三角関数の相互関係とその証明

三角関数 sinθ,cosθ,tanθ\sin\theta,\:\cos\theta,\:\tan\theta の間には,以下の関係式が成立します。これらの関係式のことを,三角関数の相互関係と言います。

三角関数の相互関係
  1. sin2θ+cos2θ=1\sin^2\theta+\cos^2\theta=1

  2. tanθ=sinθcosθ\tan\theta=\dfrac{\sin\theta}{\cos\theta}

  3. 1+tan2θ=1cos2θ1+\tan^2\theta=\dfrac{1}{\cos^2\theta}

  4. 1+1tan2θ=1sin2θ1+\dfrac{1}{\tan^2\theta}=\dfrac{1}{\sin^2\theta}

三角関数の相互関係について,2通りの証明と例題を解説します。

三角関数の相互関係の証明(直角三角形から)

直角三角形を用いた三角関数の定義から,相互関係の1と2を導出します。

sin2θ+cos2θ=1\sin^2{\theta} +\cos^2{\theta} =1の証明

sin2θ+cos2θ=1\sin^2\theta+\cos^2\theta=1 を示しましょう。

証明

三角関数の定義

sinθ,cosθ\sin\theta,\cos\theta の定義は

sinθ=BCAC, cosθ=ABAC \sin\theta=\dfrac{BC}{AC}, \ \cos\theta=\dfrac{AB}{AC}

であった。よって,

sin2θ+cos2θ=AB2+BC2AC2 \sin^2\theta+\cos^2\theta=\dfrac{AB^2+BC^2}{AC^2}

ここで,三平方の定理より

AB2+BC2=AC2 AB^2+BC^2=AC^2

なので,上式の右辺は 11 となる。

補足:三平方の定理については三平方の定理の4通りの美しい証明をご覧ください。

tanθ=sinθcosθ\tan\theta=\dfrac{\sin\theta}{\cos\theta} の証明

次に tanθ=sinθcosθ\tan\theta=\dfrac{\sin\theta}{\cos\theta} を証明しましょう。

証明

さきほど見た定義 sinθ=BCAC\sin\theta=\dfrac{BC}{AC}cosθ=ABAC\cos\theta=\dfrac{AB}{AC} より,

sinθcosθ=BCACACAB=BCAB \dfrac{\sin\theta}{\cos\theta}=\dfrac{BC}{AC}\cdot\dfrac{AC}{AB}=\dfrac{BC}{AB}

となり,tanθ\tan\theta の定義と一致する。

補足:直角三角形による三角関数の定義は三角関数の3通りの定義とメリットデメリットの定義1で紹介しています。

三角関数の相互関係の証明(単位円から)

単位円を用いた三角関数の定義から相互関係を導出します。(→三角関数の3通りの定義とメリットデメリットの定義2)

sin2θ+cos2θ=1\sin^2\theta+\cos^2\theta=1 の証明

単位円による定義を用いると簡単に示せます。

証明

(cosθ,sinθ)(\cos\theta,\sin\theta) は単位円上にあるので sin2θ+cos2θ=1\sin^2\theta+\cos^2\theta=1

sct2

tanθ=sinθcosθ\tan\theta=\dfrac{\sin\theta}{\cos\theta} の証明

こちらもさきほどの証明より簡潔に示せます。

証明

tanθ=sinθcosθ\tan\theta=\dfrac{\sin\theta}{\cos\theta}tanθ\tan\theta の定義そのものである。

三角関数の相互関係3の証明

次に,3つめの相互関係 1+tan2θ=1cos2θ 1+\tan^2\theta=\dfrac{1}{\cos^2\theta} を証明します。

これは,今までに証明した三角関数の相互関係

  1. sin2θ+cos2θ=1\sin^2\theta+\cos^2\theta=1
  2. tanθ=sinθcosθ\tan\theta=\dfrac{\sin\theta}{\cos\theta}

を使えば証明できます。

3の証明

1,2より,

1+tan2θ=1+sin2θcos2θ=cos2θ+sin2θcos2θ=1cos2θ\begin{aligned} &1+\tan^2\theta\\ &=1+\dfrac{\sin^2\theta}{\cos^2\theta}\\ &=\dfrac{\cos^2\theta+\sin^2\theta}{\cos^2\theta}\\ &=\dfrac{1}{\cos^2\theta} \end{aligned}

4つめの関係式

今までの3つの公式に加えて,以下の公式も三角関数の相互関係と呼ばれることがあります: 1+1tan2θ=1sin2θ 1+\dfrac{1}{\tan^2\theta}=\dfrac{1}{\sin^2\theta}

証明

1,2より,

1+1tan2θ=1+cos2θsin2θ=sin2θ+cos2θsin2θ=1sin2θ\begin{aligned} 1+\dfrac{1}{\tan^2\theta}&=1+\dfrac{\cos^2\theta}{\sin^2\theta}\\ &=\dfrac{\sin^2\theta+\cos^2\theta}{\sin^2\theta}\\ &=\dfrac{1}{\sin^2\theta} \end{aligned}

4つめはあまり有名ではありませんが,3つめ:

1+tan2θ=1cos2θ1+\tan^2\theta=\dfrac{1}{\cos^2\theta}

と合わせて覚えておくとよいでしょう。

3,4どちらも,1と2を組み合わせることで導出できています。

練習問題

例題1

sinθ=35\sin\theta=\dfrac{3}{5} のとき,cosθ\cos\thetatanθ\tan\theta の値を求めよ。ただし,0θ900^{\circ}\leqq\theta\leqq 90^{\circ} とする。

解答

相互関係:sin2θ+cos2θ=1\sin^2\theta+\cos^2\theta=1 より,

cos2θ=1sin2θ=1925=1625\begin{aligned} \cos^2\theta &=1-\sin^2\theta\\ &=1-\dfrac{9}{25}\\ &=\dfrac{16}{25} \end{aligned}

ここで,0θ900^{\circ}\leqq\theta\leqq 90^{\circ} であり cosθ>0\cos\theta>0 なので cosθ=45\cos\theta=\dfrac{4}{5}

また,相互関係:tanθ=sinθcosθ\tan\theta=\dfrac{\sin\theta}{\cos\theta} より tanθ=34\tan\theta=\dfrac{3}{4}

このように,相互関係を使うことで,sinθcosθtanθ\sin\theta\:\cos\theta\:\tan\theta のうちどれかひとつがわかれば,残り2つも(基本的には)求めることができます。

三角関数の相互関係

おまけ:マクローリン展開から1の公式を導出

マクローリン展開を用いた三角関数の定義から相互関係1を導出します。(→三角関数の3通りの定義とメリットデメリットの定義3)

証明の概略

(xx33!+x55!x77!+)2+(1x22!+x44!x66!+)2=1\begin{aligned} &\left(x-\dfrac{x^3}{3!}+\dfrac{x^5}{5!}-\dfrac{x^7}{7!}+\cdots\right)^2\\ &\,+\left(1-\dfrac{x^2}{2!}+\dfrac{x^4}{4!}-\dfrac{x^6}{6!}+\cdots\right)^2=1 \end{aligned}

を証明したい。

左辺の奇数次の項は 00 であり,定数項は 11 である。

また,(11)2n=0(1-1)^{2n}=0 から導かれる公式: k=02n(1)knCk=0\displaystyle\sum_{k=0}^{2n}(-1)^{k}{}_n\mathrm{C}_k=0 を使うと左辺の 22 次以上の偶数次の項も 00 であることが確認できる。

3と4はペアなので,片方だけ教科書に載せるのではなくて,両方載せる,または両方載せないでほしいです。

Tag:数学2の教科書に載っている公式の解説一覧