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行列のランクの意味(8通りの同値な定義)

更新日時 2021/03/07

任意の行列に対してランクと呼ばれる重要な量が定まる。ランクにはいろいろな意味(性質)がある。

目次
  • ランクには様々な意味がある

  • ランクの定義,性質(一次独立編)

  • ランクの定義,性質(行列の変形編)

  • ランクの定義,性質(その他編)

ランクには様々な意味がある

ランク(階数,rank)とは任意の(正方行列とは限らない)行列に対して定義される重要な量です。

ランクには同値な定義(性質)がたくさんあります。以下の1〜8のいずれか一つをランクの定義とすれば残りはランクの性質として導けます(証明は線形代数の教科書を参照して下さい)。

8つとも重要です。全て理解するのが理想ですが,まずは自分が親しみやすい定義を一つきちんと覚えましょう。

ランクの定義,性質(一次独立編)

1. AA の正則(行列式が0でない)な小行列でサイズが最大なもののサイズ

例えば A=(120124130033)A=\begin{pmatrix}1&2&0&1\\2&4&1&3\\0&0&3&3\end{pmatrix} について,2×22\times 2 の部分行列の一つ (2041)\begin{pmatrix} 2&0\\4&1\end{pmatrix} は正則ですが,3×33\times 3 の部分行列は全て非正則です。よって rankA=2\mathrm{rank}\:A=2 です。

2. AA の一次独立な行ベクトルの最大本数

さっきの例:一行目 (1,2,0,1)(1,2,0,1) と二行目 (2,4,1,3)(2,4,1,3) は一次独立ですが,三行目 (0,0,3,3)(0,0,3,3) を加えると一次従属になる(二行目の 33 倍から一行目の 66 倍を引くと三行目になる)ので rankA=2\mathrm{rank}\:A=2 です。

3. AA の一次独立な列ベクトルの最大本数

さっきの例:一列目 (120)\begin{pmatrix}1\\2\\0\end{pmatrix} と三列目 (013)\begin{pmatrix}0\\1\\3\end{pmatrix} は一次独立ですが,どの三列を選んでも一次従属になるので rankA=2\mathrm{rank}\:A=2 です。

ランクの定義,性質(行列の変形編)

4.階段形にしたときに 00 でない成分が残る行の数

行列の階段形

階段形とは図のような行列です。任意の行列 AA に対して正則行列 SS をうまく取ってくれば SASA を階段形にできます。

さっきの例: S=(100210631)S=\begin{pmatrix}1&0&0\\-2&1&0\\6&-3&1\end{pmatrix} とすれば SA=(120100110000)SA=\begin{pmatrix}1&2&0&1\\0&0&1&1\\0&0&0&0\end{pmatrix} となるので rankA=2\mathrm{rank}\:A=2 です。

実際にランクを計算するときは4を使います。

5.ランク標準形にしたときに 11 が並ぶ数

任意の行列 AA に対して正則行列 S,TS,T をうまく取ってくれば SAT=(IOOO)SAT=\begin{pmatrix}I&O\\O&O\end{pmatrix} という形にできます(II は適切なサイズの単位行列)。このときの II のサイズ(一意に決まる)が AA のランクとなります。

さっきの例: S=(100210631)S=\begin{pmatrix}1&0&0\\-2&1&0\\6&-3&1\end{pmatrix}T=(1021001001010001)T=\begin{pmatrix}1&0&-2&1\\0&0&1&0\\0&1&0&-1\\0&0&0&1\end{pmatrix} とすれば SAT=(100001000000)SAT=\begin{pmatrix}1&0&0&0\\0&1&0&0\\0&0&0&0\end{pmatrix} となるので rankA=2\mathrm{rank}\:A=2 です。

ランクの定義,性質(その他編)

6. dim(ImA)\mathrm{dim\:(Im }\:A),つまり AA の像の次元

さっきの例: AA の像は実数 a,b,c,da,b,c,d を用いて (a+2b+d2a+4b+c+3d3c+3d)\begin{pmatrix}a+2b+d\\2a+4b+c+3d\\3c+3d\end{pmatrix} と表される点の集合です。これは実は三次元空間内の二次元平面 (6x3y+z=06x-3y+z=0で表される平面)を表しているのでrankA=2\mathrm{rank}\:A=2 です。

7. AA00 でない特異値の数(AAAA^{\top}00 でない固有値の数)

注: AA00 でない固有値の数はランクと等しいとは限りません。例えば (0100)\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix} の固有値は 00 が二つですが,ランクは 11 です。

8.以下の条件を満たす最小の rr

条件: 2r2r 本の縦ベクトル u1,,ur,v1,,vru_1,\cdots,u_r,v_1,\cdots,v_r が存在して A=k=1rukvkA=\displaystyle\sum_{k=1}^ru_kv^{\top}_k と書ける。

注: ukvku_kv^{\top}_k は縦ベクトルと横ベクトルの積なので行列です。

ちなみに8で uk,u_k,vkv_k を非負ベクトルに限定したものを行列の非負ランクと言います。

Tag:数検1級の範囲と必要な公式まとめ

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