大学物理の内容と必要な数学の分野
大学で学ぶ物理をしっかり理解するには数学の知識が不可欠です。
物理と数学の比較
物理と数学の比較
数学と物理は密接な関係があります。明確に線引はできませんが,私は以下のように理解しています。
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物理学は世の中の現象を記述し,役に立ちます。しかし,あくまで実験結果を元にした仮説や近似の上に成り立つ理論です。物理学者にとって数学は道具です。
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数学は厳密で美しいです。しかし抽象的過ぎて何の役に立つのかよく分からないこともあります。数学者にとって物理の文献は厳密でなく読みにくいことが多いです。
ちなみに私は厳密で美しい数学の方が好きですが,抽象的過ぎるとつまらなく感じます。つまり,数学の世界ではやや物理寄り(応用寄り)の人間です。
大学物理の勉強法
大学物理の勉強法
物理をやる人間にとって,数学は物理現象を記述するための道具です。物理の勉強をするときには道具を理解できていない(数学の知識が足りない)のか道具を使いこなせていない(物理現象をモデルで表す部分が理解できていない)のか区別することが重要です。
以下では前者の問題点にフォーカスして,大学で学ぶ物理の内容と必要な数学を大雑把に述べます。
この記事ではざっくりと以下の二つに分類して紹介します。
1:主に力学,電磁気学を中心とした古典物理学
2:量子力学を中心とした現代物理学
ただし,数学についても物理についても大学で何を学ぶかは大学や学部によって全く異なります。そのため以下はあくまで参考ということで。
古典物理学と必要な数学
古典物理学と必要な数学
理学系・工学系の学部では主に大学1,2年で古典物理学の基礎的なことを学びます。
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古典力学:微分方程式
→運動方程式は二階の微分方程式です。質点だけでなく大きさを持った剛体も扱います。慣性モーメントなどを計算する際には面積分や体積積分が必要になります。 -
古典電磁気学:ベクトル解析,微分方程式
→静電場,静磁場,電場と磁場の相互作用などを学びます。電磁気学の基本法則を記述するのに必要なベクトル解析で多くの人が苦戦します。マクスウェル方程式は偏微分方程式です。力学よりも必要とされる数学がやや高度。 -
熱力学:偏微分
→エントロピーとか学びます。熱力学の基礎的な部分はあまり高度な数学を必要としませんが,偏微分に慣れておく必要があります。 -
振動・波動論:フーリエ解析
→弦や質点の振動を扱います。フーリエ級数展開,フーリエ変換という道具を使います。 -
解析力学:変分法
→ニュートンの運動方程式を変分法を用いて言い換えると解析力学の基本方程式であるオイラーラグランジュ方程式となります。 -
流体力学:偏微分方程式,数値解析
→ナビエ・ストークス方程式は偏微分方程式。流体力学ではシミュレーション(数値実験)が重要。 -
特殊相対性理論
→ローレンツ変換,光速度不変の原理など。非常に面白い上に高度な数学は必要としません。しかし,古典力学と異なり直感に反するので理解するのは簡単ではありません。 -
一般相対性理論:非ユークリッド幾何学
→曲がった空間を扱うための幾何学が必要になります。
現代物理学
現代物理学
- 量子力学:線形代数,微分方程式
→ミクロな世界を扱います。基本方程式はシュレディンガー方程式です。直感と反するので非常に理解しにくいです。
他にも現代物理学の分野としては,基礎理論として「量子統計力学」「場の量子論」などがあり,研究対象として「物性物理学」「素粒子物理学」「宇宙物理学」などがありますが,自分はそのあたりの知識がないので,どのような数学が必要なのかは分かりませんm(__)m
追記:相対論は現代物理学だと勘違いしていましたが,相対論は普通は古典力学の範疇に含めるようです。ご指摘してくださった方に感謝申し上げます。
私は高校時代,数学よりも物理に時間を費やしたという過去があります。