覚えておきたい対数(log)の応用公式4点セット

更新日時 2022/04/28

対数の基本的な性質・公式については,対数の基本的な性質とその証明 で詳しく述べています。 ここでは教科書に載っていないですが,使いこなせばかなりの時間短縮になる公式を4つ紹介します。発展的ですが,覚えておくことをおすすめします。

目次
  • 対数の応用公式一覧

  • 対数の応用公式を用いた計算例

  • 公式の証明

対数の応用公式一覧

覚えておくと便利な対数の公式を一覧にしてまとめました。

対数の応用公式

(i) alogbc=clogbaa^{\log_b c}=c^{\log_b a}

(ii) (logab)(logbc)=logac(\log_a b)(\log_b c)=\log_a c

(iii) loganb=1nlogab\log_{a^n} b=\dfrac{1}{n}\log_a b

(iv) logab=1logba\log_a b= \dfrac{1}{\log_b a}

特に,(i)が重要かつ頻出で,「指数の肩に log\log が乗っているときは左下と右上が交換できる」と覚えましょう。この公式は logba\log_b a が計算できる場合に有効で a=b=ea=b=e の場合が頻出です。一見計算できない式を簡単な形に変形できます。

(ii), (iii)は時間を惜しまないなら毎回底の変換公式を用いて計算すればよいのですが,(i)は形を見た時にピンとこないと厳しいです。

(iv)は底の変換公式の特殊な形となっています。

対数の応用公式を用いた計算例

上記の公式を使った計算例を見てみましょう。基本的な公式のみを使って計算するよりも方針が立ちやすく,かつ素早く計算できることがわかっていただけると思います。

(i)の例: 4log23=3log24=32=94^{\log_2 3}=3^{\log_2 4}=3^2=9

(i)の例: elogf(x)=f(x)e^{\log f(x)}=f(x)

(ii)の例: (log23)(log35)=log25(\log_2 3)(\log_3 5)=\log_2 5

(ii)の例: (logxy)(logyz)(logzx)=logxx=1(\log_x y)(\log_y z)(\log_z x)=\log_x x=1

(iii)の例: 3log83=log233{\log_8 3}=\log_2 3

公式の証明

順に公式を証明していきましょう。

(i)の証明

自明な等式 (logbc)(logba)=(logba)(logbc)(\log_b c)(\log_b a)=(\log_b a)(\log_b c) において,

対数の基本的な性質 αlogxy=logxyα\alpha\log_x y=\log_x y^\alpha を用いれば

logb(alogbc)=logb(clogba)\log_b(a^{\log_b c})=\log_b(c^{\log_b a}) を得る。

よって対数の中身が等しいことから求める公式を得る。

(ii)の証明

底の変換公式 logbc=logaclogab\log_b c=\dfrac{\log_a c}{\log_a b}

の分母を払えばよい。

(iii)の証明

こちらも底の変換公式から,

loganb=logablogaan=logabn\log_{a^n} b=\dfrac{\log_a b}{\log_a a^n}=\dfrac{\log_a b}{n}

(iv)の証明

底の変換公式から,

logab=logcblogca\log_a b = \dfrac{\log_c b}{\log_c a}

c=bc=b とすると,logbb=1\log_b b =1 であることより

logab=1logba\log_a b= \dfrac{1}{\log_b a}

Tag:大学入試共通テストにも役立つ即効性の高い公式まとめ