三次方程式の解き方3パターンと例題5問

三次方程式には解き方のパターンが3つあります。

  1. 公式を使って因数分解する
  2. 解を1つ見つけて因数分解する(重要)
  3. カルダノの公式を使う(高校数学範囲外)

それぞれ,解き方と例題をわかりやすく解説します。

三次方程式の解き方1(因数分解公式)

もし因数分解できれば三次方程式は解けます。三次方程式を解くのに使える因数分解公式には,
(A) x3a3=(xa)(x2+ax+a2)x^3-a^3=(x-a)(x^2+ax+a^2)
(B) x3+3ax2+3a2x+a3=(x+a)3x^3+3ax^2+3a^2x+a^3=(x+a)^3
があります。

例題1

三次方程式 x38=0x^3-8=0 を解け。

解答

公式(A)を使って左辺を因数分解すると,

(x2)(x2+2x+4)=0(x-2)(x^2+2x+4)=0

となる。よって,x2=0x-2=0 または x2+2x+4=0x^2+2x+4=0 だが,後半の2次方程式を解の公式で解くと

x=1±3ix=-1\pm\sqrt{3}i

よって,答えは x=2,1±3ix=2,-1\pm\sqrt{3}i

例題2

三次方程式 x36x2+12x8=0x^3-6x^2+12x-8=0 を解け。

解答

公式(B)を使って左辺を因数分解すると, (x2)3=0(x-2)^3=0

よって,答えは x=2x=2 のみ(三重解)

三次方程式の解き方2(因数定理)

次は2つめのパターンです。因数定理を使って,三次方程式 ax3+bx2+cx+d=0ax^3+bx^2+cx+d=0 を解きましょう。

解き方の流れ
  1. 方程式を満たす有理数 α\alpha を頑張って1つ探す
  2. 左辺を (xα)(x-\alpha) で割って因数分解する
  3. 残った二次方程式を解く

この流れ1~3に従って例題を解いてみましょう。

例題3

三次方程式 x32x2x+2=0x^3-2x^2-x+2=0 を解け。

解答
  1. 方程式を満たす有理数 α\alpha を頑張って探す。ためしに α=1\alpha=1 とすると,左辺は 121+2=01-2-1+2=0 となりうまくいく!(どうやって α=1\alpha=1 を見つけるかは補足を参照)

  2. 左辺を x1x-1 で割って因数分解すると,(x1)(x2x2)(x-1)(x^2-x-2) となる。

  3. 二つ目の因数 x2x2x^2-x-2 をさらに分解すると,(x1)(x2)(x+1)(x-1)(x-2)(x+1) よって答えは x=1,1,2x=-1,1,2

補足

  • a,b,c,da,b,c,d が整数のとき,ax3+bx2+cx+d=0ax^3+bx^2+cx+d=0 の有理数解は(dd の約数)/(aa の約数)です。→方程式の有理数解
  • この問題は x=±1,±2x=\pm 1,\pm 2 が候補です。候補の中で3つ当たり(1,1,2-1,1,2)があったので解きやすい問題です。
  • 多項式の割り算は組立除法を使ってもよいですが,慣れればそんなことしなくても(両辺の係数を合わせる意識で)因数分解できます。
  • きちんと因数分解されれば(割り算の余りが 00 になれば)ここまでのステップの計算に自信が持てます。
例題4

三次方程式 4x32x26x+3=04x^3-2x^2-6x+3=0 を解け。

解答
  1. 方程式を満たす有理数 α\alpha の候補は ±1,±3,±12,±32,±14,±34\pm 1,\pm 3,\pm\dfrac{1}{2},\pm\dfrac{3}{2},\pm\dfrac{1}{4},\pm\dfrac{3}{4}
    である。頑張って調べると α=12\alpha=\dfrac{1}{2} とするとうまくいく。

  2. 左辺を 2x12x-1 割ると,(2x1)(2x23)=0(2x-1)(2x^2-3)=0

  3. 二つ目の因数から出てくる二次方程式の解と合わせると答えは x=12,±62x=\dfrac{1}{2},\pm\dfrac{\sqrt{6}}{2}

補足

  • この問題は有理数解の候補がたくさんある中で当たりが一つしかないので解きにくい問題です。
  • x=qpx=\dfrac{q}{p} が解の場合,xqpx-\dfrac{q}{p} で割るのではなく pxqpx-q で割ると計算が少し楽です。

解の公式で三次方程式を解く

例題5

三次方程式 x3+3x2+x+1=0x^3+3x^2+x+1=0 を解け。

有理数解の候補は x=±1x=\pm 1 ですが,これは解になりません。よって,この三次方程式は有理数解を持たず,簡単に解くことはできません。このような三次方程式は入試ではまず登場しないので,登場したら立式の計算ミスを疑いましょう。

ちなみに,三次方程式の解の公式を使えば一応解けます(答えはリンク先の記事末を見てください)。→カルダノの公式と例題【三次方程式の解の公式】

有理数解を一発で当てられると嬉しいですね。

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