剰余の定理:やさしい例題・証明・むずかしい応用問題まで

更新日時 2021/03/07

剰余の定理とは,高校数学で習う以下の定理のことです。

剰余の定理

多項式 P(x)P(x)(xa)(x-a) で割った余りは P(a)P(a) になる。

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剰余の定理についてくわしく解説します。簡単な例題から難しい応用問題まで説明します。

目次
  • 剰余の定理の意味と例題

  • 剰余の定理の証明

  • 割り算の等式

  • 剰余の定理の応用

  • 練習問題

剰余の定理の意味と例題

剰余とは「割り算の余り」のことです。剰余の定理を使うと「割り算の余り」をすばやく計算できます。

例題1

P(x)=x2+3x+1P(x)=x^2+3x+1x2x-2 で割った余りを計算せよ。

解答

剰余の定理より,

P(x)P(x)(x2)(x-2) で割った余りは P(2)P(2) となる。 つまり,P(x)P(x)x=2x=2 を代入すればよいので,答えは

P(2)=22+3×2+1=11P(2)=2^2+3\times 2+1=11

このように,剰余の定理を使えば割り算の余りを簡単に計算できます。多項式の割り算を計算しなくてもよいので楽です。

なお,P(x)P(x)xax-a で割った余りは P(a)P(a) です。 x+ax+a で割った余りは P(a)P(-a) です。符号を間違う人が多いので注意して下さい。

剰余の定理の証明

割り算の等式をきちんと書ければ,剰余の定理の証明はとても簡単です。(割り算の等式については後でくわしく説明します)

証明

多項式 P(x)P(x)xax-a で割ったときの商を Q(x)Q(x),余りを RR とおくと,

P(x)=(xa)Q(x)+RP(x)=(x-a)Q(x)+R

この等式に x=ax=a を代入すると,

P(a)=0×Q(x)+RP(a)=0\times Q(x)+R

つまり P(a)=RP(a)=R となる。

よって,P(x)P(x)xax-a で割った余りは,P(a)P(a)

剰余の定理はもちろん覚えるべきですが,割り算の等式を立式できることが非常に重要です。

割り算の等式

割られる式=割る式×商+余り
(ただし余りの次数は商の次数より小さい)

という関係を割り算の等式と言います。剰余の定理を応用する際に非常に重要です。

  • 例えば,x2+3x+1x^2+3x+1x2x-2 で割る場合,
    (x2+3x+1)=(x2)(x+5)+11(x^2+3x+1)=(x-2)(x+5)+11
    という等式から,商は x+5x+5 で余りは 1111 になることがわかります。
  • 多項式 P(x)P(x)(xa)(x-a) で割った余りを Q(x)Q(x),余りを RR とおくと,
    P(x)=Q(x)(xa)+RP(x)=Q(x)(x-a)+R
    が成立します。

剰余の定理の応用

割り算の等式さえきちんと書ければ,剰余の定理を使う問題はほとんど解けます。応用問題を3問解いてみましょう。

ax+b で割った余り

P(x)P(x)ax+bax+b で割った余りは P(ba)P\left( -\dfrac{b}{a} \right) になります。

例題2

P(x)=x5P(x)=x^52x12x-1 で割ったときの余りを求めよ。

解答

商を Q(x)Q(x),余りを RR とおくと,

x5=(2x1)Q(x)+Rx^5=(2x-1)Q(x)+R

となる。両辺に x=12x=\dfrac{1}{2} を代入すると,

R=P(12)=132R=P \left( \dfrac{1}{2} \right)=\dfrac{1}{32}

このように,1次の係数が 11 でない場合も割り算の等式をたてる → 「割る式=0の解」を代入するという流れで余りを計算できます。

二次式で割る場合

二次式で割る場合,余りは1次以下なので ax+bax+b とおけます。

例題3

P(x)=x4+xP(x)=x^4+xx23x+2x^2-3x+2 で割ったときの余りを求めよ。

解答

余りは一次式になることに注意して商を Q(x)Q(x),余りを ax+bax+b とおくと,

x4+x=Q(x)(x23x+2)+ax+bx^4+x=Q(x)(x^2-3x+2)+ax+b

ここで,x23x+2=0x^2-3x+2=0 の解が x=1,2x=1,2 であるので,両辺に x=1,2x=1,2 をそれぞれ代入すると,

2=a+b2=a+b

24+2=2a+b2^4+2=2a+b

これを解くと a=16,b=14a=16,b=-14,よって答えは 16x1416x-14

剰余の定理は使えませんでしたが,割り算の等式をたてる → 「割る式=0の解」を代入するという流れは同じでした。

重解の場合

重解のときには情報が足りないので微分すると覚えておきましょう。

例題4

f(x)=x10f(x)=x^{10}(x1)2(x-1)^{2} で割った余りを求めよ。

解答

余りが一次式になることに注意して,商を Q(x)Q(x),余りを ax+bax+b とおくと,

x10=(x1)2Q(x)+ax+bx^{10}=(x-1)^2Q(x)+ax+b

鉄則に従って両辺に x=1x=1 を代入すると 1=a+b1=a+b を得る。

これだけでは情報が足りないので,両辺を xx で微分してから x=1x=1 を代入すると

10x9=2(x1)Q(x)+(x1)2Q(x)+a10x^9=2(x-1)Q(x)+(x-1)^2Q'(x)+a

10=a10=a

を得る。よって,余りは 10x910x-9

注1:両辺微分するときに積の微分公式: (fg)=fg+fg(fg)'=f'g+fg' (数3で習う)を使っています。

注2:テイラー展開を知っていれば簡単に検算できます。 f(x)=x10f(x)=x^{10}x=1x=1 でテイラー展開すると,

x10=f(1)+f(1)(x1)+x^{10}=f(1)+f'(1)(x-1)+(x1)2(x-1)^2 以上の項」

よって,求める余りは

f(1)+f(1)(x1)=1+10(x1)=10x9f(1)+f'(1)(x-1)\\ =1+10(x-1)\\ =10x-9

練習問題

入試数学コンテストの過去問です。

第2回第2問

整式 P(x)P(x)(x1)2(x-1)^2 で割った余りが 2x+52x+5 であり, x+1x+1 で割った余りが 5-5 である。

(1) P(x)P(x)x1x-1 で割ったときの余りを求めよ。

(2) P(x)P(x)x21x^2-1 で割ったときの余りを求めよ。

(3) P(x)P(x)(x1)2(x+1)(x-1)^2(x+1) で割ったときの余りを求めよ。

解答はこちら→ 入試数学コンテスト第2回第2問解答解説

剰余の定理を使った超難問がないかと探してみましたがいいのがありませんでした。

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