テンソルとは以下のように定義されます。
テンソルの定義
座標 xμ から任意の座標 xμ′ へと座標変換することを考える。座標 xμ における数の組 T と,座標 xμ′ における数の組 T との間に
Tγ′⋯δ′α′⋯β′=∂xα∂xα′⋯∂xβ∂xβ′⋅∂xγ′∂xγ⋯∂xδ′∂xδTγ⋯δα⋯β
が成立するとき,T を(r,s)テンソルという。ここで Tγ⋯δα⋯β,Tγ′⋯δ′α′⋯β′ はそれぞれの座標系における一つの成分であり,
α′⋯β′,α⋯β は r 個の変数,γ′⋯δ′,γ⋯δ は s 個の変数である。
とてもわかりづらいと思うので,例を挙げます。
座標 x,y,z から任意の他の座標系 x′,y′,z′ に座標変換することを考えます。いちいち座標 x,y,z などと書くのが面倒なので,これを xμ とかくことにします。
x′,y′,z′ についても xμ′ と書くことにします。つまり μ というのは 1,2,3 の値をとるものであり,
x1=x,x2=y,x3=zx1′=x′,x2′=y′,x3′=z′
です。このとき xμ における数の組を考えます。この数の組みは
T111,T211,T311,T112,T212,T312,T121,T221,T321,T113,T213,T313,T122,T222,T322,T123,T223,T323,T131,T231,T331,T132,T232,T332,T133,T233,T333
という 27 つの数の成分をもった組みであり,一般に α,β,γ という 1,2,3 をとりうる変数を用いて Tγαβ と代表して表されます。
また,同様に xμ′ における数の組を同様に考え, Tγ′α′β′ と代表して表します。
これらの組みに対し,全ての α′,β′,γ′ の組み合わせに対して,
Tγ′α′β′=∂xα∂xα′∂xβ∂xβ′∂xγ′∂xγTγαβ
が成立するとき,この数の組を T と呼ぶことにすれば,T は(2,1)テンソルと呼ばれます。
テンソルの定義の仕方にはいくつかの流派があります。物理では以上にあげたような方法で定義されることが多いです。テンソルはよく行列と混同されることがありますがその実体は全く異なっています。テンソルが物理で多用される理由や意味については別の記事で解説します。