C1級関数,Cn級関数などの意味と具体例

一変数関数 f(x)f(x) が以下を満たすとき,C1C^1 級関数であるという。

  • 微分可能
  • f(x)f'(x) が連続

一般に nn 回微分可能で nn 次導関数が連続である関数を CnC^n 級関数という。

任意の正の整数 nn について CnC^n 級である関数を CC^{\infty} 級関数という。

連続微分可能,連続的微分可能と言うこともあります。

扱いやすい関数とその具体例

関数が「それなりに扱いやすい」ときに成り立つ定理はたくさんあります。そこで,いろいろなレベルの扱いやすさ(滑らかさ)について考えてみます。

上に行くほどゆるい条件,下に行くほど強い条件(より扱いやすい関数)です。

  • 連続
  • 微分可能
  • C1C^1 級(連続的微分可能)
  • CnC^n 級(n>1n > 1
  • CC^{\infty}

連続性,微分可能性については関数の連続性と微分可能性の意味と関係をどうぞ。CC^{\infty} 級については後述します。

下に行くほど滑らか!

  • y=y=xx の整数部分」,という関数は連続でない。
  • y=xy=|x| は連続だが(x=0x=0 で)微分可能でない。
  • 微分可能だが C1C^1 級でない例は後述。
  • y={x2(x0)x2(x<0)y=\begin{cases} x^2&(x \geq 0)\\ -x^2&(x < 0)\end{cases} は微分可能で,導関数は f(x)=2xf'(x)=2|x| となり連続なので C1C^1 級。しかし,f(x)f'(x)x=0x=0 で微分不可能なので C2C^2 級でない。
  • 全ての多項式,sinx,cosx,ex\sin x,\cos x,e^x は何回でも微分できるので CC^{\infty}

注意すべき具体例

「微分可能+導関数が連続→ C1C^1 級」でしたが,普段お目にかかる関数はだいたい微分可能なら導関数も連続です。

ただし,微分可能だからと言って導関数が連続とは限らない,という珍しい例もあるので注意が必要です。

有名な例

f(x)={x2sin1x(x0)0(x=0) f(x)=\begin{cases}x^2\sin \dfrac{1}{x}&(x\neq 0)\\0 &(x=0)\end{cases}

は微分可能だが C1C^1 級関数ではないことを確認せよ。

証明

・微分可能であることの確認

まず,x=0x=0 における微分係数について考える。
limh0f(0+h)f(0)h=limh0hsin1h \lim_{h\to 0}\dfrac{f(0+h)-f(0)}{h}=\lim_{h\to 0}h\sin\frac{1}{h} ここで,1sin1h1-1\leq \sin\frac{1}{h} \leq 1 であるのではさみうちの原理より f(0)f'(0) が存在してその値は 00

また,00 以外の点については慣れ親しんだ初等関数の組合せであり,通常通り積の微分公式などで計算できる: f(x)=2xsin1xcos1xf'(x)=2x\sin\frac{1}{x}-\cos\frac{1}{x}

・導関数が連続でないことの確認

f(0)=0f'(0)=0 だったが,

limh0f(h)=limh0(2hsin1hcos1h)\displaystyle\lim_{h\to 0}f'(h)=\lim_{h\to 0}\left(2h\sin\frac{1}{h}-\cos\frac{1}{h}\right) は存在しない(二項目が振動する)。

なお,x3sin1xx^3 \sin \dfrac{1}{x} で同様の計算をすると C1C^1 級ですが x=0x=0 で2回微分はできないことが分かります。

一般化

fn(x)f_n (x)fn={xnsin1x(x0)0(x=0) f_n = \begin{cases} x^n \sin \dfrac{1}{x} & (x \neq 0)\\ 0 & (x=0) \end{cases} とおく。

  • n=2mn = 2m であれば mm 回微分可能であるが,CmC^m 級ではない。
  • n=2m+1n = 2m+1 であれば CmC^m 級であるが,m+1m+1 回微分可能ではない。

一般化

〜高階微分へ〜

  • nn 回微分可能で,nn 次導関数が連続であるような関数を CnC^n 級,nn 回連続的微分可能などと言います。
  • 何回でも微分可能な関数を CC^{\infty} 級,無限回微分可能などと言います。
  • さらに,CωC^{\omega} 級というクラスもあります。べき級数展開可能(テイラー展開できる)という意味です。CωC^{\omega} 級なら CC^{\infty} 級ですが,逆は成立しません。無限回微分可能でもテイラー展開できない(剰余項 0\to 0 とならない)場合があるからです。→テイラーの定理とテイラー展開~例と証明
    例えば,f(x)={e1x(x>0)0(x0) f(x) = \begin{cases} e^{-\frac{1}{x}} &(x> 0)\\ 0 &(x\leqq 0) \end{cases} CC^{\infty} 級だが CωC^{\omega} 級でない例として有名です。x=0x=0 で無限回微分可能ですが剰余項はずっと e1xe^{-\frac{1}{x}} です。

〜多変数へ〜

  • 多変数関数に関しても,「nn 階の全ての種類の」偏導関数が存在してそれらが連続なとき CnC^n 級と言います。例えば,f(x,y)f(x,y)C2C^2 級とは,偏導関数 fxx,fxy,fyx,fyyf_{xx},f_{xy},f_{yx},f_{yy} が存在してそれらが全て連続であることを表します。

世の中いい関数もいれば悪い関数もいるというわけですね。