有名不等式a^2+b^2+c^2≧ab+bc+caのいろいろな証明
任意の実数 に対して, 等号成立条件は, である。
有名でいろいろな応用がある不等式です。
このページでは,この有名不等式のいろいろな証明を紹介します。1つの不等式でもいろいろな証明方法があることを味わいつつ,不等式の証明手法に慣れましょう。
両辺の差を取って直接示す方法
両辺の差を取って直接示す方法
最も基本的な不等式の証明方法は,両辺の差を変形して0より大きい(または小さい)ことを示す方法です。証明1はカッコイイし定番なのでぜひ覚えたいところですが,証明2で見るように, 2次式の場合は愚直に1文字ずつ平方完成していけば必ず機械的に証明できます。
両辺の差を取って を示せばよいが,左辺は と平方の和に変形できるので目標の不等式が示された。
なお,このページでは証明中で等号成立条件についての言及は省略していますが,解答では等号成立条件を述べた方がよいです。
両辺の差を の2次式と見て平方完成する。
残りの部分を の2次式と見て平方完成すると,結局
となり,平方の和に変形できるので目標の不等式が示された。
相加相乗平均の不等式を用いて示す方法
相加相乗平均の不等式を用いて示す方法
3変数の対称的な不等式は3つに分解して示すことができる場合が多いです。
相加相乗平均の不等式より, である。同様に, , である。以上3つの不等式を辺々加えて2で割ると求める不等式を得る。
シュワルツの不等式を用いて示す方法
シュワルツの不等式を用いて示す方法
ムーアヘッドの不等式を用いて示す方法
ムーアヘッドの不等式を用いて示す方法
ムーアヘッドの不等式というマニアックな不等式を知っている人はどうぞ。この有名不等式はムーアヘッドの不等式の非常に簡単な例になっています。
なので,ムーアヘッドの不等式から
2次形式を用いる方法
2次形式を用いる方法
大学1年で習う行列の知識を使います。
参考:→半正定値対称行列の意味と性質【固有値・二次形式・分解・小行列式】
となるが,簡単な計算により の小行列式は のいずれかとなり,全て非負なので は半正定値行列である。よって目標の不等式が示された。
素直に機械的に証明するのも楽し,シュワルツでカッコつけるのもまた楽し,ですね!
Tag:有名な定理を複数の方法で証明