調和数列

逆数が等差数列である数列を調和数列と言う。例えば, 13,15,17,19,...\dfrac{1}{3},\dfrac{1}{5},\dfrac{1}{7},\dfrac{1}{9},... は逆数が 3,5,7,9,...3,5,7,9,... となり等差数列なので,調和数列。

基本問題

調和数列の問題は「逆数を取った数列を考える」「等差数列の考え方で解く」です。

例題1

12,x,4,...12,x,4,... が調和数列であるとき,xx の値を求めよ。

解答

逆数が等差数列なので, 112,1x,14\dfrac{1}{12},\dfrac{1}{x},\dfrac{1}{4} が等差数列。よって,隣との差がどこでも等しいので 1121x=1x14\dfrac{1}{12}-\dfrac{1}{x}=\dfrac{1}{x}-\dfrac{1}{4} これを解くと, 2x=112+14=13\dfrac{2}{x}=\dfrac{1}{12}+\dfrac{1}{4}=\dfrac{1}{3} つまり x=6x=6

一般項

引き続き,調和数列の問題は「逆数を取った数列を考える」「等差数列の考え方で解く」です。

例題2

例題1の調和数列 12,6,4,...12,6,4,... の一般項 ana_n を求めよ。

解答

逆数を並べた等差数列 1an\dfrac{1}{a_n} は,初項が 112\dfrac{1}{12} で公差は 16112=112\dfrac{1}{6}-\dfrac{1}{12}=\dfrac{1}{12} である。よって,1an=n12\dfrac{1}{a_n}=\dfrac{n}{12}

つまり an=12na_n=\dfrac{12}{n}

初項が aa で公差が dd である等差数列の一般項は a+(n1)da+(n-1)d と表せるので,調和数列の一般項は 1a+(n1)d\dfrac{1}{a+(n-1)d} と表せます。

調和数列の和

調和級数

調和数列の中でも, 11,12,13,14,...\dfrac{1}{1},\dfrac{1}{2},\dfrac{1}{3},\dfrac{1}{4},... という単位分数を並べた数列の和: Sn=11+12+13+14++1nS_n=\dfrac{1}{1}+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{4}+\cdots+\dfrac{1}{n} は頻出です。

実は,log(n+1)<Sn<logn\log(n+1)<S_n<\log n であることが知られています。特に,nn\to\infty とした級数(調和級数)について limnSn=\displaystyle\lim_{n\to\infty}S_n=\infty です。 →調和級数1+1/2+1/3…が発散することの3通りの証明

部分和は整数にならない

調和数列の nn 項目までの和をきれいな式で表すことはできませんが,以下の定理が知られています:

定理

a,d,na,d,n を正の整数とする。このとき,k=0n1a+kd\displaystyle\sum_{k=0}^{n}\dfrac{1}{a+kd} は整数ではない。

例えば,13+15+17\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{5}+\dfrac{1}{7} などは,計算するまでもなく整数にはなりません。

参考:エジプト分数(単位分数の和)に関する4つの話題

最後の定理を知っていればほんの少しだけ計算ミスが減るかもしれません(例えば 1a+1b\dfrac{1}{a}+\dfrac{1}{b} が整数になってしまったら気づける)。