ビネ・コーシーの定理とその証明
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を 行列, を 行列とする。
なら,
, は正方行列とは限りませんが, は の正方行列なので行列式が定義できます。行列積 の行列式を の(部分行列の)行列式と の(部分行列の)行列式で表す美しい公式です。
ビネ・コーシーの公式,コーシー・ビネの公式などとも呼ばれます。
主張の補足と具体例
主張の補足と具体例
の部分について, は の部分集合で要素数が のもの全体を動きます。例えば の場合, は ,, を動きます。
は から に対応する列を取り出した行列です。 は から に対応する行を取り出した行列です。以下の例を見れば分かりやすいです。
の行列式は,
考察
考察
-
の場合, という重要な公式と一致します。
-
の場合, のランクは 未満なので行列式は です。
-
の場合からコーシー・シュワルツの不等式を証明できます。 実際,, とおくと定理の左辺は となり,定理の右辺は となります。ラグランジュの恒等式とその仲間もどうぞ。
定理の証明
定理の証明
ブロック行列の行列式の公式を用いて証明します。けっこう難しいです。
という行列を考える。ブロック行列の行列式の公式より
一方, という式から考えてみる。
( を選ばないために) から 個, の対角成分から 個, から 個選んだ項のみが残る。そのような項は「 と の の部分行列(ただし の列のインデックスと の行のインデックスは一致するようなもの)の行列式の展開項の組」と1対1に対応する。
ただし,符号については 倍ずれる(→補足)。よって,
となる。以上2式より定理は証明された。
補足
を整える(互換を繰り返して恒等置換にする)
=
の部分を整える
の部分を整える(さきほどの図の青◯に対応する置換→この図の◯に対応する置換)
(
に対して)
と
の
番目を交換(合計
回交換)
証明を分かりやすく伝えるのがとても難しい定理だと感じました。