argmax,argminの意味と例
数学記号 および について解説します。(最大値) と (最大値を与える入力の集合) は混同しやすいのできちんと理解しましょう。
max の意味と例
max の意味と例
の最大値のことを と書くことがあります。
の最大値は なので,
の下側に動く変数や範囲を明示することも多いです。
さきほどの例をもう少しきちんと書くと,
ただし, は実数全体の集合を表す。
argmax の意味と例
argmax の意味と例
最大値を達成する値の集合を と書くことがあります。
の最大値 を達成するのは のときなので,
- は argument of the maximum(最大値を与える引数)の略です。
- で一つの記号です。
- は集合です。この例だ という数ではなく「 という1つの要素からなる集合」です。
- は最大値, は最大値を与える値の集合
- は値, は集合
min と argmin
min と argmin
と も同様です。
- は最小値, は最小値を与える値の集合
- は値, は集合
argmax・argmin のいろいろな例
argmax・argmin のいろいろな例
-
が または のとき の最大値は です: 最大値を達成する は です:
-
が 以上 以下を動くとき, の最大値は です: 最大値を達成する は3つあります:
- が正の整数全体を動くとき, の最小値は存在しません。「最小化する元の集合は空集合」と考えます:
凸関数のargminは凸集合
凸関数のargminは凸集合
おまけです。 および に関する定理を紹介します。
下に凸な関数の は凸集合(上に凸な関数の も凸集合)
多変数関数でも同様なので,一変数関数の場合のみ証明します。
の定義域を とする。 とする。
は凸関数なので,任意の なる に対して であり,
一方, より,
であり,この二つの不等式を加えると の逆向きの不等式を得る。つまり,二つの不等式は等号で成立する。
よって, となり を得る。つまり, は凸集合。
argumentとaugmentって紛らわしいですよね。