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電荷と電気量保存の法則

更新日時 2021/05/14
電気量保存の法則

孤立している系の総電気量は変化しない。

電磁気学に登場する「電荷」「電気量保存の法則」について,意味,利用例等を詳しく解説します。

目次
  • 電荷と電気量

  • 電気量保存の法則と電気量の求め方

電荷と電気量

電荷とは物質や粒子がもついわゆる「電気」のことで,電気量は電荷の量のことを指します。

単位と電気素量

電気量の単位は[C](クーロン)で表します。

最小の電気量のことを電気素量と呼び,値としては 1.602176634×10191.602176634×10^{-19} [C][C] 程度を取ります (問題集などでは 1.6×10191.6×10^{-19} [C][C] で解答するように言われることが多いです。)。 全ての電荷はこの電気素量の整数倍をとることが知られています。

電気素量は陽子の電気量または電子の電気量の絶対値に一致し,ee で表されることもあります。

電荷の一般的性質〜正電荷と負電荷〜

電荷の一般的性質としては,正負があること,同じ符号の電荷同士が反発することなどが挙げられます。

例えば,正の電気量を持つ陽子は負の電気量を持つ電子と引き付けあいます(引力)が,同じ正の電気量を持つ陽子とは反発しあいます(斥力)。 →静電気力とクーロンの法則

静電荷について

電磁気を学習していると「静電荷」という単語に出会うかもしれません。

静電荷とは静止している電荷のことです。

静電荷と動いている電荷では作る電場が違います。

電場とは電荷が発するもので,他の電荷に対して力を生じさせる場のことを言います。

電場についてはまた他の記事で紹介しますが,高校物理では電荷が作る電場については静電荷のもののみを考えます。

電気量保存の法則と電気量の求め方

電気量保存の法則(もしくは電荷保存則などともいいます。)は外から電荷を加えない限り全体の電気量は変わらない,という法則です。

当たり前のように思えるかもしれない法則ですが,実際にこれをどのように使って,物理の問題を解くのか見てみましょう。

例題〜2つの導体〜

下図のように,+2q+2q の電荷を帯びている導体Aと電荷を帯びていない導体Bがある。 (ちなみに導体については他の記事で紹介しますが,今回は電気を通す物質とだけ思っていてください。)

AとBが接触した後にAの電荷は +q+q になっていた。Bの電荷を求めよ。

電気量保存の法則 例題 導体球

電気量保存の法則から(接触する前の全体の電気量) = (接触した後の全体の電気量)より,求めたい電気量をxxとすると,

2q+0=q+x 2q + 0 = q + x x=2qq=q\begin{aligned} \therefore x &= 2q - q\\ &= q \end{aligned}

したがってBの電荷は qq となります。

この問題は簡単ですが,もう少し電磁気の授業が進むと,コンデンサーの電気容量を求める難しい問題などで非常によく使うことになります。

下に発展例題を置いておきます。

コンデンサーについてまだ学んでいないとわからない数式も多いと思いますが,法則をどこで使うのかを掴みましょう。

発展例題〜コンデンサーの電荷の求め方〜

下図のような回路がある。 電気量保存則 発展例題 直列コンデンサー 3つのコンデンサーの電気容量はそれぞれC1C_1C2C_2C3C_3であるとする。コンデンサー全体にかかっている電荷をQQとする。 QQを求めよ。

ここで注目してもらいたいのが,コンデンサーは極板同士が距離は近いけれど接触していない,という点です。

したがって下の図の赤丸の中は孤立している系と見なすことができます。

つまり赤丸内の電気量は合計すると0です。

さらに,一つのコンデンサーに注目すると,向かい合っている極板同士の電荷は正負が違うだけなので,電荷も求まります。

赤丸が書いてあるコンデンサー

あとは全体の電圧が VV であることから,

V=QC1+QC2+QC3Q=V1C1+1C2+1C3\begin{aligned} V &= \dfrac{Q}{C_1} + \dfrac{Q}{C_2} + \dfrac{Q}{C_3}\\ \therefore Q &= \dfrac{V}{\dfrac{1}{C_1} + \dfrac{1}{C_2} + \dfrac{1}{C_3}} \end{aligned}

QQ が求まります。

電気量保存の法則はとても基本的な式ですが忘れてしまうことも多いので,しっかりと身に付けましょう!

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