証明(前半)
k1+p−k1=k(p−k)p である。これを k=1 から k=2p−1 まで足し上げると
H(p−1)=p⎝⎛k=1∑2p−1k(p−k)1⎠⎞
となる。このシグマの部分を通分する。分母は (p−1)! になり分子は
N=k=1∑2p−1k(p−k)(p−1)!
となる(シグマの中身はそれぞれ整数)。以上より H(p−1)=(p−1)!pN となるが,p は (p−1)! と互いに素なので H(p−1) を既約分数で表したときの分子は p の倍数。
証明(後半)
2N=k=1∑p−1k(p−k)(p−1)! が p の倍数であることを示せばよい。
以下,合同式は modp で考え,modp における n の逆元を n−1 と書く(つまり,p の倍数でない n に対して、nx≡1 を満たす x が 1≤x≤p−1 にただ1つ存在するのでその x を n−1 と書く)。
各等号の理由は後述するが,以下のように示せる。
k=1∑p−1k(p−k)(p−1)!≡k=1∑p−1{−k(p−k)}−1≡k=1∑p−1(k2)−1=k=1∑p−1(k−1)2=k=1∑p−1k2=p×6(p−1)(2p−1)
p は3の倍数でないので (p−1) または (2p−1) が3の倍数になる。よって,上式は p の倍数。ただし,
- 1番最後の等号は,2乗和の公式からわかる
- その前の等号は,逆元が重複しないことからわかる。つまり,{1,2,...,p−1} の逆元はすべて異なるので {1−1,2−1,...,(p−1)−1} と {1,2,...,p−1} は集合として等しいことから。
- 最初の合同式は,ウィルソンの定理:(p−1)!≡−1 を使うと
k(p−k)(p−1)!×{−k(p−k)}≡1
がわかることから。