特殊相対性理論における原理
特殊相対性理論における原理
特殊相対性理論における原理
特殊相対性理論は以下の2つの原理を軸に構成されていきます。
全ての物理法則は,いかなる慣性系を基準にとっても,全く同じ形式で表現される。
真空中の光の速さは光源の運動状態に無関係である。
「いかなる慣性系を基準にとっても」という部分について補足します。
古典力学において,慣性系とは,Newtonの第一法則において「物体が力の作用を受けていない場合,静止している物体は静止し続け,運動している物体は等速度運動を持続する」という条件を満たすような系であると定義されました。
さらに,Galileiの相対性原理により,「慣性系に対して,等速度並進運動している任意の運動座標系は慣性系であり,逆にこれら以外は非慣性系である」ということが主張されています。
本来Galileiの相対性原理は,力学においては,Newtonの三法則が成立していればそこから導出できるものです。ただ,新たにさらに普遍的な原理を決めようとしている段階では,Newtonの三法則も成立しているかわからないのです。したがって慣性系とはなんであるかを再定義する必要があります。
ただ,普遍的な理論を作るには,相対性理論において古典力学的な極限をとった場合は,Newton力学に戻ってきてほしいと誰しもが願います(なんといっても,Newton力学はある範囲では絶対的に正しい理論であることが数多の実験で証明されてきました)。
ということはNewton力学において絶対的に正しかったNewtonの第一法則や,Galileiの相対性原理というのは,相対論になっても正しくあって(少なくとも似ていて)ほしいものだし,また,これが成立しているのが感覚的にも尤もだと感じます。
相対性理論における慣性系の定義も,これに則り,
「ある座標系において,物体が力の作用を受けていない場合,静止している物体は静止し続け,運動している物体は等速度運動を持続するようなとき, この座標系を慣性系と呼び,慣性系に対して,等速度並進運動している任意の運動座標系は慣性系であり,逆にこれら以外は非慣性系である」
としました。実際にこの定義から導出される変換「Lorentz変換」は,古典力学的な極限ではGalilei変換に帰着します。このような意味で,特殊相対論における相対性原理とは,Galileiの相対性原理を拡張したものであると言えます。
また,相対性原理の主張が「慣性系」に限定されていることにお気づきになったと思います。特殊相対性理論では,座標系として慣性系のみを扱います。
慣性系のみしか扱えないという意味で「特殊」相対性理論と読んでいます。非慣性系に対しても成立する理論を,「一般」相対性理論とよんで区別しています。
当サイトではこれらのことを主原理として認め,相対性理論を議論していきます。