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複素数の対数関数とiのi乗の主値が実数であること

更新日時 2021/03/07

虚数単位 iiii 乗はいくらなのか?というのを目標に,複素数の対数関数と指数関数について解説します。

目次
  • 複素対数関数

  • 一般形

  • 多価関数,主値

  • 一般の複素数のベキ

  • iのi乗

複素対数関数

この記事では a,ba,\:b は実数,nn は整数とします。

任意の複素数 z=a+biz=a+bi に対してネイピア数 ee を底とする指数関数は以下のように定義されます:

ez=ea(cosb+isinb)e^z=e^a(\cos b+i\sin b)

詳細は,複素指数関数とオイラーの公式を参照してください。

(以下で用いる指数法則 ez+w=ezewe^{z+w}=e^ze^w も証明しています。)

この逆関数として ee を底とする複素対数関数を定義したくなります。

すなわち,zz が与えられたときに ew=ze^w=z となるような wwzz の対数とみなし, w=logzw=\log z と書きます。

しかし,zz を与えたときに複素数 ww は一意には決まりません!

logi\log \:i について考える。

ew=ie^w=i を満たす ww を探す。まず,上記の定義より w=π2iw=\dfrac{\pi}{2} i が一つの解であることが分かる。しかし, 2πi2\pi i の整数倍を加えても ewe^w の値は変わらない

ew+2πni=ewe2πni=ew(cos2πn+isin2πn)=ewe^{w+2\pi ni}=e^we^{2\pi ni}=e^w(\cos 2\pi n+i\sin 2\pi n)=e^w

ので,w=(12+2n)πiw=(\dfrac{1}{2}+2n)\pi i は全て解となる。

よって,logi\log\: i は一つに決まらず,logi=(12+2n)πi\log \:i=(\dfrac{1}{2}+2n)\pi inn は任意の整数)となる。

一般形

さきほど logi\log \:i について考えたことを一般の複素数で考えると以下のことが分かります。

一般に,00 でない複素数 zz に対してその対数は,

logz=logz+iargz\log z=\log |z|+i\mathrm{arg}\:z

ただし z0|z|\neq 0 は複素数 zz の絶対値,argz\mathrm{arg}\:z は偏角です。→複素数平面における回転と極形式

  • z|z| は正の実数なので,logz\log |z| は高校数学から使っている対数関数として問題なく定義できます。
  • 偏角 argz\mathrm{arg}\:z としては 2π2\pi の整数倍の任意性があるために logz\log z には無限個の複素数が対応してしまうのです。

多価関数,主値

繰り返しになりますが, logz\log z には無限個の複素数が対応します。

このように,一つの値を入れたときに複数の値を返す関数を多価関数と言います。複素対数関数は多価関数です。

しかし,値がいくつも(複素対数関数の場合無限個)返ってくると困るので一つに制限したいことがあります。

そこで,例えば偏角を π<argzπ-\pi <\mathrm{arg}\:z \leq \pi に制限することで logz\log z の中から一つ代表のものを取り出すことができます。

この logz\log z の中での代表のものを主値と言い,Logz\mathrm{Log}\: z と書きます。

logi=(12+2n)πi\log \:i=(\dfrac{1}{2}+2n)\pi i であったが,主値は虚部が π-\pi より大きくて π\pi 以下のものである。よって,Logz=12πi\mathrm{Log}\:z=\dfrac{1}{2}\pi i

一般の複素数のベキ

複素対数関数を用いて,一般の複素数の複素数乗を定義することができます:

00 でない複素数 zz と任意の複素数 ww に対して,

zw=ewlogzz^w=e^{w\log z} と定義する。

  • ee の複素数乗と,複素対数関数は定義されているので右辺は計算できます。その値を zwz^w と定義するのです。
  • 実数の場合には x=elogxx=e^{\log x} であることからも(覚えておくと便利な対数の公式3点セットの一つ目参照)自然な定義です。
  • 複素数の対数関数が多価関数であったので zwz^w も多価関数です。
  • 複素対数関数の主値を用いることで zwz^w の主値を考えることができます。

iのi乗

これにて iiii 乗を計算することができます。なんと iiii 乗(の主値)は実数です!

iiii 乗の主値を求めます。

まず,定義より ii=eilogii^i=e^{i\log i}

また,さきほどの例から logi\log i の主値は πi2\dfrac{\pi i}{2} である。

以上から,ii=eπ2i^i=e^{-\tfrac{\pi}{2}}

これは実数(0.20.2 くらい)!

iiii 乗が0.2くらいだなんてイメージわかないですよねえ。

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