第3問
f(k) を,m2−mn+n2=k を満たす整数解 (m,n) の個数とする。
例えば,f(0)=1,f(1)=6 である。
(1) f(2) を求めよ。
(2) i=0∑2021f(2i) を求めよ。
第3問は整数の,特に不定方程式に関する問題です。
不定方程式の必勝法は解の範囲を絞り込むことです。今回は二次方程式の形をしているため,判別式から解としてありうる n の範囲がわかります。範囲を絞った後は個別撃破です。
第3問 (1)
m2−mn+n2=k を満たす整数解の個数を考える。m2−nm+n2−k=0 とし,これを m についての二次方程式と見ると,
m=2n±n2−4(n2−k)=2n±4k−3n2
が成立する。m が整数であるためには,m が実数でなければならない。ゆえに 4k−3n2≧0 が成立しなければならない。これより,n2≦34k が従う。 今,k=2 であるから,n≦38 となるため,n の候補は,n=0,±1 となる。
n=0 のとき 4k−3n2=8 であるため m=±2 となり,m は整数とならない。
n=±1 のとき 4k−3n2=5 であるため m=2±1±5 (複合は任意)となり,m は整数とならない。
ゆえに,f(2)=0 である。
第2問は f(2i) の挙動を掴む問題です。小さい数で f(2i) を実験してみましょう。
f(1) は解答中にも登場しますが,(m,n)=(±1,0),(1,1),(−1,−1),(0,±1) が方程式の解なので f(1)=6 になります。
f(4) はどうでしょう。判別式は 16−3n2≧0 になりますね。ということは n=0,±1,±2 がありうることになります。順番に代入していくと 4k−3n2 は 16,13,4 ですから n=0,2 のときは解がありそうです。実際,n=0 のときは m=±2,n=2 のときは m=0,2,n=−2 のときは m=0,−2 となります。したがって f(4)=6 です。これらの解をよく見ると,k=1 の解を2倍したものが k=4 の解になっていることに気付くと思います。
こうした実験を経て,f(2i) の取る値が予想できます。あとは論証するだけです。
第3問 (2)
2 以上の正整数 a に対して,f(2a)=f(2a−2) となることを示す。
m,n の少なくとも一方が奇数であるとすると, m2−mn+n2 は奇数となる。 このとき, m2−mn+n2=2a は成立しない。 よって,m,n はいずれも偶数であるから,m=2m′,n=2n′ と書ける。 a≥2 より,m′2−m′n′+n′2=2a−2 となるので,m2−mn+n2=2a の解は m′2−m′n′+n′2=2a−2 の解となる。
逆に m′2−m′n′+n′2=2a−2 の解は,方程式の両辺に4を掛けることで m2−mn+n2=2a の解に対応する。 ゆえに主張が従う。
次に f(1) を求める。(1) 同様に考えると,
m=2n±4−3n2
である。4−3n−2≧0 より n=0,±1 となる。
n=0 のとき m=±1 となる。
n=1 のとき m=21±1=0,1 となる。
n=−1 のとき m=2−1±1=0,−1 となる。
以上より f(1)=6 となる。
こうして i が偶数のとき,f(2i)=6,i が奇数のとき,f(2i)=0 となる。
ゆえに,
i=0∑2021f(2i)=6×1011=6066
である。
配点 25点
(1) [7点]
0
(2) [18点]
6066