2成分以外)に 00 を並べるように操作3を行う:

(10120120021210002211)\begin{pmatrix}1&0&-\frac{1}{2}&0&-\frac{1}{2}&0\\0&2&-1&2&1&0\\0&0&2&-2&-1&1\end{pmatrix}

同様に, 三列目(の第3成分以外)に 00 を並べるように操作3を行う:

(10012341402011212002211)\begin{pmatrix}1&0&0&-\frac{1}{2}&-\frac{3}{4}&\frac{1}{4}\\0&2&0&1&\frac{1}{2}&\frac{1}{2}\\0&0&2&-2&-1&1\end{pmatrix}

最後に 操作1を二行目と三行目に適用して左側を単位行列にする:

(10012341401012141400111212)\begin{pmatrix}1&0&0&-\frac{1}{2}&-\frac{3}{4}&\frac{1}{4}\\0&1&0&\frac{1}{2}&\frac{1}{4}&\frac{1}{4}\\0&0&1&-1&-\frac{1}{2}&\frac{1}{2}\end{pmatrix}

この 右半分が A1A^{-1} である。

逆行列の求め方2:余因子を用いる

余因子を用いる方法では(3×3の)行列式についての知識を前提とします。

AA の逆行列の ijij 成分は ΔjidetA\dfrac{\Delta_{ji}}{\det A}

ただし,detA\det AAA の行列式,

Δij\Delta_{ij}AAii 行目と jj 列目を除いた行列の行列式を (1)i+j(-1)^{i+j}したもの(余因子)

余因子の定義がやや厄介です。3×3の場合で計算してみます。

例題(再掲): A=(111201021)A=\begin{pmatrix}1&1&-1\\-2&0&1\\0&2&1\end{pmatrix} の逆行列を求めよ。

解答

まず AA の行列式を計算する。

detA=(1)(2)211211(2)=4\det A=(-1)(-2)\cdot 2-1\cdot 1\cdot 2-1\cdot 1\cdot (-2)=4

余因子は

Δ11=(1)2det(0121)=2\Delta_{11}=(-1)^2\det\begin{pmatrix}0&1\\2&1\end{pmatrix}=-2

Δ21=(1)3det(1121)=3\Delta_{21}=(-1)^3\det\begin{pmatrix}1&-1\\2&1\end{pmatrix}=-3

Δ31=(1)4det(1101)=1\Delta_{31}=(-1)^4\det\begin{pmatrix}1&-1\\0&1\end{pmatrix}=1

残り6個も同様に計算できて,逆行列は

A1=14(231211422)A^{-1}=\dfrac{1}{4}\begin{pmatrix}-2&-3&1\\2&1&1\\-4&-2&2\end{pmatrix}

※2018/7/19 余因子の定義が間違っておりました,ご指摘ありがとうございましたm(_ _)m

補足
  • どちらの方法にせよ計算ミスしやすいので,必ず検算しましょう(AAA1A^{-1} の積が単位行列になっていることを確認!)
  • 4×4以上だと余因子による方法はかなり厳しいです。掃き出し法をマスターしてください。

僕はサイズ3なら余因子,サイズ4以上なら掃き出し法を使います。

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