入試数学コンテスト第7回第2問解答解説

第2問 [整数]

第2問

(1) 不定方程式 2m3n=72m - 3n = 7 の任意の非負整数解 (m,n)(m,n) に対して,ある非負整数 kk が存在して (m,n)=(ak+b,ck+d) (m,n) = (ak + b ,ck + d) と表されるとき a,b,c,da,b,c,d の値を答えよ。

(2) 非負整数 kk は以下の条件を満たす。 {3k+5<(2k+25)2(2k+15)2<3k+6\begin{cases} 3k+5 < \left( \dfrac{2k+2}{5} \right)^2\\ \left( \dfrac{2k+1}{5} \right)^2 < 3k+6 \end{cases}

このとき kk として考えられる値すべての総和を求めよ。

(3) xx についての方程式 2[x2]3[5x]=72 [x^2] - 3 [5x] = 7 の正の実数解が取りうる値の範囲を求めよ。ただし [x][x]xx を越えない最大の整数を表す。

第2問は整数の問題でした。(1) はオーソドックスな不定方程式を解く問題となります。一次不定方程式ax+by=cの整数解 も参照してください。

また今回の場合は「正」という条件があるので,数字の取り方に注意しましょう。(実際,模範解答の数以外に条件を満たす a,b,c,da,b,c,d はありません。)

第2問 (1)

不定方程式 2m3n=72m-3n=7 の非負整数解として 2531=72 \cdot 5 - 3 \cdot 1 = 7 を取ることができる。与式と辺々引き算をすることで 2(m5)3(n1)=0 2 (m-5) - 3 (n-1) = 0 が得られる。移項することで 2(m5)=3(n1) 2(m-5) = 3(n-1) である。2233 は互いに素であるため,非負整数 kk により m5=3k,n1=2km-5 = 3k , n-1 = 2k と表される。よって (m,n)=(3k+5,2k+1)(m,n)=(3k+5, 2k+1) が求める解となる。

(2) では連立不等式を満たす整数の和を計算します。まずはそれぞれの不等式を解きましょう。非負整数だけをピックアップできれば良いので,うまく評価をしましょう。

第2問 (2)

条件の不等式をそれぞれ解く。

1つめは, 3k+5<(2k+25)275k+125<4k2+8k+44k267k119>0k<6752578,67+52578<k 3k+5 < \left( \dfrac{2k+2}{5} \right)^2\\ 75k + 125 < 4k^2 + 8k + 4\\ 4k^2 - 67k - 119 >0\\ k<\dfrac{67-5\sqrt{257}}{8}, \dfrac{67+5\sqrt{257}}{8}<k となり,2つめは (2k+15)2<3k+64k2+4k+1<75k+1504k271k149<07115338<k<71+15338 \left( \dfrac{2k+1}{5} \right)^2 < 3k+6\\ 4k^2+4k+1 < 75k + 150\\ 4k^2 - 71k - 149 <0\\ \dfrac{71-15\sqrt{33}}{8}<k<\dfrac{71+15\sqrt{33}}{8} である。

711533<71155=4<0675257<67516=13<0\begin{aligned} 71 - 15 \sqrt{33} &< 71 - 15 \cdot 5\\ &= -4 <0\\ 67 - 5 \sqrt{257} &< 67 - 5 \cdot 16\\ &= -13 < 0 \end{aligned} となる。kk が非負整数のときを考えるため,考えるべき不等式は {k>67+525780<k<71+15338\begin{cases} k > \dfrac{67+5\sqrt{257}}{8}\\ 0 < k < \dfrac{71+15\sqrt{33}}{8} \end{cases} となる。

18<67+52578<19<71+15338<20 18 < \dfrac{67+5\sqrt{257}}{8} < 19 < \dfrac{71+15\sqrt{33}}{8} < 20 と計算されるため,不等式を満たす整数は k=19k = 19 のみである。こうして求めるべきものは 1919 である。

なお,次のように実数を評価できる。

256<257<289256 < 257 < 289 より 16<257<1716 < \sqrt{257} < 17 であるため, 67+516<67+5257<67+5171478<67+52578<1528 67 + 5 \cdot 16 < 67 + 5 \sqrt{257} < 67 + 5 \cdot 17\\ \dfrac{147}{8} < \dfrac{67 + 5 \sqrt{257}}{8} < \dfrac{152}{8}\\ となる。1478>18,1528=19\dfrac{147}{8} > 18 , \dfrac{152}{8} = 19 である。

5.62=31.36,5.82=33.645.6^2 = 31.36 , 5.8^2 = 33.64 から 71+155.6<71+1533<71+155.81558<71+15338<1588 71 + 15 \cdot 5.6 < 71 + 15 \sqrt{33} < 71 + 15 \cdot 5.8\\ \dfrac{155}{8} < \dfrac{71 + 15 \sqrt{33}}{8} < \dfrac{158}{8} となる。1588\dfrac{158}{8} である。こうして 18<67+52578<19<71+15338<20 18 < \dfrac{67+5\sqrt{257}}{8} < 19 < \dfrac{71+15\sqrt{33}}{8} < 20 となる。

1つめの不等式の評価で 33<36=6\sqrt{33} < \sqrt{36} = 6 を使いたいところですが,この場合 71+15338<1618=20.125 \dfrac{71+15\sqrt{33}}{8} < \dfrac{161}{8} = 20.125 となりうまく評価できません。

最後の問題はガウス関数を含む方程式を解く問題です。[x2][x^2][5x][5x] はどちらも整数になるので,(1) の解になることがわかります。整数部分であることから,不等式が得られるので,その不等式に解があることを調べることになります。

第2問 (3)

m=[x2],n=[5x]m=[ x^2 ] ,n=[ 5x ] とおくと,(1) より (m,n)=(3k+5,2k+1)(m,n)=(3k+5, 2k+1) である。

m,nm,n はそれぞれ x2,5xx^2 , 5x の整数部分であるため, 3k+5x2<3k+62k+15x<2k+25 3k+5\leq x^2< 3k+6\\ \dfrac{2k+1}{5}\leq x <\dfrac{2k+2}{5} を満たす。

これを同時にみたす正の実数 xx が存在するためには,これらに共通部分が存在すればよい。すなわち, {3k+5<(2k+25)2(2k+15)2<3k+6\begin{cases} 3k+5<\left(\dfrac{2k+2}{5}\right)^2\\ \left(\dfrac{2k+1}{5}\right)^2<3k+6 \end{cases} を満たす非負整数 kk を求めればよい。

(2) より k=19k=19 である。これを代入することにより,xx の範囲は 62x<37 \sqrt{62} \leqq x < 3\sqrt{7} である。

解が存在する条件が複雑です。(1) (2) の誘導に乗りながら,焦らず1つ1つ対処していくことがコツですね。