ブロック行列の行列式,逆行列の公式と証明
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この記事では大きな行列を四つに区切ったブロック行列 について考えます。
と は正方行列とします。
ブロック行列の例
ブロック行列の例
は とブロック行列で表すことができます。
ブロックの分け方は1通りではありません。さきほどの行列を と分割することもできます。
ブロック行列の掛け算
ブロック行列の掛け算
をそれぞれ ブロックに分けます。
行 列のブロックを と表します。このとき と計算できます。
ブロック行列の行列式
ブロック行列の行列式
の行列式を, を用いて表す公式です!
が正則なとき,
が正則なとき,
〜公式の覚え方〜
2×2行列の行列式が と書けることを意識すると覚えやすいです。
なのか なのか迷いがちですが,行列のサイズを意識すると前者が正しいと分かります。また「時計回り」と覚えてもよいです( が時計回りの順になっている)。
〜公式が活躍する例〜
例えば行列の性質を数学的帰納法で証明するときに活躍します( が縦ベクトル, が横ベクトルのとき, のサイズは のサイズより1大きいです,また はスカラーとなり扱いやすいです)。
行列式の公式の証明
行列式の公式の証明
二つ目の式も同様なので,一つ目の式のみ示します。証明だけなら簡単です。
が成立する(右辺を計算すれば簡単に分かる,余談も参照)。
積の行列式は行列式の積であり,右辺の一つ目と三つ目の行列の行列式は なので,
を得る。
〜余談(なぜこのような変形が思いつくのか)〜
まず, の を使って を消します(列変形のノリ):
次に, を使って を消します(行変形のノリ)
この二つを合わせた式に,左から
右から
をかけると目標の式を得ます。
ブロック行列の逆行列
ブロック行列の逆行列
逆行列の公式の導出
逆行列の公式の導出
行列式のときに得た式を使えばあとは計算するのみです。
行列式のときに得た式より,
見た目はゴツイですが,導出の考え方は難しくありません。