整数分野:練習問題一覧|入試数学コンテスト過去問集

この記事では,入試数学コンテストで出題された問題のうち,整数分野のものをまとめています。

易しめの問題から超難問まで,幅広い難易度の問題が揃っています。全ての問題に解答解説がついているので,日々の学習・演習に役立ててください。

整数分野の問題を解くコツ

  • 整数問題で必要な知識はそれほど多くありません。しかし,その知識の組み合わせ方は無数にあり,難問が多いです。

  • 単純な知識というよりは,様々なタイプの問題を解いてテクニックを知るのが大事です。

  • まずは問題をよく観察しましょう。

  • 実験も大切です。小さい整数を代入してどうなるか計算してみましょう。徐々に「もしかしてこうじゃないかな?」という予想が立ってきます。そこまできたら後は自分の知っている知識で「予想」を証明してみましょう。

  • ある程度整数問題が解けるようになったうえで,さらに整数問題の腕を磨きたい人は「飛び道具」を知るのも良いかもしれません。 高校数学の美しい物語には様々な整数の記事があります。例えば, フェルマーの小定理の証明と例題オイラーのファイ関数のイメージ といった記事があります。これらの「道具」を知っていると見通しがよくなる問題が出題されることは多いです。実際,入試数学コンテストの第3回第5問は,その例になっています。

  • 整数問題はハマると楽しいです! 是非マスターしましょう!

第1回第6問

問題

pp を素数とする。xx の整数係数多項式 f(x)=a0+a1x++anxn f(x) = a_0 + a_1 x + \cdots + a_n x^n について,全ての係数 aia_ipp の倍数のとき,「f(x)f(x)pp で割り切れる」ということにする。 これにより,整数係数多項式 f(x),g(x)f(x),g(x) について,f(x)g(x)f(x) - g(x)pp で割り切れるとき,「f(x)f(x)g(x)g(x)pp を法として合同である」と定義する。 問題のなかで,f(x),g(x)f(x), g(x) が整数係数多項式のとき, (f(x)+g(x))p \left(f(x) + g(x)\right)^p {f(x)}p+{g(x)}p \left\{f(x)\right\}^p + \left\{g(x)\right\}^p pp を法として合同な多項式であることを用いてもよい。

(1) 00 以上の整数 m,lm,l に対し, (x+1)mpl=a0+a1x++amplxmpl (x+1)^{mp^l} = a_0 + a_1 x + \cdots + a_{mp^l} x^{mp^l} となるような係数 aia_i をとる。このとき,apla_{p^l}pp を法として合同であるような数を mm のみを用いて表せ。

(2) 一般に,有限集合 AA に対し,A\sharp A は集合の元の個数を表すとする。有限集合 GG に対し,ある 00 以上の整数 m,lm,l が存在して, G=mpl\sharp G = mp^l を満たすとする。これを用いて X={YYG,Y=pl} X = \left\{Y \mid Y \subset G, \sharp Y = p^l\right\} とおく。X\sharp Xpp を法として合同であるような数を mm のみを用いて表せ。

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第3回第5問

問題

正の整数 nn に対し,nn 以下で nn と互いに素であるような正の整数の総和を S(n)S(n) とする。

例えば,S(1)=1S(5)=1+2+3+4=10S(6)=1+5=6S(1)=1,S(5)=1+2+3+4=10,S(6)=1+5=6 である。

以下の問いに答えよ。

(1) S(1024)S(1024) を求めよ。

(2) m=20212021m=2021^{2021} とするとき,S(m)m2\dfrac{S(m)}{m^2} の値を求めよ。

(3) S(n)S(n) が偶数となるような 100100 以下の正整数 nn の総和を求めよ。

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第4回第3問

問題

f(k)f(k) を,m2mn+n2=km^2-mn+n^2=k を満たす整数解 (m,n)(m, n) の個数とする。

例えば,f(0)=1f(1)=6f(0)=1,f(1)=6 である。

(1) f(2)f(2) を求めよ。

(2) i=02021f(2i)\displaystyle \sum_{i=0}^{2021} f(2^{i}) を求めよ。

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第5回第5問

問題

2n2^n を十進法表記したときの最高位の数字を並べた数列を ana_n とする。数列の項は初項から {an}={2,4,8,1,3,6,1,2,5,1,}\{a_n\}=\{2,4,8,1,3,6,1,2,5,1,\ldots\} となる。

(1) 0.30102<log102<0.301030.30102 < \log_{10} 2 <0.301030.47712<log103<0.477130.47712 < \log_{10} 3 < 0.47713 を用いて 220212^{2021} を十進法表記したときの最高位の数字を求めよ。

(2) an=1a_n=1 となる 11 以上 20212021 以下の正整数 nn の個数を求めよ。

(3) an=4a_n=4 となる 11 以上 20212021 以下の正整数 nn の個数を求めよ。

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第6回第6問

問題

2a+5b2^a + 5^b が平方数となるような正整数の組 (a,b)(a,b) を全て求めよ。

入力するときは次の手順に従って得られる A,BA,B を入力せよ。

  1. aa が小さい順に解を並べる。aa が等しいときは, bb の値が小さいほうを先に書く。
  2. こうして並べた解を (a1,b1),(a2,b2),(a_1,b_1) , (a_2 , b_2) , \cdots とおく。
  3. nn 番目の素数を pnp_n として, A=p1a1p2a2=2a13a2pnanB=p1b1p2b2=2b13b2pnbnA = p_1^{a_1} \cdot p_2^{a_2} \cdots = 2^{a_1} \cdot 3^{a_2} \cdots p_n^{a_n} \cdots \\ B = p_1^{b_1} \cdot p_2^{b_2} \cdots = 2^{b_1} \cdot 3^{b_2} \cdots p_n^{b_n} \cdots と定める。

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第7回第2問

問題

(1) 不定方程式 2m3n=72m - 3n = 7 の任意の非負整数解 (m,n)(m,n) に対して,ある非負整数 kk が存在して (m,n)=(ak+b,ck+d) (m,n) = (ak + b ,ck + d) と表されるとき a,b,c,da,b,c,d の値を答えよ。

(2) 非負整数 kk は以下の条件を満たす。 {3k+5<(2k+25)2(2k+15)2<3k+6\begin{cases} 3k+5 < \left( \dfrac{2k+2}{5} \right)^2\\ \left( \dfrac{2k+1}{5} \right)^2 < 3k+6 \end{cases}

このとき kk として考えられる値すべての総和を求めよ。

(3) xx についての方程式 2[x2]3[5x]=72 [x^2] - 3 [5x] = 7 の正の実数解が取りうる値の範囲を求めよ。ただし [x][x]xx を越えない最大の整数を表す。

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第7回第5問

問題

実数 yy に対して tanx=y\tan x = y を満たす実数 π2<x<π2-\dfrac{\pi}{2} < x < \dfrac{\pi}{2}θ(y)\theta (y) によってあらわす。

例えば,θ(1)=π4\theta (1) = \dfrac{\pi}{4}θ(0)=0\theta (0) = 0 である。

(1) θ(3)\theta (\sqrt{3}) を求めよ。

(2) m,nm,nm>n2m > n \geqq 2 となる整数とする。このとき方程式 θ(1m)+θ(1n)=π4 \theta \left( \dfrac{1}{m} \right) + \theta \left( \dfrac{1}{n} \right) = \dfrac{\pi}{4} を満たす (m,n)(m,n) を求めよ。

(3) m,nm,n22 以上の整数とする。このとき方程式 2θ(1m)θ(1n)=π4 2\theta \left( \dfrac{1}{m} \right) - \theta \left( \dfrac{1}{n} \right) = \dfrac{\pi}{4} を満たす (m,n)(m,n) を求めよ。

(4) xx を有理数,nn22 以上の整数とする。このとき方程式 2θ(x)θ(1n)=π4 2\theta \left( x \right) - \theta \left( \dfrac{1}{n} \right) = \dfrac{\pi}{4} を満たす (x,n)(x,n) に現れる nn を小さい順に3つ求めよ。

なお,問題を解く上で次の事実を用いてよい。

  • 整数の数列 {xk},{yk}\{x_k\} , \{y_k\}(1+2)k=xk+yk2(1+\sqrt{2})^k = x_k +y_k \sqrt{2} により定義したとき,x22y2=±1x^2 - 2y^2 = \pm 1 の整数解は (xk,yk)(x_k , y_k) によって得られる。また (xk,yk)(x_k ,y_k) に現れる数字以外に解となる数は存在しない。

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