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たすきがけによる因数分解は覚えなくてもいい

更新日時 2021/03/07

たすきがけによる因数分解のやり方を復習した後,たすきがけを用いない方法を解説します。

目次
  • たすきがけによる因数分解

  • たすきがけを用いない方法

  • たすきがけを用いない方法のメリット

  • 2変数の例題

たすきがけによる因数分解

たすきがけとは,二次式を因数分解するための方法です。たすきがけを使って

3x210x+83x^2-10x+8

を因数分解してみましょう。

手順1. かけて 33(二次の係数)になる2つの整数を適当に決めて左に縦に並べる

たすきがけの手順1

手順2. かけて 88(定数項)になる2つの整数を適当に決めて右に縦に並べる

たすきがけの手順2

手順3. 「たすきがけ(斜めにそれぞれ掛け算)」する

たすきがけの手順3

手順4. 足し算して 10-10(一次の係数)になればOK

たすきがけの手順4

OKの場合,手順1と2で選んだ4つの数字を使って因数分解できます:

3x210x+8=(1x2)(3x4)=(x2)(3x4)3x^2-10x+8\\ =(1x-2)(3x-4)\\ =(x-2)(3x-4)

※足し算して 10-10 にならない場合,手順1に戻って別の候補を探します。

たすきがけを用いない方法

二次式の因数分解は,たすきがけを用いなくても,二次方程式の解の公式を使って機械的に計算できます。

例として 3x210x+83x^2-10x+8 の因数分解を考えてみます。

3x210x+8=03x^2-10x+8=0

という二次方程式の解を,解の公式を使って計算すると

x=5±25243x=\dfrac{5\pm\sqrt{25-24}}{3}

x=2,43x=2,\dfrac{4}{3}

となります。

よって,ax2+bx+c=0ax^2+bx+c=0 の解が α,β\alpha,\beta であるとき,ax2+bx+c=a(xα)(xβ)ax^2+bx+c=a(x-\alpha)(x-\beta) と因数分解できる
という性質(※)を使うと,

3x210x+8=3(x2)(x43)=(x2)(3x4)3x^2-10x+8\\ =3(x-2)(x-\frac{4}{3})\\ =(x-2)(3x-4)

と因数分解できます。

上記の性質は,因数定理を使っても証明できますし,直接

a(xb+b24ac2a)(xbb24ac2a)a\left(x-\dfrac{-b+\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\right)\left(x-\dfrac{-b-\sqrt{b^2-4ac}}{2a}\right)

を展開して ax2+bx+cax^2+bx+c になることを確認することもできます。

たすきがけを用いない方法のメリット

  • たすきがけは直感で「当たり」を見つける必要がありますが,解の公式による方法は機械的に計算できます。そのため,32x2+36x4532x^2+36x-45 のように数字が大きい場合も,そこまで時間をかけずに確実に因数分解できます。
  • 「因数分解せよ」という問題ではきれいに因数分解できるので)解の公式を使っている途中で,ルートの中身が平方数になることを確認できて,自分の計算に自信が持てます。

2変数の例題

例題

3x2+2xy8y28x+14y33x^2+2xy-8y^2-8x+14y-3 を因数分解せよ。

たすきがけによる解答

3x2+(2y8)x8y2+14y3=3x2+(2y8)x(8y214y+3)3x^2+(2y-8)x-8y^2+14y-3\\ =3x^2+(2y-8)x-(8y^2-14y+3)

まず,8y214y+38y^2-14y+3 の部分をたすきがけで因数分解すると,上式は

2変数のたすきがけ

3x2+(2y8)x(4y1)(2y3)3x^2+(2y-8)x-(4y-1)(2y-3)

となる。さらに,上式でもう一回たすきがけを頑張ると,

2変数のたすきがけ2

(3x4y+1)(x+2y3)(3x-4y+1)(x+2y-3)

となる。

解の公式を使う解答

3x2+(2y8)x8y2+14y3=03x^2+(2y-8)x-8y^2+14y-3=0

を解く。まず,解の公式におけるルートの中身は

D4=(y+4)23(8y2+14y3)=25y250y+25=25(y1)2\dfrac{D}{4}=(-y+4)^2-3(-8y^2+14y-3)\\ =25y^2-50y+25\\ =25(y-1)^2

となり完全平方式になる。

よって,解の公式より

x=y+4±5(y1)3x=\dfrac{-y+4\pm 5(y-1)}{3}

x=4y13,2y+3x=\dfrac{4y-1}{3},-2y+3

よって,因数分解した結果は

3(x4y13){x(2y+3)}=(3x4y+1)(x+2y3)3(x-\dfrac{4y-1}{3})\{x-(-2y+3)\}\\ =(3x-4y+1)(x+2y-3)

となる。

「たすきがけは不要」とまでは言いませんが,たすきがけを忘れてもなんとかやっていける!

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