置換積分の公式の証明と例題
置換積分について詳しく説明します。公式の見た目は難しいですが,やることは単純です。例題を見ながら理解しましょう。
置換積分(不定積分)の例題→公式の証明
置換積分(定積分)の例題→公式の証明
の順に解説します。
不定積分の場合の置換積分と例題
不定積分の場合の置換積分と例題
と置換すると,
不定積分の置換積分でやることは二つです。
1.被積分関数を新しい変数 の式で書き換える
2. を計算してかける
不定積分 を求めよ。
と置換する。 について解くと である。
-
被積分関数を を用いて表すと, となる。
-
である。よって,置換積分の公式を使うと,求める不定積分は
最後に を使って の式に戻すと,
注: は積分定数です,いちいち断らないことにします。なお,この不定積分は置換積分を用いなくてもできます。→積分速度を上げる公式
置換積分の公式(不定積分)の証明
置換積分の公式(不定積分)の証明
不定積分の定義&合成関数の微分公式を理解していれば簡単です!
の原始関数の一つを とする。つまり, である。置換積分の公式:
の左辺は となる。
このとき, を で微分すると(合成関数の微分公式より),
つまり, の による不定積分が となることを表している。すなわち公式の右辺も となる。
定積分の場合の置換積分と例題
定積分の場合の置換積分と例題
と置換すると, ただし, が と単調に変化するとき は と単調に変化するものとする。
定積分の置換積分でやることは3つです。
1.被積分関数を新しい変数 の式で書き換える
2. を計算してかける
3.積分区間を(新しい変数が動く範囲に)変更する
定積分 を計算せよ。
と置換する(→注)。
-
被積分関数を で表すと,
-
-
が のとき , のとき 以上より求める定積分の値は,
注: というかたまりがあるときは と置換するとうまくいくことが多いです。また,新しい変数は としてもよいですが, の中身なので にしました。
他の例題は 置換積分で簡単になる計算例 をどうぞ。
置換積分の公式(定積分)の証明
置換積分の公式(定積分)の証明
不定積分の場合の結果を使うとすぐです。
の原始関数の一つを とする。不定積分の場合の公式より が の原始関数の一つであることが分かる。よって,
定積分の置換積分は計算ミスの温床です。検算の優先度が極めて高いです。→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~では,いろいろな問題の検算の優先度についても記載しています。