ゼロ乗(0乗),マイナス乗,分数乗,無理数乗
以下の1~5を順々に解説していきます。
正の実数 と実数 に対して, を以下のように定義する:
-
が正の整数のとき, ( を 回かけたもの)
-
が のとき,
-
が負の整数のとき,
-
が有理数 のとき,
-
が無理数のとき, が連続関数になるようにつなげる
1.正の整数乗
1.正の整数乗
が正の整数 の場合, は を 回かけたものというのは中学数学の累乗計算で習います。
2.ゼロ乗(0乗)
2.ゼロ乗(0乗)
ゼロ乗は1と定義します。
,
がともに正の整数のとき,指数法則 が成り立っていました。これが や が のときにも成り立って欲しいと考えます。
とすると となり, より となります。
と来たら
と定義したくなります。
3.マイナス乗
3.マイナス乗
が負の整数 のとき, と定義します。
が負の数のときにも指数法則 が成り立って欲しいと考えます。 としてみると, となり, を得ます。
と来たら
と定義したくなります。
4.有理数乗(分数乗)
4.有理数乗(分数乗)
有理数乗の定義には累乗根が登場します。 が有理数 のとき, と定義します。
が有理数のときにも指数法則 が成り立って欲しいと考えます。これを繰り返し使うと「 は を 回かけたもの」という式が得られます。
つまり, と定義したくなります。
- 無理数乗
- 無理数乗
無理数乗を定義するときには指数法則には頼れません。
- 有理数乗は定義できた
- 無理数のいくらでも近くに有理数がある
→無理数乗は有理数乗の極限で定義しよう
と考えます。
厳密には,各項が有理数で に収束する数列 を取ってきて, と定義します。
(極限は収束してその値は数列 の取り方によりません)
を定義したい。 は定義されているので,この数列の極限を とする。
ちなみに「複素数乗」も定義できますがかなり難しいです。→複素数の対数関数とiのi乗の主値が実数であること
無理数乗の定義をきちんと言える高校生はかなり少ない気がします。