置換積分を用いずに積分速度を上げる公式
基準を ではなく にして積分すると楽な場合がある。
積分速度を上げる小技を紹介します。
まずは例題
まずは例題
を計算せよ。
積分の中身を「 を基準にする」ように変形する(→補足1)と,
これを から まで積分すると,
となる(→補足2)。
と展開して積分したくなりますが,そのような素直な方法だと計算が大変です(やってみてください)。
補足1:x-α を基準にするとは
補足1:x-α を基準にするとは
の2次式は というように整理することが多いです。しかし, と整理することもできます。
例えば,例題1では と整理するのではなく と整理しました。
より一般に, の 次多項式は任意の実数 に対して と表せます。
この記事では上記のように変形する方法を「 を基準にする」と呼ぶことにします。
補足2: の積分方法
補足2: の積分方法
- この積分公式は,右辺を微分することで証明できます。合成関数の微分公式を理解していれば簡単に微分できます。
- が整数でないときも一般的に成立します。例えば とすると,ルートを含む関数の積分公式になります。
累乗根の中身に1次式がある場合の積分
累乗根の中身に1次式がある場合の積分
を基準にして積分するとよい,より難しい例題です。
ルートの中身 を とおいて置換積分することもできますが, ではなく を基準にして解いたほうが少し早いです。
積分公式は最後の行で使っています。1行目から2行目への変形がポイントです。
やっていることは置換積分と本質的に変わりませんが,置換作業が必要ないので計算ミスをしにくいですし,時間短縮にもなります。
置換積分,部分積分は高校数学の中でも最も計算ミスをしやすいポイントなので,公式を駆使して計算を単純化しましょう。
ちなみに,1次の項の係数が1でない以下のような問題にも対応できます。
1行目から2行目の変形で,1次の項の係数が1になるようにくくり出しているのがポイントです。
→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT29も参照してください。
慣れれば置換積分を行うよりもかなりスピードアップするので,置換積分を用いないこの方法を使いこなせるようになりましょう。
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