ウォルステンホルムの定理
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以上の任意の素数 に対して, を既約分数で表したときの分子は の倍数。
例
例
とおきます。
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のとき, は となります。分子は の倍数になっています。
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のとき となり,分子は の倍数になっています。
証明
証明
まず,分子に をつくり出すために,前と後ろから1つずつ取ってペアを作っていきます。
である。これを から まで足し上げると となる。このシグマの部分を通分する。分母は になり分子は となる(シグマの中身はそれぞれ整数)。以上より となるが, は と互いに素なので を既約分数で表したときの分子は の倍数。
さらに,残った部分である も の倍数であることを示します。
が の倍数であることを示せばよい。
以下,合同式は で考え, における の逆元を と書く(つまり, の倍数でない に対して、 を満たす が にただ1つ存在するのでその を と書く)。
各等号の理由は後述するが,以下のように示せる。
は3の倍数でないので または が3の倍数になる。よって,上式は の倍数。ただし,
- 1番最後の等号は,2乗和の公式からわかる
- その前の等号は,逆元が重複しないことからわかる。つまり, の逆元はすべて異なるので と は集合として等しいことから。
- 最初の合同式は,ウィルソンの定理: を使うと がわかることから。
関連する話題
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以上の任意の素数 に対して, を既約分数で表したときの分子は の倍数。
という整数が の倍数であることを示せばよい。
である。ここで,カッコの中身である という整数たち()を で割ったあまりはすべて異なる(もし に対して余りが同じなら,差を通分した が の倍数になるはずで矛盾)
よって, で
以上の任意の素数 に対して, は の倍数。
(なお, が の倍数になるような素数 をウォルステンホルム素数と言う)
とおく。
の の係数を とおくと,解と係数の関係より
ここで, は の倍数ではないので,定理1と上記2より は の倍数。さらに,定理2と上記3より は の倍数。つまり は の倍数。
よって, で,
※定理2の定理3の証明は,kzy33550336 さんに教えていただきました!
なお,定理1と定理2をあわせて「ウォルステンホルムの定理」と呼ぶこともあるようです。
参考文献:
早口言葉みたいな名前の定理です。