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位相(位相差・同位相・逆位相)

更新日時 2021/03/28
目次
  • 位相とは

  • 正弦波と位相

  • 位相の求め方

  • 位相差

  • 同位相と逆位相

位相とは

位相とは波の様々な情報を表す物理量の一つです。ある時点での波が, その波の繰り返し周期の中のどの位置(タイミング)にいるかを表します。

わかりやすく考えるために最も簡単な例からスタートしましょう。

まず馴染みのある y=sinθy = \sin \theta のグラフについて考えてみましょう。

y=sinx

y=sinθy = \sin \theta のグラフは θ\theta の値に応じて縦軸 yy が周期的に変化します。

ここでは, 縦軸 yy を「波」であると考えましょう。この場合, 右辺の θ\theta が表しているものこそが位相です。

下図を見ると, 位相 θ\theta2π2 \pi 増えるごとに yy の周期的な変化が繰り返されていることがわかります。

y=sinxの周期性

1つ1つの周期的な変化の最小単位を「1回の振動」と呼び, 1回振動するのに要する時間のことを周期と呼びます。

波の位相を調べることで

  • 波は周期の中のどの位置(タイミング)にいるのか
  • 波はあとどれくらいで次の周期を迎えるのか
  • 波は今何回目の周期なのか

といった情報を得ることができます。このように位相は波の情報を表す非常に重要な手がかりとなるのです。

y=sinθy = \sin \thetaθ\theta を「位相」と呼んでいることからもわかるように, 位相 θ\theta の単位はラジアン(あるいは度)です。つまり「角度」の単位と同じです。位相は波の角度であると捉えることもできますね。

ここまで説明した振動と位相の関係性をまとめると

  • 「1回の振動」にかかる時間 = 1周期
  • 「1回の振動」による位相のズレ = 2π2 \pi

です。

位相の基本的な考え方はわかりましたね。次はもう少し発展的な状況を考えてみましょう。

正弦波と位相

y(t)=Asin(ωt+α)y(t) = A \sin (\omega t + \alpha) で表される波を正弦波と呼びます。

正弦波

時刻 tt における正弦波の式は

y(t)=Asin(ωt+α) y(t) = A \sin (\omega t + \alpha)

AA : 振幅(A>0A > 0 の場合)

ω\omega : 角振動数

α\alpha : 初期位相

前節で例に挙げた y=sinθy = \sin \theta も正弦波の一種ですが, ここで紹介した正弦波の式はより一般的な表現となっています。

前節では y=sinθy = \sin \thetaθ\theta が「位相」であると説明してきました。これを踏まえると, 波の位相の一般的な表現は以下のようになります。

波の位相

θ(t)=ωt+α \theta (t) = \omega t + \alpha

特に t=0t=0 での波の位相を初期位相(あるいは位相角)と呼びます。

初期位相(位相角)

θ(0)=α \theta(0) = \alpha

位相 θ(t)\theta (t) を用いると, 正弦波の式は以下のように表現できます。

y(t)=Asin(ωt+α)=Asinθ(t) \begin{aligned} y(t) &= A \sin (\omega t + \alpha) \\ &= A \sin \theta(t) \end{aligned}

ここでもやはり, 位相 θ(t)\theta(t)sin\sin の中身であり, 前節で説明したことと同じように波が周期の中のどの位置にいるかを表しています。位相 θ(t)\theta (t) や初期位相 α\alpha の単位はラジアン(あるいは度)です。

位相の一般的な表現である

θ(t)=ωt+α \theta (t) = \omega t + \alpha

という式をみた時, 頭の中で

  • t=0t = 0 のとき, すでに α\alpha の位相がある(初期位相)
  • 時刻 tt が経過するにつれて ωt\omega t が大きくなって, 位相 θ(t)\theta (t) が大きくなっていく
  • 位相 θ(t)\theta (t) が大きくなっていくにつれて, y(t)=Asinθ(t)y(t) = A \sin \theta(t) のグラフが右に進む(あるいは円周上を反時計回りにグルグル回転する)

ということが分かれば, ここまでの理解は完璧です。

正弦波についてより詳しく知りたい方はこちら→正弦波の意味,特徴と基本公式

位相の求め方

実は「位相の求め方」と言っても, 特別な公式や方程式があるわけではありません。

波のグラフや図をみた時に, 今の位相を即答できることが大切です。

次の図を見て, 波の位相を求めよ。

y=sinxの位相

(答) 3π2\dfrac{3 \pi}{2}

とても簡単ですよね。このような図から「位相を求めよ」と言われたら, 数学 II と同じ要領で sin()\sin() の中の「角度」を求めれば良いのです。

位相差

ここから先の節では, 位相が異なる波が2つある状況を考えてみましょう。

波1: y(t)=Asin{θ1(t)}y(t) = A \sin \{ \theta_1(t) \}

波2: y(t)=Bsin{θ2(t)}y(t) = B \sin \{ \theta_2(t) \}

この時, 波の位相差 ϕ\phi は以下のように定義されます。

波の位相差

ϕ=θ1θ2 \phi = \theta_1 - \theta_2

※ この先, 簡単のため θ1(t)\theta_1(t) のことを θ1\theta_1 と略記します。θ2(t)\theta_2(t) も同様です。

位相差 ϕ\phi は, 波1の位相 θ1\theta_1 と波2の位相 θ2\theta_2 の差として定義します。

位相差 ϕ\phi を知ることで波1と波2の関係性がとてもわかりやすくなります。この記事では詳しくは説明しませんが「合成波」や「定常波」といった波の現象を考える時に大活躍する物理量です。

次の図を見て, 波の位相差を求めよ。

波の位相差

解答

波の位相差の求め方

目盛りを読み取ると

  • 波1の始まりは π4+2m1π- \dfrac{\pi}{4} + 2m_1 \pi
  • 波2の始まりは π2+2m2π\dfrac{\pi}{2} + 2m_2 \pi

位相差は

(π4+2m1π)(π2+2m2π)=3π4+2nπ \begin{aligned} & \left( - \dfrac{\pi}{4} + 2m_1 \pi \right) - \left( \dfrac{\pi}{2} + 2m_2 \pi \right) \\ &= - \dfrac{3 \pi}{4} + 2n \pi \end{aligned}

ただし m1,m2,nm_1, m_2, n は整数を表す。

同位相と逆位相

位相差 ϕ\phi の説明が終わったところで, 「同位相」と「逆位相」について説明します。

同位相

「波1」と「波2」の位相差 ϕ\phi

ϕ=2mπ(m は整数) \phi = 2m \pi \quad (m \text{ は整数})

であるとき, 「波1」と「波2」は同位相であるという。

逆位相

「波1」と「波2」の位相差 ϕ\phi

ϕ=(2m+1)π(m は整数) \phi = (2m + 1) \pi \quad (m \text{ は整数})

であるとき, 「波1」と「波2」は逆位相であるという。

同位相とは, 位相差が 2π2 \pi の倍数であるということです。この時, 「位相が一致している」と言う場合もあります。

同位相とは, 同位相の状態から片方の波の位相が π\pi だけズレた状態のことです。この時, 「位相が反転している」と言う場合もあります。

「同位相」「逆位相」も, 「合成波」や「定常波」といった波の重ね合わせ現象を考える時に非常に重要な概念です。少しだけ紹介すると, 二つの波が同位相であるか逆位相であるかによって波の「強めあい」「弱めあい」が決定します。

この先に活躍する概念なので, この時点で定義や意味を覚えておきましょう。

「人生山あり谷あり」と言った人の位相をみてみると θ(t)=ωt+α\theta (t) = \omega t + \alpha の一般形が観測できるかもしれません。

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