定理2
5 以上の任意の素数 p に対して,
11+221+321+⋯+(p−1)21
を既約分数で表したときの分子は p の倍数。
定理2の証明
N={(p−1)!}2k=1∑p−1k21 という整数が p の倍数であることを示せばよい。
N=k=1∑p−1{k(p−1)!}2
である。ここで,カッコの中身である k(p−1)! という整数たち(k=1,...,p−1)を p で割ったあまりはすべて異なる(もし k=k1,k2 に対して余りが同じなら,差を通分した k1k2(p−1)!(k2−k1) が p の倍数になるはずで矛盾)
よって,modp で
N≡k=1∑p−1k2=6(p−1)p(2p−1)≡0
定理3
5 以上の任意の素数 p に対して,2p−1Cp−1−1 は p3 の倍数。
(なお,2p−1Cp−1−1 が p4 の倍数になるような素数 p をウォルステンホルム素数と言う)
定理3の証明
f(x)=(x−1)(x−2)⋯(x−(p−1)) とおく。
f(x) の xn の係数を an とおくと,解と係数の関係より
- a0=(p−1)!
- k=1∑p−1k1=−a0a1
- k=1∑p−1k21=(k=1∑p−1k1)2−21≤i<j≤p−1∑ij1=a02a12−2a0a2
ここで,a0 は p の倍数ではないので,定理1と上記2より a1 は p2 の倍数。さらに,定理2と上記3より 2a0a2 は p の倍数。つまり a2 は p の倍数。
よって,modp3 で,
(p−1)!×{2p−1Cp−1−1}=f(2p)−(p−1)!≡{a0+a1(2p)+a2(2p)2}−a0=2p(a1+2pa2)=0
※定理2の定理3の証明は,kzy33550336 さんに教えていただきました!
なお,定理1と定理2をあわせて「ウォルステンホルムの定理」と呼ぶこともあるようです。
参考文献: