因数分解の公式とテクニック一覧

更新日時 2022/07/07

因数分解の公式を,中学数学基礎レベルからとても難しいものまで一覧にしました。 因数分解公式一覧

2乗の因数分解公式

x2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)x^2+(a+b)x+ab=(x+a)(x+b)

x2+2xy+y2=(x+y)2x^2+2xy+y^2=(x+y)^2

x22xy+y2=(xy)2x^2-2xy+y^2=(x-y)^2

x2y2=(xy)(x+y)x^2-y^2=(x-y)(x+y)

例題と解答

以下を因数分解せよ。

  1. x2+4x+5x^2+4x+5
    →1つめの公式より(x+1)(x+4)(x+1)(x+4)
  2. x2+4x+4x^2+4x+4
    →2つめの公式より(x+2)2(x+2)^2
  3. x26x+9x^2-6x+9
    →3つめの公式より(x3)2(x-3)^2
  4. x29x^2-9
    →4つめの公式より(x+3)(x3)(x+3)(x-3)
たすきがけ

acx2+(ad+bc)x+bd=(ax+b)(cx+d)acx^2+(ad+bc)x+bd\\=(ax+b)(cx+d)

例題と解答

3x210x+83x^2-10x+8 を因数分解せよ。
→たすきがけより(x2)(3x4)(x-2)(3x-4)

詳細は,たすきがけによる因数分解のやり方・例題・他の方法

3乗の因数分解公式

x3+y3=(x+y)(x2xy+y2)x^3+y^3=(x+y)(x^2-xy+y^2)

x3y3=(xy)(x2+xy+y2)x^3-y^3=(x-y)(x^2+xy+y^2)

x3+3x2y+3xy2+y3=(x+y)3x^3+3x^2y+3xy^2+y^3=(x+y)^3

x33x2y+3xy2y3=(xy)3x^3-3x^2y+3xy^2-y^3=(x-y)^3

例題と解答

以下を因数分解せよ。

  1. x3+8y3x^3+8 y^3
    →1つめの公式より(x+2y)(x22xy+4y2)(x+2y)(x^2-2xy+4y^2)
  2. x31x^3-1
    →2つめの公式より(x1)(x2+x+1)(x-1)(x^2+x+1)
  3. x3+3x2+3x+1x^3+3x^2+3x+1
    →3つめの公式より(x+1)3(x+1)^3
3変数の因数分解公式

a2+b2+c2+2ab+2bc+2ca=(a+b+c)2a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca=(a+b+c)^2

a3+b3+c33abc=(a+b+c)(a2+b2+c2abbcca)a^3+b^3+c^3-3abc\\=(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)

ここまで理解できれば,大学入試基礎レベルは大丈夫です。紫文字の公式については少し難しいので,この記事の最後で応用例を詳しく説明します。

目次
  • 因数分解の難問7パターン

  • 3つの立方和の公式

因数分解の難問7パターン

ここまでの因数分解公式を単純に使うだけでは解けない問題もあります。それぞれ因数分解の例を載せているので,自力で因数分解できない場合はリンク先をご参照ください。

  1. 因数定理を使った因数分解:
    x3x24x4=(x2)(x1)(x+2)x^3-x^2-4x-4=(x-2)(x-1)(x+2)
    詳細:因数定理の意味と因数分解への応用・重解バージョンの証明

  2. 複二次式の因数分解:
    x4+x2+1=(x2+x+1)(x2x+1)x^4+x^2+1=(x^2+x+1)(x^2-x+1)
    詳細:四次式の因数分解の5パターンのパターン3

  3. nn 乗の和・差
    x5y5=(xy)(x4+x3y+x2y2+xy3+y4)x^5-y^5=(x-y)(x^4+x^3y+x^2y^2+xy^3+y^4)
    詳細:因数分解公式(n乗の差,和)

  4. 交代式
    a2(bc)+b2(ca)+c2(ab)=(ab)(bc)(ca)a^2(b-c)+b^2(c-a)+c^2(a-b)\\ =-(a-b)(b-c)(c-a)
    詳細:交代式の因数分解と実践的な例題

  5. オメガによる因数分解
    x5+x4+1=(x2+x+1)(x3x+1)x^5+x^4+1=(x^2+x+1)(x^3-x+1)
    詳細:1の三乗根オメガを用いた計算と因数分解

  6. 係数比較:
    x43x2=(x2+x+2)(x2x1)x^4-3x-2=(x^2+x+2)(x^2-x-1)
    詳細:四次式の因数分解の5パターンのパターン1-B

  7. 因数分解できないことの証明
    詳細:アイゼンシュタインの定理

3つの立方和の公式

ここからは,さきほど紹介した紫文字の公式について詳しく説明します。

有名な因数分解公式

a3+b3+c33abc=(a+b+c)(a2+b2+c2abbcca)a^3+b^3+c^3-3abc\\ =(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)

教科書レベルを少し越えていますが,難関大を受験する人たちは覚えている有名な因数分解公式です。

「3つの3乗」が出てきたら,この公式を思い出しましょう。 特に cc が具体的な数のときには左辺の形に気づきにくいので注意しましょう。

c=1c=1 のとき

a3+b3+13ab=(a+b+1)(a2+b2+1abba)a^3+b^3+1-3ab\\ =(a+b+1)(a^2+b^2+1-ab-b-a)

と因数分解できる。

応用例

この因数分解公式の応用例として,変数が3つの場合の相加相乗平均の不等式を証明します。

方針

示したい不等式は x+y+z3xyz3x+y+z\geq 3\sqrt[3]{xyz} です。根号を除くために変数変換すると,a3+b3+c33abca^3+b^3+c^3\geq 3abc を示せば十分ということが分かります。

証明

a,b,ca,\:b,\:c が非負のとき,

a3+b3+c33abc=(a+b+c)(a2+b2+c2abbcca)=(a+b+c)12{(ab)2+(bc)2+(ca)2}0a^3+b^3+c^3-3abc\\ =(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)\\ =(a+b+c)\cdot \frac{1}{2}\{(a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2\}\\ \geq 0

1行目から2行目の変形に因数分解公式を用いた。

上の議論から,a3+b3+c33abca^3+b^3+c^3 \geq 3abc が成立する。

よって,x,y,zx,\:y,\:z が非負のとき,

a=x3,b=y3,c=z3a=\sqrt[3]{x},\:b=\sqrt[3]{y},\:c=\sqrt[3]{z} を上の不等式に代入すると

x+y+z3xyz3x+y+z\geq 3\sqrt[3]{xyz} となり,

相加相乗平均の不等式を得る。

ちなみに途中で使った変形:

(a2+b2+c2abbcca)=12{(ab)2+(bc)2+(ca)2}(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)\\ =\dfrac{1}{2}\{(a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2\}

もよく見かけるので覚えておきましょう。背景となる不等式はこちら。 →有名不等式a^2+b^2+c^2≧ab+bc+caのいろいろな証明

数オリの問題への応用例

2011年のSMO(シンガポール数学オリンピック)の問題ですが,難易度的には入試問題に出てもおかしくありません。

問題

x,yx,y に関する不定方程式 x3+y33xy=p1x^3+y^3-3xy=p-1 が自然数解を持つような素数 pp の最大値を求めよ。

方針

c=1c=1 の場合の気づきにくいパターンですが,因数分解公式が適用できます。そして,さきほどの例と同じ式変形を用います。

解答

不定方程式は以下と同値:

(x+y+1)(x2+y2+1xyxy)=p(x+y+1)(x^2+y^2+1-xy-x-y)=p

よって,pp が素数なので左辺の2つめの因数は 11 である必要がある:

12{(xy)2+(x1)2+(y1)2}=1\dfrac{1}{2}\{(x-y)^2+(x-1)^2+(y-1)^2\}=1

これを満たす自然数の組みは (x,y)=(1,2),(2,1),(2,2)(x,y)=(1,2),(2,1),(2,2) のみ。

(x,y)=(2,2)(x,y)=(2,2) が解となるときが p=5p=5 で最大となる。

ちなみに複素数の範囲なら,a3+b3+c33abca^3+b^3+c^3-3abc はさらに因数分解できます。→複素数の範囲での因数分解の例題4問

Tag:因数分解の発展的な公式・応用例まとめ