三角関数の相互関係とその証明
三角関数 の間には,以下の関係式が成立します。これらの関係式のことを,三角関数の相互関係と言います。
三角関数の相互関係について,2通りの証明と例題を解説します。
三角関数の相互関係の証明(直角三角形から)
三角関数の相互関係の証明(直角三角形から)
直角三角形を用いた三角関数の定義から,相互関係の1と2を導出します。
の証明
を示しましょう。
の定義は
であった。よって,
ここで,三平方の定理より
なので,上式の右辺は となる。
補足:三平方の定理については三平方の定理の4通りの美しい証明をご覧ください。
の証明
次に を証明しましょう。
さきほど見た定義 , より,
となり, の定義と一致する。
補足:直角三角形による三角関数の定義は三角関数の3通りの定義とメリットデメリットの定義1で紹介しています。
三角関数の相互関係の証明(単位円から)
三角関数の相互関係の証明(単位円から)
単位円を用いた三角関数の定義から相互関係を導出します。(→三角関数の3通りの定義とメリットデメリットの定義2)
の証明
単位円による定義を用いると簡単に示せます。
は単位円上にあるので
の証明
こちらもさきほどの証明より簡潔に示せます。
は の定義そのものである。
三角関数の相互関係3の証明
三角関数の相互関係3の証明
次に,3つめの相互関係 を証明します。
これは,今までに証明した三角関数の相互関係
を使えば証明できます。
1,2より,
4つめの関係式
4つめの関係式
今までの3つの公式に加えて,以下の公式も三角関数の相互関係と呼ばれることがあります:
1,2より,
4つめはあまり有名ではありませんが,3つめ:
と合わせて覚えておくとよいでしょう。
3,4どちらも,1と2を組み合わせることで導出できています。
練習問題
練習問題
のとき, と の値を求めよ。ただし, とする。
相互関係: より,
ここで, であり なので
また,相互関係: より
このように,相互関係を使うことで, のうちどれかひとつがわかれば,残り2つも(基本的には)求めることができます。
おまけ:マクローリン展開から1の公式を導出
おまけ:マクローリン展開から1の公式を導出
マクローリン展開を用いた三角関数の定義から相互関係1を導出します。(→三角関数の3通りの定義とメリットデメリットの定義3)
を証明したい。
左辺の奇数次の項は であり,定数項は である。
また, から導かれる公式: を使うと左辺の 次以上の偶数次の項も であることが確認できる。
3と4はペアなので,片方だけ教科書に載せるのではなくて,両方載せる,または両方載せないでほしいです。