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【解答・解説】東大文系数学2021

更新日時 2021/03/04

※以下の解答と解説は東京大学が公表したものではなく,当サイトオリジナルのものです。問題は東京大学第2次試験問題からの引用です。

この記事では,東京大学の2021年度入学試験の文系数学について解説します。

目次
  • 第一問[微分]

  • 第二問[場合の数]

  • 第三問[二次関数,軌跡・領域]

  • 第四問[整数]

  • 東大文系数学2021入試解答解説まとめ

第一問[微分]

第一問

aa を正の実数とする。座標平面上の曲線 CCy=ax32xy = ax^3 -2x で定める。原点を中心とする半径 11 の円と CC の共有点の個数が 66 個であるような aa の範囲を求めよ。

方針が見えやすい問題です。本年の問題のセットがとても難しいことを考えると,落とせない問題です。

半径 11 の円(これを DD とします)は x2+y2=1 x^2 + y^2 = 1 です。この式と,y=ax32xy = ax^3 -2x の連立方程式を考えます。C,DC,D はどちらも原点対称なので,x>0x > 0 において 33 個の共有点をもつような条件を考えれば良いです。 連立した式は xx66 次方程式になってしまいますが,全て偶数乗なので置き換えができます。

第一問

原点を中心とする半径 11 の円を DD とする。 D:x2+y2=1 D: x^2 + y^2 = 1 である。C:y=ax32xC: y = ax^3 -2x は奇関数であり,原点に対称であるから,x>0x > 0 の範囲で3つの共有点を持つような条件を考えれば良い。CC の式を DD に代入して, x2+(ax32x)2=1a2x64ax4+5x21=0 x^2 + (ax^3 -2x)^2 = 1\\ \therefore a^2 x^6 - 4ax^4 + 5x^2 - 1 = 0 X=x2X = x^2 で置き換えて, a2X34aX2+5X1=0 a^2 X^3 - 4aX^2 + 5X - 1 = 0 ここで, f(X)=a2X34aX2+5X1 f(X) = a^2 X^3 - 4aX^2 + 5X - 1 とおく。今は x>0x > 0 を考えているので,1つの XX に対し,1つの x (>0)x ~(> 0) が対応する。0<x10 < x \leq 1 であるから,0<X10 < X \leq 1。よって,f(X)=0,  0<X1f(X) = 0,~~0 < X \leq 1 が3つの解を持つような条件を求めればよい。f(X)f(X) を微分して, f(X)=3a2X28aX+5=a2(X1a)(3X5a) \begin{aligned} f'(X) &= 3a^2 X^2 -8aX + 5\\ &= a^2 \left(X-\dfrac{1}{a}\right)\left(3X-\dfrac{5}{a}\right) \end{aligned} これより,増減表は以下の通り。 X01a53af(x)+00+f(x)2a15027a1 \begin{array}{c|cccccc} X &0 & \cdots & \dfrac{1}{a} & \cdots & \dfrac{5}{3a} & \cdots \\ \hline f’(x)& & + & 0 & – & 0 & + \\ \hline f(x) & & \nearrow & \dfrac{2}{a}-1 & \searrow & \dfrac{50}{27a}-1 & \nearrow \end{array} よって,f(X)=0,  0<X1f(X) = 0,~~0 < X \leq 1 が3つの解を持つような条件は, {5027a1<0<2a153a<1 \begin{cases} \dfrac{50}{27a}-1 < 0 < \dfrac{2}{a}-1\\ \dfrac{5}{3a} < 1 \end{cases} 5027<a<2 \therefore \dfrac{50}{27} < a < 2

第二問[場合の数]

第二問

NN55 以上の整数とする。11 以上 2N2N 以下の整数から,相異なる NN 個の整数を選ぶ。ただし 11 は必ず選ぶこととする。選んだ数の集合を SS とし,SS に関する以下の条件を考える。

条件1:SS は連続する 22 個の整数からなる集合を 11 つも含まない。

条件2:SS は連続する N2N-2 個の整数からなる集合を少なくとも 11 つ含む。

ただし,22 以上の整数 kk に対して,連続する kk 個の整数からなる集合とは,ある整数 ll を用いて {l,l+1,,l+k1}\{l,l+1,\cdots\cdots, l + k -1\} と表される集合を指す。例えば {1,2,3,5,7,8,9,10}\{1,2,3,5,7,8,9,10\} は連続する 33 個の整数からなる集合 {1,2,3},{7,8,9},{8,9,10}\{1,2,3\}, \{7,8,9\}, \{8,9,10\} を含む。

(1) 条件1を満たすような選び方は何通りあるか。

(2) 条件2を満たすような選び方は何通りあるか。

(1)から考えます。選ばれた数字どうしの間のことを「空白」と呼ぶことにします。2N2N 個の中から NN 個の数字を選び,数字同士には空白が必ずなければならないので, 1,3,5,7,,2N1 1,3,5,7,\cdots, 2N-1 と選ぶか,もしくは,どこかで空白が2個連続で並ぶところを作って選ぶかの2種類しかありません。これをうまく記号を使って記述してみましょう。

第二問(1)

11 が必ず選ばれることに注意すると,条件1を満たすような選び方は S={1,3,5,7,,2N1} S = \{1,3,5,7,\cdots, 2N-1\} もしくは S={1,3,,2k1,2k+2,2k+4,,2N} S = \{1,3,\cdots, 2k-1, 2k+2,2k+4, \cdots, 2N\} のどちらかである。ここで,kk とは 1kN11 \leq k \leq N-1 を満たす整数である。よって, 1+(N1)=N 1 + (N-1) = N より,NN 通りが答えである。

(2)もそこまで難しくありません。2N2N 個の整数の中で,N2N-2 個のまとまった整数がどこにあるかによって場合分けしましょう。最小値がどこにあるかで記述すると,回答が書きやすいと思います。

第二問(2)

連続する N2N-2 個の整数の最小値を nn とする。

(i) n=1n = 1 のとき

残りの 22 個を N1N-1 から 2N2N,つまり N+2N+2 個の中から自由に選べばよく, N+2C2=(N+2)(N+1)2 {}_{N+2}\mathrm{C}_2 = \dfrac{(N+2)(N+1)}{2} 通りである。

(ii) n=2n = 2 のとき

11 を必ず選ばなければならないことから,最小値は 11 となってしまい矛盾。よって不適である。

(iii) n=k  (3kN+3)n = k ~~ (3 \leq k \leq N+3) のとき

11 は必ず選ばれる。残りの 11 個は,11n1n-1N2N-2 個の連続整数を除いた 2N11(N2)=N 2N - 1 -1 - (N-2) = N 個から自由に選べばよく,kk の全ての場合を考えれば, k=3N+3N=N(N+1) \sum_{k = 3}^{N+3} N = N(N+1) 通りである。

(i),(ii),(iii) より, (N+2)(N+1)2+N(N+1)=32N2+52N+1 \dfrac{(N+2)(N+1)}{2} + N(N+1) = \dfrac{3}{2}N^2 + \dfrac{5}{2}N + 1 通りが答えである。

回答が少し書きづらい部分もありますが,やり方さえ思いついてしまえばそこまで時間のかかる問題ではないと思います。ただ,ぱっぱと解けてしまうような問題ではないところが,東大の問題らしいです。

第三問[二次関数,軌跡・領域]

第三問

a,ba,b を実数をする。座標平面上の放物線

C:y=x2+ax+b C: y = x^2 + ax + b

は放物線 y=x2y=-x^2 と2つの共有点を持ち,一方の共有点の xx 座標は 1<x<0-1 < x < 0 を満たし, 他方の共有点のxx 座標は 0<x<10 < x < 1 を満たす。

(1)(1)(a,b)(a, b) のとりうる範囲を座標平面上に図示せよ。

(2)(2) 放物線 CC の通りうる範囲を座標平面上に図示せよ。

2021年度東大数学理系の第一問と全く同じ問題です。詳しい解説は以下の記事を参考にしてください。→【解答速報】東大理系数学2021

(1)は簡単です。これは東大受験生ならば絶対にとらなければなりません。

(2)に関しては,よくある通過領域の問題に見えますが,理系の受験生にとっても結構難しい問題だと思います。軌跡や通過領域の問題は東大受験生はよく対策しているため,絶対解かなければならない問題だ!と考えてハマってしまった人もいたでしょう。順像法,逆像法のどちらでやってもかなり時間がかかります。

これくらいの問題がするすると解けるようになると,数学力がとてもついていると言えるでしょう。

第四問[整数]

第四問

以下の問いに答えよ。

(1)(1) 正の奇数 K,LK,L と正の整数 A,BA,B が KA=LBKA=LB を満たしているとする。 KK44 で割った余りが LL44 で割った余りと等しいならば, AA44 で割った余りは BB44 で割った余りと等しいことを示せ。

(2)(2) 正の整数 a,ba,ba>ba>b を満たしているとする。このとき, A=4a+1C4b+1,B=aCbA = {}_{4a+1}\mathrm{C}_{4b+1}, B = {}_{a}\mathrm{C}_{b} に対して KA=LBKA=LB となるような正の奇数 K,LK,L が存在することを示せ。

(3)(3) a,ba,b(2)(2) の通りとし,さらに aba-b22 で割り切れるとする。 4a+1C4b+1{}_{4a+1}\mathrm{C}_{4b+1}44 で割った余りは aCb{}_a\mathrm{C}_b44 で割った余りと等しいことを示せ。

(4)(4) 2021C37_{2021}\mathrm{C}_{37}44 で割った余りを求めよ。

今年は理系文系で共通問題が2問ありました。2021年度東大数学理系の第四問と全く同じ問題です。詳しい解説は以下の記事を参考にしてください。→【解答・解説】東大理系数学2021

理系最難関の問題が共通問題としてやって来てしまいました。2020年度も難しい問題が共通問題でしたので,来年以降もこの傾向が続くかもしれません。文系の受験生の戦略的な面から考えると,捨て問レベルの問題が毎年出題されるということになります。是非頑張ってほしいものです。

東大文系数学2021入試解答解説まとめ

第一問が一番簡単だったと思います。対称性や置き換えができないと,計算がやや煩雑になってしまいますが,それでも四問の中では解きやすい問題です。よく勉強しておくと良いと思います。

第二問はうまく考えることができれば時間をかけずに解くことができます。この記事の解答例を是非参考にしてください。

第三問,第四問は難しいです。第三問(1),第四問(1),(4)は比較的やりやすいのでそこは落とさずにとって,あとは「逃げるが勝ち」だったと言えるでしょう。

近年難しい問題セットが続いています。数学は文系の方も是非力を入れて勉強することをおすすめします。

それにしても,第一問,第二問と第三問,第四問の難易度の差が激しすぎる気がします。

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