不定方程式の整数解【例題4問と解き方6パターン】

不定方程式とは, 3x+2y=13x+2y=1 のように,方程式の数よりも変数の数の方が多い方程式系のことです。

不定方程式を満たす整数解を求める問題を考えます。

  1. ax+by=c 型

大学入試でも超頻出です。ax+by=cax+by=c 型は解き方を確実に覚えましょう。

例題1

不定方程式 3x+5y=23x+5y=2 を満たす整数 (x,y)(x,y) をすべて求めよ。

解答

x=4,y=2x=4,y=-2 は解の2つである。

3×4+5×(2)=23\times 4+5\times(-2)=2

これをもとの方程式を引き算すると

3(x4)+5(y+2)=03(x-4)+5(y+2)=0

3355 は互いに素なので x4=5mx-4=5m とおける。このとき y+2=3my+2=-3m となる。よって答えは

(x,y)=(4+5m,23m)(x,y)=(4+5m,-2-3m)

2変数の1次不定方程式です。

詳細は →一次不定方程式ax+by=cの整数解

  1. 割り算の余りに着目するパターン

例題2

不定方程式 x2+1=3yx^2+1=3y を満たす整数解 (x,y)(x,y) をすべて求めよ。

解答

x2x^233 で割った余りが 0011 なので,x2+1=3yx^2+1=3y は整数解を持たない。

上記の例のように整数解を持たないことがいきなり示せるのは稀ですが,例えば「xx33 の倍数になる」など解の範囲が絞れる場合があります。困ったらとりあえず 3,4,5,73,4,5,7 などで割った余りを考えて解を絞れないか検討しましょう。

難しい応用問題は→不定方程式の難問

特に,平方数や立方数は剰余に制約がつきます。より詳しくは,→平方剰余と基本的な問題

  1. 因数分解するパターン

axy+bx+cy+d=0 パターン

例題3

2xy+3x+4y+5=02xy+3x+4y+5=0 を満たす整数 (x,y)(x,y) の組をすべて求めよ。

axy+bx+cy+d=0axy+bx+cy+d=0 型は,両辺を aa 倍してから (ax+A)(ay+B)=C(ax+A)(ay+B)=C と因数分解することで解けます。

解答

両辺2倍すると 4xy+6x+8y+10=04xy+6x+8y+10=0 となる。定数項以外を強引に因数分解すると (2x+4)(2y+3)=2(2x+4)(2y+3)=2

2x+42x+4 は偶数なので ±2\pm 2 になる。つまり x=1,3x=-1,-3 それぞれ y=1,2y=-1,-2

他の例

上記の例以外にも,anbn,an+bn,a4+4b4a^n-b^n,a^n+b^n,a^4+4b^4 の形を作り出せたら因数分解してみましょう。

→因数分解公式(n乗の差,和)

→因数分解公式(ソフィージェルマンの恒等式)

  1. 不等式で範囲を絞るパターン

対称な不定方程式は変数の間に大小関係を決めても一般性を失わないので不等式でおさえる手法が使いやすいです。

例題4

不定方程式 1x+1y=1\dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}=1 を満たす正の整数 (x,y)(x,y) の組をすべて求めよ。

解答

xxyy について対称なので xyx\geq y としても一般性を失わない。左辺 2y\leq \dfrac{2}{y} より y3y\geq 3 だとおかしい。よって y=1,2y=1,2 が候補。あとはそれぞれ調べると,

x=y=2x=y=2 のみ。

より発展的な問題は エジプト分数(単位分数の和)に関する4つの話題をどうぞ。

  1. 一般の二次不定方程式なら判別式

ax2+bxy+cy2+dx+ey+f=0ax^2+bxy+cy^2+dx+ey+f=0 型は xx または yy についての2次方程式と見た時に判別式が平方数になるという条件から解の候補が絞れます。

判別式でうまくいかないときはペル方程式に帰着することが多いです。

→ペル方程式に関する基本的な性質まとめ

  1. 無限降下法を使うパターン

数学オリンピックの難問に多いタイプです。

  1. その他

整数係数の不定方程式をディオファントス方程式といいます。