計量テンソル

更新日時 2021/03/28

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相対性理論において重要な役割をもつ計量テンソルについて解説します。また,ベクトルの大きさや内積は計量テンソルを用いて定義されます。これらについて紹介します。

目次
  • 計量テンソル

  • ベクトルの大きさ

  • 内積の定義

  • 計量テンソルはテンソルである

計量テンソル

μ,ν\mu,\nu の取りうる値の範囲を 0,1,2,30,1,2,3 とし,ημν\eta_{\mu\nu}ημν:={1(μ=ν=0)1(μ=ν0)0(otherwise) \eta_{\mu\nu} := \begin{cases} -1 & (\mu = \nu = 0)\\ 1 & (\mu = \nu \neq 0)\\ 0 & (\text{otherwise})\\ \end{cases} という記号とします。XμxμX^\mu \to x^{\mu}なる変換を施すとき(XμX^{\mu} とは特殊相対論では慣性系,一般相対論では局所慣性系とよばれる系における座標のことです。いまは基準の座標と思えば良いです), 計量テンソルgμνg_{\mu\nu}gμν:=ητσXτxμXσxν g_{\mu\nu} := \eta_{\tau\sigma}\dfrac{\partial{X^\tau}}{\partial{x^{\mu}}}\dfrac{\partial{X^\sigma}}{\partial{x^{\nu}}} と定義します。

計量テンソルがテンソルであることは内積を定義したのちに示します。定義から,計量テンソルは対称です。つまり, gμν=gνμ g_{\mu\nu} = g_{\nu\mu}

ベクトルの大きさ

一般にxμxμx^\mu \to x^{\mu'}なる変換を施すとき, gμνAμAν=ητσXτxμXσxνxμxαxνxβAαAβ=ητσXτxαXσxβAαAβ=gαβAαAβ \begin{aligned} g_{\mu'\nu'}A^{\mu'}A^{\nu'} &= \eta_{\tau\sigma}\dfrac{\partial{X^\tau}}{\partial{x^{\mu'}}}\dfrac{\partial{X^\sigma}}{\partial{x^{\nu'}}}\dfrac{\partial{x^{\mu'}}}{\partial x^{\alpha}}\dfrac{\partial{x^{\nu'}}}{\partial x^{\beta}}A^{\alpha}A^{\beta} \\ &= \eta_{\tau\sigma}\dfrac{\partial{X^\tau}}{\partial{x^\alpha}}\dfrac{\partial{X^\sigma}}{\partial{x^\beta}}A^{\alpha}A^{\beta} \\ &= g_{\alpha\beta}A^{\alpha}A^{\beta} \end{aligned} という式により,gμνAμAνg_{\mu \nu}A^{\mu}A^{\nu}はスカラーであるとわかるので,これをもって反変ベクトルの大きさを定義することにします。

内積の定義

(A,B):=gμνAμBν (A, B) := g_{\mu \nu}A^{\mu}B^{\nu} もスカラーであることを証明します。

証明

反変ベクトル Aμ,BμA^\mu,B^\mu に対して, Aμ+λBμ A^\mu + \lambda B^\mu という新たな反変ベクトルを考える。このベクトルの大きさを考える。 gμν(Aμ+λBμ)(Aν+λBν)=gμνAμAν+gμνBμBν+2λgμνAμBν\begin{aligned} g_{\mu\nu} (A^\mu + \lambda B^\mu)(A^\nu + \lambda B^\nu) = g_{\mu\nu} A^\mu A^\nu + g_{\mu\nu} B^\mu B^\nu + 2\lambda g_{\mu \nu}A^{\mu}B^{\nu} \end{aligned} gμν(Aμ+λBμ)(Aν+λBν),gμνAμAν,gμνBμBνg_{\mu\nu} (A^\mu + \lambda B^\mu)(A^\nu + \lambda B^\nu), g_{\mu\nu} A^\mu A^\nu,g_{\mu\nu} B^\mu B^\nu はベクトルの大きさで一定であるから, gμνAμBνg_{\mu \nu}A^{\mu}B^{\nu} も一定でなければならない。これにより題意は示された。

よって,これをもって2つの反変ベクトルの内積を定義します。

計量テンソルはテンソルである

反変ベクトル Aμ,BμA^\mu,B^\mu に対して,内積は一定であるから, gμνAμBν=gμνAμBν=gμνxμxμxνxνAμBν g_{\mu'\nu'}A^{\mu'}B^{\nu'} = g_{\mu \nu}A^{\mu}B^{\nu} = g_{\mu \nu}\dfrac{\partial x^{\mu}}{\partial x^{\mu'}}\dfrac{\partial x^{\nu}}{\partial x^{\nu'}}A^{\mu'}B^{\nu} 反変ベクトル Aμ,BμA^\mu,B^\mu は任意に取れるので, gμν=xμxμxνxνgμν g_{\mu'\nu'} = \dfrac{\partial x^{\mu}}{\partial x^{\mu'}}\dfrac{\partial x^{\nu}}{\partial x^{\nu'}}g_{\mu \nu} よって,計量テンソルは(0,2)テンソルです。

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