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置換積分の公式の証明と例題

更新日時 2021/03/07

置換積分を行うときには変数を置き換えるだけでなく,微分をかけるのを忘れないように。定積分の場合は積分区間の変更も必要。

置換積分(不定積分)の例題→公式の証明

置換積分(定積分)の例題→公式の証明

の順に解説します。

目次
  • 不定積分の場合の公式と例題

  • 証明(不定積分)

  • 定積分の場合の公式と例題

  • 証明(定積分)

不定積分の場合の公式と例題

置換積分(不定積分)の公式:

x=g(t)x=g(t) と置換すると,f(x)dx=f(g(t))dxdtdt\displaystyle\int f(x)dx=\displaystyle\int f(g(t))\dfrac{dx}{dt}dt

不定積分の置換積分でやることは二つです。

1.被積分関数を新しい変数 tt の式で書き換える

2. dxdt\dfrac{dx}{dt} を計算してかける

例題

不定積分 x+1(x+2)dx\displaystyle\int \sqrt{x+1}(x+2)dx を求めよ。

解答

x+1=t\sqrt{x+1}=t と置換する。 x=t21x=t^2-1 である。

1.被積分関数を tt を用いて表すと,t(t21+2)=t3+tt(t^2-1+2)=t^3+t となる。

2. dxdt=2t\dfrac{dx}{dt}=2t

以上より求める不定積分は

(t3+t)2tdt=2t4+2t2dt=25t5+23t3+C\displaystyle\int (t^3+t)2tdt\\ =\displaystyle\int 2t^4+2t^2dt\\ =\dfrac{2}{5}t^5+\dfrac{2}{3}t^3+C

最後に xx の式に戻すと,25(x+1)52+23(x+1)32+C\dfrac{2}{5}(x+1)^{\frac{5}{2}}+\dfrac{2}{3}(x+1)^{\frac{3}{2}}+C

注: CC は積分定数です,いちいち断らないことにします。なお,この不定積分は置換積分を用いなくてもできます。→積分速度を上げる公式

証明(不定積分)

不定積分の定義&合成関数の微分公式を理解していれば簡単です!

証明

f(x)f(x) の原始関数の一つを F(x)F(x) とする。つまり,dF(x)dx=f(x)\dfrac{dF(x)}{dx}=f(x) である。公式の左辺は F(x)+CF(x)+C となる。

このとき,F(x)F(x)tt で微分すると(合成関数の微分公式より),

dF(x)dt=dxdtdF(x)dx=dxdtf(x)=dxdtf(g(t))\dfrac{dF(x)}{dt}=\dfrac{dx}{dt}\dfrac{dF(x)}{dx}=\dfrac{dx}{dt}\cdot f(x)=\dfrac{dx}{dt}f(g(t))

つまり,dxdtf(g(t))\dfrac{dx}{dt}f(g(t))tt による不定積分が F(x)F(x) となることを表している。すなわち公式の右辺も F(x)+CF(x)+C となる。

定積分の場合の公式と例題

置換積分(定積分)の公式:

x=g(t)x=g(t) と置換すると,abf(x)dx=αβf(g(t))dxdtdt\displaystyle\int_a^b f(x)dx=\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta} f(g(t))\dfrac{dx}{dt}dt

ただし,ttαβ\alpha\to \beta と単調に変化するとき xxaba\to b と単調に変化するものとする。

定積分の置換積分でやることは三つです。

1.被積分関数を新しい変数 tt の式で書き換える

2. dxdt\dfrac{dx}{dt} を計算してかける

3.積分区間を(新しい変数が動く範囲に)変更する

例題2

定積分 01dx1+x2\displaystyle\int_0^{1}\dfrac{dx}{1+x^2} を計算せよ。

解答

x=tanθ(π2<θ<π2)x=\tan\theta\:(-\dfrac{\pi}{2} <\theta <\dfrac{\pi}{2}) と置換する(→注)。

1.被積分関数を θ\theta で表すと,11+tan2θ=cos2θ\dfrac{1}{1+\tan^2\theta}=\cos^2\theta

2. dxdθ=1cos2θ\dfrac{dx}{d\theta}=\dfrac{1}{\cos^2\theta}

3. xx00 のとき θ=0\theta=0x=1x=1 のとき θ=π4\theta=\dfrac{\pi}{4}

以上より求める定積分の値は,

0π4cos2θ1cos2θdθ=π4\displaystyle\int_0^{\frac{\pi}{4}}\cos^2\theta\dfrac{1}{\cos^2\theta}d\theta=\dfrac{\pi}{4}

注: a2+x2a^2+x^2 というかたまりがあるときは x=atanθx=a\tan\theta と置換するとうまくいくことが多いです。また,新しい変数は tt としてもよいですが,tan\tan の中身なので θ\theta にしました。

証明(定積分)

不定積分の場合の結果を使うとすぐです。

証明

f(x)f(x) の原始関数の一つを F(x)F(x) とする。不定積分の場合の公式より F(g(t))F(g(t))f(g(t))dxdtf(g(t))\dfrac{dx}{dt} の原始関数の一つであることが分かる。よって,

abf(x)dx=F(b)F(a)=F(g(β))F(g(α))=αβf(g(t))dxdtdt\displaystyle\int_a^b f(x)dx\\ =F(b)-F(a)\\ =F(g(\beta))-F(g(\alpha))\\ =\displaystyle\int_{\alpha}^{\beta}f(g(t))\dfrac{dx}{dt}dt

定積分の置換積分は計算ミスの温床です。

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