静電気力とクーロンの法則
を静電気力(クーロン力)とすると,距離 離れた電気量 の電荷と電気量 の電荷間に働く力は
で表される。ただし, は比例定数, は誘電率である。
電磁気学に登場する「静電気力(クーロン力)」や「クーロンの法則」について,意味,公式,利用例等を詳しく解説します。
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静電気力(クーロン力)
静電気力(クーロン力)
電荷は同じ符号を持つもの同士なら反発しあい(斥力),違う符号同士なら引き付けあいます(引力)。 この電荷同士に働く力のことを一般的に静電気力,もしくはクーロン力と呼びます。
クーロンの法則の公式
クーロンの法則の公式
実際に静電気力 は以下の公式で表されます。
ただし, は比例定数, は誘電率, と は各電荷の電気量, は電荷間の距離(単位はm)です。 は電荷がもう一つの電荷から離れる向きが正です。 や が大きかったり,二つの電荷の距離 が小さかったりすると の絶対値が大きくなることがわかります。 これは直感にも合致しているのではないでしょうか。
クーロン定数
はクーロン定数とも呼び,電荷が存在している空間がどこであるかによって値が変わります。 真空中だと 程度をとります。 は
で表されます。
は誘電率で,真空の誘電率の場合 で表されることが多いです。 比誘電率を として とすることもあります。
クーロンの法則からわかる性質
先ほど静電気力は同じ符号なら反発し,違う符号なら引き付け合うと述べました。 と が同じ符号なら( と ,または と ということになります) は正になり,違う符号なら( と ) は負になりますから, が正なら斥力, が負なら引力ということになります。
少し定性的にクーロンの法則から電荷の動きの説明をします。 が正の時は電荷が離れたがるということなので が大きくなります。 の式をみればわかるように, が大きくなると は小さくなります。 最終的には が無限に大きくなり,働く力 も が限りなく0に近くなるまで働き続けます。
が負の時は電荷が近づきたがるということなので が小さくなります。 の式により が小さくなると の絶対値が大きくなります。ふたつの電荷が近くなればなるほど力は強くなります。
電荷が近づいていくと,やがて電荷はくっついてしまうのでしょうか。電荷同士がくっつくという現象は古典的な電磁気学ではあつかうことができません。なぜなら,くっつくと になってしまい,クーロン力が無限大になってしまうからです。このように,古典的な電磁気学では扱えない問題が存在することがあり,高校物理ではそのような状況を考えてはならないことになっています。極微なものを扱うには,さらに現代的な別の物理の分野(量子力学など)が必要になります。
真空中にそれぞれ の電気量と の電気量をもつ電荷粒子がある。 粒子間の距離が の時,粒子同士に働く力の大きさとその向きを答えよ。 クーロン定数は とする。
クーロンの法則を用いると静電気力をとして,
です(有効数字に気をつけましょう)。 したがって大きさは で,向きは が負のため「引き付け合う方向」となります。
クーロンの法則はこれから電場や位置エネルギーを理解する際にも使います。 少々難しい形をしていますが,意味を考えると覚えやすいと思うので頑張りましょう!