入試数学コンテスト第5回第5問解答解説

第5問 [対数・整数]

第5問

2n2^n を十進法表記したときの最高位の数字を並べた数列を ana_n とする。数列の項は初項から {an}={2,4,8,1,3,6,1,2,5,1,}\{a_n\}=\{2,4,8,1,3,6,1,2,5,1,\ldots\} となる。

(1) 0.30102<log102<0.301030.30102 < \log_{10} 2 <0.301030.47712<log103<0.477130.47712 < \log_{10} 3 < 0.47713 を用いて 220212^{2021} を十進法表記したときの最高位の数字を求めよ。

(2) an=1a_n=1 となる 11 以上 20212021 以下の正整数 nn の個数を求めよ。

(3) an=4a_n=4 となる 11 以上 20212021 以下の正整数 nn の個数を求めよ。

第5問は整数の問題です。非常に興味深い問題です。まずは 常用対数の意味と計算(桁数・最高位の数) に関する問題です。基本的な問題ですが,桁が大きいため計算ミスに注意したいですね。

第5問 (1)

608.36142<log1022021<608.38163608.36142<\log_{10}2^{2021}<608.38163 より 220212^{2021}609609 桁である。

また 0.30103<0.36142<0.38163<0.477120.30103<0.36142<0.38163<0.47712 より 220212^{2021} の最高位の数字は 22 である。

(2) は一見難しいように見えますが,どのようなときに an=1a_n = 1 になるのか考えてみると簡単だとわかります。しっかりと (1) が必要になります。

第5問 (2)

2k12^{k-1}2k2^{k} の桁数が異なるとき,またこのときに限って an=1a_n=1 である。

220212^{2021} の桁数が 609609 桁であることから,2k12^{k-1}2k2^{k} の桁数が異なることは 608608 回ある。こうして求めるものは 608608 だとわかる。

(3) は難問です。方針は an=1a_n=1 となる nn 2つで挟んだ ana_n の部分列を調べることになります。この部分列をよく見ると活路が見えます。

第5問 (3)

ai=1a_i=1 となるある ii について,aj=1a_j=1 となる ii より大きい jj のうち最小のものを ii' とする。

ak=1a_k = 1 のとき,ak+1a_{k+1}2233 のいずれかである。

ak=2a_k = 2 のとき,ak+1a_{k+1}4455 のいずれかである。

ak=3a_k = 3 のとき,ak+1a_{k+1}6677 のいずれかである。

ak=4a_k = 4 のとき,ak+1a_{k+1}8899 のいずれかである。

ak=5,6,7,8,9a_k = 5,6,7,8,9 のとき,ak+1a_{k+1}11 である。

こうして ai=1a_i = 1 とするとき,部分列 {ai,ai+1,,ai1}\{a_i,a_{i+1},\ldots,a_{i'-1}\} は次の 55 パターンである。

{1,2,4,8},{1,2,4,9},{1,2,5},{1,3,6},{1,3,7} \{1,2,4,8\},\{1,2,4,9\},\{1,2,5\},\{1,3,6\},\{1,3,7\}

(1) より a2021=2a_{2021} = 2 であるため,a2020=1a_{2020} = 1 である。したがって a1a_1 から a2019a_{2019}11607607 個現れる。

今,a0=1a_0=1 とすれば,a0,a1,,a2019a_0,a_1,\ldots,a_{2019} の中に ai=1a_i=1 として {ai,ai+1,,ai1}\{a_i,a_{i+1},\ldots,a_{i'-1}\} となる部分列が 608608 個存在する。

ai=1a_i=1 として {ai,ai+1,,ai1}\{a_i,a_{i+1},\ldots,a_{i'-1}\} となる部分列のうち,44 を含むものの個数を nn とおく。上記から部分列に 44 を含むときは部分列の項の数が4,含まないときは項の数が3になることから次の方程式が得られる。

4n+3(608n)=2020 4 n + 3 (608- n) = 2020

これを解くことにより n=196n = 196 が得られる。a0=1,a2020=1,a2021=2a_0 = 1, a_{2020} = 1 , a_{2021} = 2 より,a1,a2,,a2021a_1 , a_2 , \cdots , a_{2021} に現れる 44 の個数は,a0,a1,,a2019a_0 , a_1 , \cdots ,a_{2019} に現れる 44 の個数と等しい。

こうして求める数が 196196 だとわかる。

an=4a_n = 444 でなければならないことがわかります。非常に興味深いです。

今回は十進数における 2n2^n の最高位でした。他の進数,例えば六進数であると,どのような mm であれば同じような手法で an=ma_n = m となる nn の個数が求められそうか,考えてみましょう。