【解答・解説】東大理系数学2023

※以下の解答と解説は東京大学が公表したものではなく,当サイトオリジナルのものです。問題は東京大学第2次試験問題からの引用です。

この記事では,東京大学の2023年度入学試験の理系数学について解説します。

文系数学に問題・解答・解説はこちらからご覧ください。→【解答・解説】東大文系数学2023

大問分析

問題番号 分野 難易度
1 積分・極限 標準
2 確率 標準
3 図形と方程式 やや難
4 ベクトル 標準
5 多項式 標準
6 体積

突飛な発想が求められる問題は少ないのですが,計算量は多く,息切れしてしまう受験生も少なくはなかったでしょう。根気強く問題に取り組む姿勢が重要になりそうです。

整数問題はありませんでした。代わりに(?)第五問の多項式の問題で整数問題で使うテクニックが必要となります。大学の教員となると,整数も多項式も代数学の分野なので,第五問は実質整数問題と言っても過言ではないかも……?

第一問 [積分・極限]

第一問
  1. 正の整数 kk に対し, Ak=kπ(k+1)πsin(x2)dx A_k = \int_{\sqrt{k\pi}}^{\sqrt{(k+1)\pi}} | \sin (x^2) | dx とおく。次の不等式が成り立つことを示せ。

1(k+1)πAk1kπ \dfrac{1}{\sqrt{(k+1)\pi}} \leqq A_k \leqq \dfrac{1}{\sqrt{k\pi}}

  1. 正の整数 nn に対し, Bn=1nnπ2nπsin(x2)dx B_n = \dfrac{1}{\sqrt{n}} \int_{\sqrt{n\pi}}^{\sqrt{2n\pi}} | \sin (x^2) | dx とおく。limnBn\displaystyle \lim_{n \to \infty} B_n を求めよ。

(1) は不等式を証明する問題です。sin(x2)\sin (x^2) は扱いにくいので x2=tx^2 = t と置換することがポイントとなります。置換すると 1t\dfrac{1}{\sqrt{t}} が出てくるため,t=k,k+1t = k , k+1 を代入したくなります。

第一問 (1)

x2=tx^2 = t と変数を変換すると Ak=kπ(k+1)πsin(x2)dx=kπ(k+1)πsintdt2t\begin{aligned} A_k &= \int_{\sqrt{k\pi}}^{\sqrt{(k+1)\pi}} | \sin (x^2) | dx\\ &= \int_{k\pi}^{(k+1)\pi} | \sin t | \dfrac{dt}{2\sqrt{t}} \end{aligned} となる。

kπt(k+1)πk\pi \leqq t \leqq (k+1)\pi のとき 1(k+1)π1t1kπ \dfrac{1}{\sqrt{(k+1)\pi}} \leqq \dfrac{1}{\sqrt{t}} \leqq \dfrac{1}{\sqrt{k\pi}} であるため, kπ(k+1)πsint2(k+1)πdtAkkπ(k+1)πsint2kπdt \int_{k \pi}^{(k+1)\pi} \dfrac{|\sin t|}{2\sqrt{(k+1)\pi}} dt \leqq A_k \leqq \int_{k\pi}^{(k+1)\pi} \dfrac{|\sin t|}{2\sqrt{k\pi}} dt となる。

kπ(k+1)πsintdt=0πsintdt=2\begin{aligned} \int_{k \pi}^{(k+1)\pi} |\sin t| dt &= \int_0^{\pi} \sin t dt\\ &= 2 \end{aligned} であるため, 1(k+1)πAk1kπ \dfrac{1}{\sqrt{(k+1)\pi}} \leqq A_k \leqq \dfrac{1}{\sqrt{k\pi}} を得る。

(1) で不等式を証明したことを考えると,はさみうちの原理を使う問題だと気付けるはずです。区分求積をうまく活用できるかどうかも問われています。自由自在に使いこなせるようになりましょう。

第一問 (2)

Bn=1nnπ2nπsin(x2)dx=1nk=n2n1kπ(k+1)πsin(x2)dx\begin{aligned} B_n &= \dfrac{1}{\sqrt{n}} \int_{\sqrt{n\pi}}^{\sqrt{2n\pi}} | \sin (x^2) | dx\\ &= \dfrac{1}{\sqrt{n}} \sum_{k=n}^{2n-1} \int_{\sqrt{k\pi}}^{\sqrt{(k+1)\pi}} | \sin (x^2) | dx \end{aligned}

(1) より Bn1nk=n2n11kπ=1π1nk=n2n1nk\begin{aligned} B_n &\leqq \dfrac{1}{\sqrt{n}} \sum_{k=n}^{2n-1} \dfrac{1}{\sqrt{k\pi}}\\ &= \dfrac{1}{\sqrt{\pi}} \dfrac{1}{n} \sum_{k=n}^{2n-1} \sqrt{\dfrac{n}{k}} \end{aligned} である。同様に Bn1π1nk=n2n1nk+1=1π1nk=n+12nnk\begin{aligned} B_n &\geqq \dfrac{1}{\sqrt{\pi}} \dfrac{1}{n} \sum_{k=n}^{2n-1} \sqrt{\dfrac{n}{k+1}}\\ &= \dfrac{1}{\sqrt{\pi}} \dfrac{1}{n} \sum_{k=n+1}^{2n} \sqrt{\dfrac{n}{k}} \end{aligned} である。

limn1π1nk=n2n1nk=1π12dtt=1π[2t]12=222πlimn1π1nk=n+12nnk=1π12dtt=1π[2t]12=222π\begin{aligned} \lim_{n \to \infty} \dfrac{1}{\sqrt{\pi}} \dfrac{1}{n} \sum_{k=n}^{2n-1} \sqrt{\dfrac{n}{k}} &= \dfrac{1}{\sqrt{\pi}} \int_1^2 \dfrac{dt}{\sqrt{t}}\\ &= \dfrac{1}{\sqrt{\pi}} \Big[ 2\sqrt{t} \Big]_1^2\\ &= \dfrac{2\sqrt{2}-2}{\sqrt{\pi}}\\ \lim_{n \to \infty} \dfrac{1}{\sqrt{\pi}} \dfrac{1}{n} \sum_{k=n+1}^{2n} \sqrt{\dfrac{n}{k}}&= \dfrac{1}{\sqrt{\pi}} \int_1^2 \dfrac{dt}{\sqrt{t}}\\ &= \dfrac{1}{\sqrt{\pi}} \Big[ 2\sqrt{t} \Big]_1^2\\ &= \dfrac{2\sqrt{2}-2}{\sqrt{\pi}} \end{aligned}

よってはさみうちの原理から limnBn=222π \lim_{n \to \infty} B_n = \dfrac{2\sqrt{2}-2}{\sqrt{\pi}}

第二問 [確率]

第二問

黒玉3個,赤玉4個,白玉5個が入っている袋から玉を1個ずつ取り出し,取り出した玉を順に横一列に12個すべて並べる。ただし,袋から個々の玉が取り出される確率は等しいものとする。

  1. どの赤玉も隣り合わない確率 pp を求めよ。
  2. どの赤玉も隣り合わないとき,どの黒玉も隣り合わない条件付き確率 を求めよ。

とにかく頑張って数え上げましょう。

第二問 (1)

12個の玉を並べる順列は 12!3!4!5!=27720\dfrac{12!}{3! 4! 5!} = 27720 通りである。

黒玉と白玉を並べる順列は 8!3!5!=56\dfrac{8!}{3! 5!} = 56 通りである。

黒玉・白玉合わせて8個の玉の両端かその間に,赤玉4個を入れる組み合わせは 9C4=126{}_9 \mathrm{C}_4 = 126 通りである。

よって求める確率は 5612627720=1455 \dfrac{56 \cdot 126}{27720} = \dfrac{14}{55} となる。

第二問 (2)

黒玉も赤玉も隣り合わない確率を求めればよい。

(1) と同様に,まず黒玉と白玉を並べて,その後赤玉を並べることで組み合わせを計算する。

  1. 黒玉と白玉を並べた時点で,黒玉は隣り合わないとき : \text{例}: {}^{\downarrow} 白^{\downarrow} 黒^{\downarrow} 白^{\downarrow} 黒^{\downarrow} 白^{\downarrow} 白^{\downarrow} 白^{\downarrow} 黒^{\downarrow} 白玉5個の両端かその間に,黒玉3個を隣り合わないように入れる組み合わせは 6C3=20{}_6 \mathrm{C}_3 = 20 通りである。
    その上で赤玉を入れる組み合わせは,(1) 同様 126126 通りである。
    よって組み合わせは 2012620 \cdot 126 通りである。

  2. 黒玉と白玉を並べた時点で,黒玉ちょうど2個が隣り合っているとき : \text{例}: {}^{\downarrow} 白^{\downarrow} 白^{\downarrow} 黒^{\downarrow} 白^{\downarrow} 白^{\downarrow} 黒黒^{\downarrow} 白^{\downarrow} 白玉5個の両端かその間に,黒玉1個と黒玉2個を隣り合わないように入れる組み合わせは 65=306 \cdot 5 = 30 通りである。
    その上で赤玉を入れる。1個は必ず黒玉2個の間に入れる。それ以外の4個は,8か所に入れることができるため,入れ方は 8C3=56{}_8 \mathrm{C}_3 = 56 通りである。
    よって組み合わせは 305630 \cdot 56 通りである。

  3. 黒玉と白玉を並べた時点で,黒玉3個が隣り合っているとき :黒黒 \text{例}: {}^{\downarrow} 白^{\downarrow} 白^{\downarrow} 白^{\downarrow} 白^{\downarrow} 黒黒黒^{\downarrow} 白^{\downarrow} 白玉5個の両端かその間に,黒玉3個を入れる組み合わせは 66 通りである。
    その上で赤玉を入れる。2個は必ず黒玉3個の間に入れる。それ以外の2個は,7か所に入れることができるため,入れ方は 7C2=21{}_7 \mathrm{C}_2 = 21 通りである。
    よって組み合わせは 6216 \cdot 21 通りである

以上をまとめると,組み合わせは 20126+3056+621=4326 20 \cdot 126 + 30 \cdot 56 + 6 \cdot 21 = 4326 通りである。

よって黒玉も赤玉も隣り合わない確率は 432627720\dfrac{4326}{27720} であるため,求めるべき条件付き確率は 432627720÷5612627720=432656126=103168\begin{aligned} \dfrac{4326}{27720} \div \dfrac{56 \cdot 126}{27720} &= \dfrac{4326}{56 \cdot 126}\\ &= \dfrac{103}{168} \end{aligned} である。

場合分けが多いです。丁寧に計算しましょう。

第三問 [図形と方程式]

第三問

aa を実数とし,座標平面上の点 (0,a)(0, a) を中心とする半径 11 の円の周を CC とする。

  1. CC が,不等式 y>x2y>x^2 の表す領域に含まれるような aa の範囲を求めよ。
  2. aa は (1) で求めた範囲にあるとする。CC のうち x0x \geqq 0 かつ y<ay < a を満たす部分を SS とする。SS 上の点 P\mathrm{P} に対し,点 P\mathrm{P} での CC の接線が放物線 y=x2y = x^2 によって切り取られてできる線分の長さを LPL_P とする。LQ=LRL_Q = L_R となる SS 上の相異なる 2 点 Q\mathrm{Q}R\mathrm{R} が存在するような aa の範囲を求めよ

(1) はオーソドックスな問題です。特定の範囲で二次関数が解を持つ条件を調べる問題となります。

証明

y>x2y > x^2y>0y > 0 に含まれるため,a>0a > 0 としてよい。

2つの曲線 x2+(ya)2=1x^2+ (y-a)^2 = 1y=x2y = x^2 が共有点を持つか考える。xx を消去すると y2(2a1)y+(a21)=0 () y^2 - (2a-1) y + (a^2-1) = 0 \quad \cdots \ (\ast) を得る。この方程式が a1<y<a+1a-1 < y < a+1 で共有点を持たないような aa を求める。

軸を計算すると y=a12y = a - \dfrac{1}{2} となり,a1<y<a+1a-1 < y < a+1 の間にある。ゆえに ()(\ast) の判別式が負のとき,共有点を持たない。

D=(2a1)24(a21)=4a+5\begin{aligned} D &= (2a-1)^2 - 4(a^2-1)\\ &= -4a + 5 \end{aligned} より a>54\mathbf{a > \dfrac{5}{4}} である。

(2) では必要な計算量がぐっと増えます。t=1sinθt = \dfrac{1}{\sin \theta} と置換し,最終的に多項式の最大・最小を考えます。

第三問 (2)

SS 上の点 P\mathrm{P}(cosθ,a+sinθ) (π2θ<0)(\cos \theta , a + \sin \theta) \ \left( -\dfrac{\pi}{2} \leqq \theta < 0 \right) とおく。

P\mathrm{P} での CC の接線は (cosθ)x+(sinθ)(ya)=1 (\cos \theta)x + (\sin \theta) (y-a) = 1 である。これに y=x2y = x^2 を代入し,整理すると (sinθ)x2+(cosθ)xasinθ1=0 (\sin \theta)x^2 + (\cos \theta) x -a \sin \theta - 1 = 0 を得る。

この2解を α,β\alpha , \beta とおくと,解と係数の関係より {α+β=1tanθαβ=a1sinθ\begin{cases} \alpha + \beta = -\dfrac{1}{\tan \theta}\\ \alpha \beta = -a - \dfrac{1}{\sin \theta} \end{cases} となる。

接線の傾きは 1tanθ-\dfrac{1}{\tan \theta} であるため, LP=12+(1tanθ)2αβ=αβsinθ\begin{aligned} L_{\mathrm{P}} &= \sqrt{1^2 + \left(\dfrac{1}{\tan \theta}\right)^2} |\alpha - \beta|\\ &= \left| \dfrac{\alpha - \beta}{\sin \theta} \right| \end{aligned} となる。二乗して LP2=(αβ)2sin2θ=(α+β)24αβsin2θ=1sin2θ{1tan2θ+4(a+1sinθ)}\begin{aligned} {L_{\mathrm{P}}}^2 &= \dfrac{(\alpha - \beta)^2}{\sin^2 \theta}\\ &= \dfrac{(\alpha + \beta)^2 - 4\alpha \beta}{\sin^2 \theta}\\ &= \dfrac{1}{\sin^2 \theta} \left\{ \dfrac{1}{\tan^2 \theta} + 4 \left( a + \dfrac{1}{\sin \theta} \right) \right\} \end{aligned} となる。

ここで t=1sinθt = \dfrac{1}{\sin \theta} とおく。このとき t1t \leqq -1 である。また,θ\theta に応じて tt がただ1つ定まる。

LP2=t2{(t21)+4(a+t)}=t2{t2+4t+(4a1)}\begin{aligned} {L_{\mathrm{P}}}^2 &= t^2 \{(t^2-1)+4(a+t)\}\\ &= t^2 \{ t^2 +4t+(4a-1)\} \end{aligned}

これを f(t)f(t) とおく。

LQ=LRL_{\mathrm{Q}} = L_{\mathrm{R}} となる SS 上の相異なる 2 点 Q\mathrm{Q}R\mathrm{R} が存在するのは,f(t)=cf(t) = ccc は正の定数)が t1t \leqq -1 の範囲で複数個の解を持つときである。

これは f(t)f(t) が単調増加/単調減少でないときである。

f(t)=2t{t2+4t+(4a1)}+t2(2t+4)=2t{2t2+6t+(4a1)}\begin{aligned} f'(t) &= 2t \{ t^2 +4t+(4a-1) \} +t^2 (2t + 4)\\ &= 2t \{ 2t^2 + 6t + (4a-1) \} \end{aligned} となる。t1t \leqq -122 は常に負である。ゆえに 2t2+6t+(4a1)2t^2 + 6t + (4a-1)t1t \leqq -1 で解を持つ aa の範囲を求めたらよい。 2t2+6t+(4a1)=2(t+32)2+4a112 2t^2 + 6t + (4a-1) = 2 \left( t + \dfrac{3}{2} \right)^2 + 4a - \dfrac{11}{2} である。

軸は t=32t = - \dfrac{3}{2} であるため,最小値は 4a1124a - \dfrac{11}{2} である。

よって,4a112<04a - \dfrac{11}{2} < 0 すなわち a<118a < \dfrac{11}{8} のときが求める範囲である。

(1) の条件と合わせることで 54<a<118\mathbf{\dfrac{5}{4} < a < \dfrac{11}{8}} を得る。

第四問 [ベクトル]

第四問

座標空間内の4点 O(0,0,0)\mathrm{O} (0,0,0)A(2,0,0)\mathrm{A} (2,0,0)B(1,1,1)\mathrm{B} (1,1,1)C(1,2,3)\mathrm{C} (1,2,3) を考える。

  1. OPundefinedOAundefined\overrightarrow{\mathrm{OP}} \bot \overrightarrow{\mathrm{OA}}OPundefinedOBundefined\overrightarrow{\mathrm{OP}} \bot \overrightarrow{\mathrm{OB}}OPundefinedOCundefined=1\overrightarrow{\mathrm{OP}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OC}} = 1 を満たす点 P\mathrm{P} の座標を求めよ。

  2. P\mathrm{P} から直線 AB\mathrm{AB} に垂線を下ろし,その垂線と直線 AB\mathrm{AB} の交点を H\mathrm{H} とする。OHundefined\overrightarrow{\mathrm{OH}}OAundefined\overrightarrow{\mathrm{OA}}OBundefined\overrightarrow{\mathrm{OB}} を用いて表せ。

  3. Q\mathrm{Q}OQundefined=34OAundefined+OPundefined\overrightarrow{\mathrm{OQ}} = \dfrac{3}{4} \overrightarrow{\mathrm{OA}} + \overrightarrow{\mathrm{OP}} によって定め,Q\mathrm{Q} を中心とする半径 rr の球面 SS を考える。SS が三角形 OHB\mathrm{OHB} と共有点を持つような rr の範囲を求めよ。ただし,三角形 OHB\mathrm{OHB} は3点 O\mathrm{O}H\mathrm{H}B\mathrm{B} を含む平面内になり,周とその内部からなるものとする。

第四問はベクトルの問題でした。(1) (2) はシンプルな計算で済みます。

第四問 (1)

P(a,b,c)\mathrm{P} (a,b,c) とおく。

OPundefinedOAundefined\overrightarrow{\mathrm{OP}} \bot \overrightarrow{\mathrm{OA}}OPundefinedOBundefined\overrightarrow{\mathrm{OP}} \bot \overrightarrow{\mathrm{OB}}OPundefinedOAundefined=0\overrightarrow{\mathrm{OP}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OA}} = 0OPundefinedOBundefined=0\overrightarrow{\mathrm{OP}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OB}} = 0 と同値である。これを踏まえると連立方程式 {2a=0a+b+c=0a+2b+3c=1\begin{cases} 2a = 0\\ a+b+c=0\\ a+2b+3c=1 \end{cases} を得る。これを解くと (a,b,c)=(0,1,1)(a,b,c) = (0,-1,1) であるため,P(0,1,1)\mathrm{P} (0,-1,1) である。

外積のアイデアを使えば OAundefined\overrightarrow{\mathrm{OA}}OBundefined\overrightarrow{\mathrm{OB}} と直交するベクトル OPundefined\overrightarrow{\mathrm{OP'}} が即座に得られます。あとは定数倍の調整をすれば OK です。

第四問 (1) 別解

P(0,2,2)\mathrm{P}' (0,-2,2) とおくと,OPundefined\overrightarrow{\mathrm{OP'}}OAundefined\overrightarrow{\mathrm{OA}}OBundefined\overrightarrow{\mathrm{OB}} と直交する。

OPundefinedOCundefined=01+(2)2+23=2\begin{aligned} &\overrightarrow{\mathrm{OP'}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OC}}\\ &= 0 \cdot 1 + (-2) \cdot 2 + 2 \cdot 3\\ &= 2 \end{aligned} であるため,OPundefined=12OPundefined\overrightarrow{\mathrm{OP}} = \dfrac{1}{2} \overrightarrow{\mathrm{OP'}} である。

ゆえに P(0,1,1)\mathrm{P} (0,-1,1) である。

(2) の平易な計算から解けます。

第四問 (2)

H\mathrm{H} は直線 AB\mathrm{AB} 上にあるため,実数 kk を用いて AHundefined=kABundefined\overrightarrow{\mathrm{AH}} = k \overrightarrow{\mathrm{AB}} と表される。

ABundefined=(111)\overrightarrow{\mathrm{AB}} = \begin{pmatrix} -1\\1\\1 \end{pmatrix} と合わせると PHundefined=AHundefinedAPundefined=(kkk)(211)=(k+2k+1k1)\begin{aligned} \overrightarrow{\mathrm{PH}} &= \overrightarrow{\mathrm{AH}} - \overrightarrow{\mathrm{AP}}\\ &= \begin{pmatrix} -k\\k\\k \end{pmatrix} - \begin{pmatrix} -2\\-1\\1 \end{pmatrix} \\ &= \begin{pmatrix} -k+2\\k+1\\k-1 \end{pmatrix} \end{aligned} である。

条件より PHundefinedABundefined=0\overrightarrow{\mathrm{PH}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{AB}} = 0 であるため, PHundefinedABundefined=(k+2)+(k+1)+(k1)=3k2=0\begin{aligned} &\overrightarrow{\mathrm{PH}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{AB}}\\ &= -(-k+2) + (k+1) + (k-1)\\ &= 3k - 2 = 0 \end{aligned} となる。よって k=23k = \dfrac{2}{3} である。

こうして OHundefined=OAundefined+AHundefined=OAundefined+23ABundefined=13OAundefined+23OBundefined\begin{aligned} \overrightarrow{\mathrm{OH}} &= \overrightarrow{\mathrm{OA}} + \overrightarrow{\mathrm{AH}}\\ &= \overrightarrow{\mathrm{OA}} + \dfrac{2}{3} \overrightarrow{\mathrm{AB}} \\ &= \mathbf{\dfrac{1}{3} \overrightarrow{\mathrm{OA}} + \dfrac{2}{3} \overrightarrow{\mathrm{OB}}} \end{aligned} となる。

(2) までに計算してきたベクトルを元に頑張って計算します。三角形 OHB\mathrm{OHB} 上の点 R\mathrm{R} は二変数 p,qp,q によって制御されるため,二変数の(二次関数の)計算をゴリゴリ進めていくことになります。計算ミスに注意しましょう。

QRundefined2|\overrightarrow{\mathrm{QR}}|^2 の最大・最小の計算ですが,平方完成に成功すれば,直観的にどの p,qp,q で最大・最小を取るのかわかります。これを丁寧に説明することになります。

第四問 (3)

三角形 OHB\mathrm{OHB} 上の点を R\mathrm{R} とおく。

このとき実数 p,qp,q0p,q10 \leqq p,q \leqq 10p+q10 \leqq p+q \leqq 1)を用いて ORundefined=pOBundefined+qOHundefined=13qOAundefined+(p+23q)OBundefined\begin{aligned} \overrightarrow{\mathrm{OR}} &= p \overrightarrow{\mathrm{OB}} + q \overrightarrow{\mathrm{OH}}\\ &= \dfrac{1}{3} q \overrightarrow{\mathrm{OA}} + \left( p + \dfrac{2}{3}q \right) \overrightarrow{\mathrm{OB}} \end{aligned} と表される。

QRundefined2|\overrightarrow{\mathrm{QR}}|^2 のとり得る範囲を求めればよい。 QRundefined2=(13q34)OAundefined+(p+23q)OBundefinedOPundefined2=(13q34)24+(p+23q)23+2+2(13q34)(p+23q)2=83(p+q34)2+13(p+32)2+2\begin{aligned} &|\overrightarrow{\mathrm{QR}}|^2\\ &= \left| \left( \dfrac{1}{3} q -\dfrac{3}{4} \right) \overrightarrow{\mathrm{OA}} + \left( p + \dfrac{2}{3}q \right) \overrightarrow{\mathrm{OB}} - \overrightarrow{\mathrm{OP}} \right|^2\\ &= \left( \dfrac{1}{3} q -\dfrac{3}{4} \right)^2 \cdot 4 + \left( p + \dfrac{2}{3}q \right)^2 \cdot 3 + 2\\ &\quad\quad + 2 \left( \dfrac{1}{3} q -\dfrac{3}{4} \right) \left( p + \dfrac{2}{3}q \right) \cdot 2\\ &= \dfrac{8}{3} \left( p+q-\dfrac{3}{4} \right)^2 + \dfrac{1}{3} \left( p+\dfrac{3}{2} \right)^2 + 2 \end{aligned}

  • 最小値

ここで f(p,q)=QRundefined2=83(p+q34)2+13(p+32)2+2 f(p,q) = |\overrightarrow{\mathrm{QR}}|^2 = \dfrac{8}{3} \left( p+q-\dfrac{3}{4} \right)^2 + \dfrac{1}{3} \left( p+\dfrac{3}{2} \right)^2 + 2 とおく。

(p+q34)2\left( p+q-\dfrac{3}{4} \right)^2p+q=34p+q = \dfrac{3}{4} のときに最小値 00 を取る。(p+32)2\left( p+\dfrac{3}{2} \right)^2p=0p = 0 のときに最小値 94\dfrac{9}{4} を取る。(p,q)=(0,34)(p,q) = \left( 0,\dfrac{3}{4} \right) のとき,これら両方が成立するため,f(p,q)f(p,q) の最小値は 830+1394+2=114 \dfrac{8}{3} \cdot 0 + \dfrac{1}{3} \cdot \dfrac{9}{4} + 2 = \dfrac{11}{4} となる。

  • 最大値

f(p,q)f(p,q)qq の二次関数と見て最大値を調べる。

qq の二次関数として下に凸であるため。q=0,1q = 0,1 のいずれかで最大値を取る。p+q1p+q \leqq 1 より q=1q=1 のときは p=0p=0 となる。よって最大値は次の2つを考えればよい。

f(p,0)=3(p12)2+72f(0,1)=3512\begin{aligned} f(p,0) &= 3 \left( p-\dfrac{1}{2} \right)^2 + \dfrac{7}{2}\\ f(0,1) &= \dfrac{35}{12} \end{aligned}

f(p,0)f(p,0)p=0,1p = 0,1 のときに最大値を取る。このとき f(0,0)=f(1,0)=174f(0,0) = f(1,0) = \dfrac{17}{4} である。

174>3512\dfrac{17}{4} > \dfrac{35}{12} より,f(p,q)f(p,q) の最大値は 174\dfrac{17}{4} である。

以上より半径 rr のとり得る範囲は 112r172\mathbf{\dfrac{\sqrt{11}}{2} \leqq r \leqq \dfrac{\sqrt{17}}{2}} となる。

第五問 [多項式]

第五問

整式 f(x)=(x1)2(x2)f(x) = (x-1)^2 (x-2) を考える。

  1. g(x)g(x) を実数を係数とする整式とし,g(x)g(x)f(x)f(x) で割った余りを r(x)r(x) とおく。g(x)7g(x)^7f(x)f(x) で割った余りと r(x)7r(x)^7f(x)f(x) で割った余りが等しいことを示せ。

  2. a,ba,b を実数とし,h(x)=x2+ax+bh(x) = x^2 + ax + b とおく。h(x)7h(x)^7f(x)f(x) で割った余りを h1(x)h_1 (x) とおき,h1(x)7h_1(x)^7f(x)f(x) で割った余りを h2(x)h_2 (x) とおく。h2(x)h_2(x)h(x)h(x) に等しくなるような a,ba,b の組をすべて求めよ。

第五問は多項式の割り算についての問題です。

第五問 (1)

g(x)g(x)f(x)f(x) で割った商を h(x)h(x) とおく。このとき g(x)=f(x)q(x)+r(x) g(x) = f(x) q(x) + r(x) である。

g(x)7=(f(x)q(x)+r(x))7=i=07f(x)iq(x)ir(x)7i=f(x)(i=17f(x)i1q(x)ir(x)7i)+r(x)7\begin{aligned} g(x)^7 &= (f(x)q(x) + r(x))^7\\ &= \sum_{i=0}^{7} f(x)^i q(x)^i r(x)^{7-i}\\ &= f(x) \left( \sum_{i=1}^{7} f(x)^{i-1} q(x)^i r(x)^{7-i} \right) + r(x)^7 \end{aligned}

よって,g(x)7g(x)^7f(x)f(x) で割った余りと r(x)7r(x)^7f(x)f(x) で割った余りは等しい。

(2) では多項式の因数分解を通して,多項式を (x1)(x-1) の倍数,(x2)(x-2) の倍数とみなし,問題を簡単にしていきます。

第五問 (2)

(1) の g(x)g(x)h(x)7h(x)^7 を適用すると,(h(x)7)7\left( h(x)^7 \right)^7f(x)f(x) で割った余りは,h1(x)7h_1 (x)^7f(x)f(x) で割った余り,すなわち h2(x)h_2 (x) と等しい。

h(x)49h(x)^{49}f(x)f(x) で割った商を p(x)p(x) とおく。このとき h(x)49=f(x)p(x)+h(x) h(x)^{49} = f(x) p(x) + h(x) である。

移項して h(x)(h(x)481)=(x1)2(x2)p(x)() h(x) \left( h(x)^{48} - 1 \right) = (x-1)^2 (x-2) p(x) \quad \cdots (\ast) となる。

よって h(x)(h(x)481)h(x) \left( h(x)^{48} - 1 \right) を因数分解すると,(x1)2(x2)(x-1)^2 (x-2) が現れる。

h(x)h(x) は二次式であることに注意すると,次の2パターンのいずれかが成立する。

  1. h(x)=(x1)2h(x) = (x-1)^2h(x)481h(x)^{48} - 1x2x-2 で割り切れる。
  2. h(x)=(x2)(xa)h(x) = (x-2)(x-a)cc は整数),h(x)481h(x)^{48} - 1x1x-1 で割り切れる。
  • h(x)=(x1)2h(x) = (x-1)^2 のとき

h(2)481=(21)961=0 h(2)^{48} - 1 = (2-1)^{96} - 1 = 0

であるため,因数定理から h(x)481h(x)^{48} - 1x2x-2 で割り切れる。このとき a=2,b=1a =-2, b=1 となる。

  • h(x)=(x2)(xc)h(x) = (x-2)(x-c) のとき
    h(x)481h(x)^{48} - 1x1x-1 で割り切れるため,因数定理から h(1)481=0h(1)^{48} - 1 = 0 である。 h(1)481=(1c)481=0 h(1)^{48} - 1 = (1-c)^{48} - 1 = 0 これを解くと c=0,2c = 0,2 を得る。どちらの場合でも h(x)h(x)x1x-1 で割り切れないため,h(x)481h(x)^{48} - 1(x1)2(x-1)^2 で割り切れることになる。 h(x)481=(x1)2q(x) h(x)^{48} - 1 = (x-1)^2 q(x) とおき,両辺を微分すると (左辺)=h(x){h(x)481}+h(x)48h(x)47h(x)=h(x){49h(x)1}(右辺)=2(x1)q(x)+(x1)2q(x)=(x1){2q(x)+(x1)q(x)}\begin{aligned} (\text{左辺}) &= h'(x) \{ h(x)^{48} - 1 \} + h(x) \cdot 48 h(x)^{47} h'(x)\\ &= h'(x) \{ 49 h(x) -1 \}\\ (\text{右辺}) &= 2(x-1) q(x) + (x-1)^2 q'(x)\\ &= (x-1) \{ 2q(x) + (x-1) q'(x) \} \end{aligned} x=1x=1 を代入すると, h(1){49h(1)1}=0 h'(1) \{ 49 h(1) - 1 \} = 0 を満たすことがわかる。
    49h(1)1=49(c1)1=49c5049h(1)-1 = 49(c-1)-1 = 49c-50 であるが,cc は整数であるため 49c50049c-50 \neq 0 である。よって h(1)=0h'(1) = 0 となる。
    h(x)=2xc2h'(x) =2x -c-2 より h(1)=0h'(1) = 0 となるのは c=0c = 0 のときである。

こうして (a,b)=(2,0),(2,1)\mathbf{(a,b) = (-2,0),(-2,1)} を得る。

場合分け2で「h(x)481h(x)^{48} - 1x1x-1 で割り切れる」としましたが,因数定理を踏まえると h(x)=0h(x) = 0h(x)481=0h(x)^{48} - 1 = 0 が同じ解を持つことはないため,はじめから「h(x)481h(x)^{48} - 1x1x-1 で割り切れる」としてもよいです。

(x1)2(x-1)^2 で割り切れる → x=1x=1 が重解になる → 微分しても x=1x=1 が解になる」という連想は大切なので覚えておきましょう。

この問題は多項式環の剰余環がアイデアの根本にあります。環論の言葉を使うと,剰余環 R[x]/<(x1)2(x2)>\mathbb{R} [x] / \left< (x-1)^2 (x-2) \right> が整域ではないことがポイントとなります。

第六問 [体積]

第六問

O\mathrm{O} を原点とする座標空間において,不等式 x1|x| \leqq 1y1|y| \leqq 1z1|z| \leqq 1 を表す立方体を考える。その立方体の表面のうち,z<1z < 1 を満たす部分を SS とする。

以下,座標空間内の2点 A\mathrm{A}B\mathrm{B} が一致するとき,線分 AB\mathrm{AB}A\mathrm{A} を表すものとし,その長さを 00 と定める。

  1. 座標空間内の点 P\mathrm{P} が次の条件 (i),(ii) をともに満たすとき,点 P\mathrm{P} が動きうる範囲 VV の体積を求めよ。
    (i) OP3\mathrm{OP} \leqq \sqrt{3}
    (ii) 線分 OP\mathrm{OP}SS は,共有点を持たないか,点 P\mathrm{P} のみを共有点に持つ。

  2. 座標空間内の点 N\mathrm{N} と点 P\mathrm{P} が次の条件 (iii),(iv),(v) を全て満たすとき,点 P\mathrm{P} が動きうる範囲 WW の体積を求めよ。必要ならば,sinα=13\sin \alpha = \dfrac{1}{\sqrt{3}} を満たす実数 α (0<α<π2)\alpha \ \left( 0 < \alpha < \dfrac{\pi}{2} \right) を用いてよい。
    (iii) ON+NP3\mathrm{ON} + \mathrm{NP} \leqq \sqrt{3}
    (iv) 線分 ON\mathrm{ON}SS は共有点を持たない。
    (v) 線分 NP\mathrm{NP}SS は,共有点を持たないか,点 P\mathrm{P} のみを共有点に持つ。

高い空間認識能力が求められる難問です。

第六問 (1)

P\mathrm{P}zz 座標が 11 未満の場合,P\mathrm{P} の動き得る範囲を QQ とおく。QQ は,x1|x| \leqq 1y1|y| \leqq 1z1|z| \leqq 1 により表される一辺 22 の立方体である。よって,体積は 23=82^3 = 8 である。

P\mathrm{P}zz 座標が 11 以上の場合,P\mathrm{P} の動き得る範囲を RR とおく。

RR の境界は,立方体のうち z=1z=1 を満たす正方形の面と,P\mathrm{P}OP=3\mathrm{OP} = \sqrt{3} を満たし SS と共有点を持たないように動いた部分である。

後者は,OP\mathrm{OP} が立方体の z=1z=1 を満たす正方形の部分と共有点を持つように動いた部分である。

特に,正方形の外周は z=±xz = \pm xz=±yz = \pm y 上にある。そのため,RR は半径 3\sqrt{3} の球を z=±xz = \pm xz=±yz = \pm y で切断したうち点 (0,0,3)(0,0,\sqrt{3}) を含むほうの立体(SS とおく)に含まれる。

SS は球の 16\dfrac{1}{6} である。(z=1z=1 上の面以外の,立方体の各面に対して同様の立体を考えることができるため)よって,体積は 1643π(3)3=233π\dfrac{1}{6} \cdot \dfrac{4}{3} \pi (\sqrt{3})^3 = \dfrac{2\sqrt{3}}{3} \pi である。

SSQQ の共通部分は,底面が一辺 22 の正方形で,高さが 11 の四角錐であり,その体積は 43\dfrac{4}{3} である。

こうして VV の体積は 233π+843=203+233π \dfrac{2\sqrt{3}}{3} \pi + 8 - \dfrac{4}{3} = \dfrac{20}{3} + \dfrac{2\sqrt{3}}{3} \pi と計算される。

pic01

z=tz = t での断面を考える解法もありますが,積分計算が煩雑になるのであまりオススメできません。

第六問 (2)

N\mathrm{N} を直線 OP\mathrm{OP} 上にあるときは,(1) のときに含まれる。

立体 WW のうち立体 VV ではない部分を求める。

平面 OAB\mathrm{OAB}VV の共通部分のうち,四面体 OABC\mathrm{OABC} からはみ出る部分は下図の灰色の部分である。

pic02

この部分を辺 AB\mathrm{AB} を軸に SS と交わらないように回転させる。同様の回転体を,BC\mathrm{BC}CD\mathrm{CD}DA\mathrm{DA} でも同様に考える。

これら4つの回転体が WVˉW \cap \bar{V} である。(特に yzyz 平面での断面をしたに示す)

pic03

回転体のうち1つの体積を UU とおく。

下図のように f(t)f(t) を定める。

pic04

図中の円弧の方程式は y2+w2=3y^2 + w^2 = 3 である。(平面 OAB\mathrm{OAB}yy 軸と直交する軸を ww 軸とおいた)

よって, f(t)=3t22 f(t) = \sqrt{3-t^2} - \sqrt{2} である。

以上より U=38π11{f(t)}2dt=38π11{5t2223t2}2dt\begin{aligned} U &= \dfrac{3}{8} \pi \int_{-1}^{1} \{ f(t) \}^2 dt\\ &= \dfrac{3}{8} \pi \int_{-1}^{1} \{ 5-t^2 - 2\sqrt{2} \sqrt{3-t^2} \}^2 dt\\ \end{aligned} となる。

11(5t2)dt=283 \int_{-1}^1 (5-t^2) dt = \dfrac{28}{3}

113t2dt=αα33sin2θ3cosθdθ=αα3cos2θ=αα3cos2θ+32dθ=32sin2α+3α=31323+3α=2+3α\begin{aligned} &\int_{-1}^{1} \sqrt{3-t^2} dt\\ &= \int_{-\alpha}^{\alpha} \sqrt{3 - 3 \sin^2 \theta} \sqrt{3} \cos \theta d\theta\\ &= \int_{-\alpha}^{\alpha} 3\cos^2 \theta\\ &= \int_{-\alpha}^{\alpha} \dfrac{3\cos 2\theta + 3}{2} d\theta\\ &= \dfrac{3}{2} \sin 2\alpha + 3\alpha\\ &= 3 \dfrac{1}{\sqrt{3}} \dfrac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}} + 3\alpha\\ &= \sqrt{2} + 3\alpha \end{aligned}

なお t=3sinθt = \sqrt{3} \sin \theta とおいている。

以上をまとめると U=38π(283462α)=2π924πα\begin{aligned} U &= \dfrac{3}{8} \pi \left( \dfrac{28}{3} - 4 - 6\sqrt{2} \alpha \right)\\ &= 2\pi - \dfrac{9\sqrt{2}}{4} \pi \alpha \end{aligned} となる。

こうして WW の体積は (203+233π)+4(2π924πα)=203+8π92πα+233π\begin{aligned} &\left( \dfrac{20}{3} + \dfrac{2\sqrt{3}}{3} \pi \right) + 4\left( 2\pi - \dfrac{9\sqrt{2}}{4} \pi \alpha \right)\\ &= \mathbf{\dfrac{20}{3} +8\pi - 9\sqrt{2}\pi \alpha + \dfrac{2\sqrt{3}}{3} \pi} \end{aligned} である。

筆者であれば大問番号通りに解きます。第六問 (2) はスルーして他の問題の見直しに時間を回すかもしれません。