ラマヌジャンのタクシー数
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は2つの立方数の和として2通りに表される最小の自然数である: これを(ラマヌジャンの)タクシー数という。
この記事では,ラマヌジャンのタクシー数を紹介します。
関連する一橋大学の入試問題
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は,2つの立方数の和として2通りで表せます: この等式に関連した入試問題を紹介します。
以上の整数 , は を満たす。, を求めよ。
不定方程式の整数解【例題4問と解き方6パターン】で紹介した「因数分解」で解きます。
与式を変形すると となる。因数分解すると となる。
とおく。このとき となる。
-
の場合, は の倍数になる。これを とおくと, という式が得られる。
しかしこれは ,特に が3の倍数ではないことと矛盾する。 -
の場合, であるが, は3の倍数になるため,左辺が3の倍数となる。これは右辺が であることと矛盾する。
よって の場合を考えればよい。
-
のとき
つまり で,これを解くと となる。 より である。
このとき を得る。 -
のとき
同様に変形すると となるが,この解は でどちらも を満たさない。
以上より が解である。
番目のタクシー数
番目のタクシー数
番目のタクシー数 とは,立方数 個の和として 通りに表される最小の自然数のことです。
- です。
- は です: (電卓で確認してみてください)
- すべての に対して が存在することが示されています。しかし,実際に が分かっているのは が非常に小さいケースだけです。
キャブタクシー数
キャブタクシー数
タクシー数は,立方数として正の整数の3乗のみを考えました。
負の整数の3乗および も認めたバージョンをキャブタクシー数といいます。
例えば,2番目のキャブタクシー数は です:
なぜ「タクシー」数なのか
なぜ「タクシー」数なのか
20世紀前半にインドにラマヌジャンという天才数学者がいました。
彼は独学で数学を学び,円周率の近似公式や分割数の公式など,驚くべき公式を次々と発見しました。彼はその成果をイギリスの数学者ハーディに送り,晴れてイギリスの大学に招待されることになりました。
しかし,イギリスの風土が合わずラマヌジャンは入院してしまいます。
ハーディがラマヌジャンのお見舞いに行く時,乗ったタクシーのナンバーが でした。
ハーディが「タクシーの番号が1729という面白味のない数だったよ」と話すと,ラマヌジャンは「いいえ,それは大変面白い数です。2つの立方数の和として2通りに表される最小の数ですよ」と返事をしたそうです。
こうしたエピソードから,1729はラマヌジャンのタクシー数と呼ばれます。
自分の車のナンバープレートを1729にする数学の先生もいるようです。