指数関数y=a^xの微分公式の4通りの証明

指数関数の微分

任意の a>0a > 0 に対して y=axy=a^x の導関数は,y=axlogay'=a^x\log a である。

この公式を4通りの方法で証明します! 指数関数の取り扱い,極限操作の練習にどうぞ。

注:この記事では対数の底を省略した場合は底が ee であることを表します。底が aa のときは明記します。

定義に従って求める方法

微分の定義に従って計算していきます。

証明1

axa^x の導関数は,

limh0ax+haxh=axlimh0ah1h\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{a^{x+h}-a^x}{h}\\ =a^x\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{a^h-1}{h}

ここで,ah=elogaha^h=e^{\log a^h} に注意(両辺の対数を取ると確認できる)すると,上式は

axlimh0elogah1logahlogahh=axlimh0elogah1logahhlogah=axlogalimh0elogah1logaha^x\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{e^{\log a^h}-1}{\log a^h}\cdot\dfrac{\log a^h}{h}\\ =a^x\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{e^{\log a^h}-1}{\log a^h}\cdot\dfrac{h\log a}{h}\\ =a^x\log a\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{e^{\log a^h}-1}{\log a^h}

となる。ただし,1つめの等号では対数(log)の公式の1つである logah=hloga\log a^h=h\log a を用いた。

さらに,h0h\to 0 のとき logah0\log a^h\to 0 であることと,limt0et1t=1\displaystyle\lim_{t\to 0}\dfrac{e^t-1}{t}=1→指数関数と対数関数の極限の公式)を使うと,上式の極限部分は 11 となる。つまり,上式は axlogaa^x\log a となる。

対数微分法を用いる方法

前提:対数微分法,合成関数の微分

証明2

y=axy=a^x の対数を取る: logy=xloga\log y=x\log a

両辺微分: yy=loga\dfrac{y'}{y}=\log a

よって,y=yloga=axlogay'=y\log a=a^x\log a

計算がとても楽でした!

逆関数の微分公式を用いる方法

前提:逆関数の微分

証明3

y=axy=a^x の逆関数は,x=logay=logylogax=\log_a y=\dfrac{\log y}{\log a} である。

これを yy で微分すると,dxdy=1yloga\dfrac{dx}{dy}=\dfrac{1}{y\log a}

よって,逆関数の微分公式より,

dydx=yloga=axloga\dfrac{dy}{dx}=y\log a=a^x\log a

証明2と非常に似ていますが,考え方(対数微分法なのか逆関数の微分なのか)は異なります。

e^xの微分公式を用いる方法

前提: (ex)=ex(e^x)'=e^x ,合成関数の微分

証明4

ax=elogax=exlogaa^x=e^{\log a^x}=e^{x\log a}

であるので,合成関数の微分公式より (ax)=loga(exloga)=axloga(a^x)'=\log a(e^{x\log a})=a^x\log a

一般の指数関数 axa^x を,一番扱いやすい指数関数 exe^x に帰着させる公式: ax=exlogaa^x=e^{x\log a} はかなり重要です。

→高校数学の問題集 ~最短で得点力を上げるために~のT132では,指数関数の微分に関する発展問題と2通りの解法を紹介しています。

証明1が一番複雑ですが,定義に従って導出できることも大事です。

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