因数分解公式(3つの立方和)
教科書レベルを少し越えていますが,難関大を受験する人たちはみんな覚えている有名な因数分解公式です。
「3つの3乗」が出てきたら,この公式を思い出しましょう。 特に が具体的な数字のときには左辺の形に気づきにくいので注意しましょう。
のとき
と因数分解できる。
因数分解公式の応用例
数オリの問題への応用例
因数分解公式の応用例
この因数分解公式の応用例として,変数が3つの場合の相加相乗平均の不等式を証明します。
示したい不等式は です。根号を除くために変数変換すると, を示せば十分ということが分かります。
が非負のとき,
1行目から2行目の変形に因数分解公式を用いた。
上の議論から, が成立する。
よって, が非負のとき,
を上の不等式に代入すると
となり,
相加相乗平均の不等式を得る。
ちなみに途中で使った変形:
もよく見かけるので覚えておきましょう。背景となる不等式はこちら。 →有名不等式a^2+b^2+c^2≧ab+bc+caのいろいろな証明
数オリの問題への応用例
2011年のSMO(シンガポール数学オリンピック)の問題ですが,難易度的には入試問題に出てもおかしくありません。
に関する不定方程式 が自然数解を持つような素数 の最大値を求めよ
の場合の気づきにくいパターンですが,因数分解公式が適用できます。そして,さきほどの例と同じ式変形を用います。
不定方程式は以下と同値:
よって, が素数なので左辺の2つめの因数は である必要がある:
これを満たす自然数の組みは のみ。
が解となるときが で最大となる。
ちなみに複素数の範囲なら,さらに因数分解できます。→複素数の範囲での因数分解の例題4問