関数の連続性と微分可能性の意味と関係

連続,微分可能の大雑把な意味
  • 連続とは,関数のグラフがつながっていること。
  • 微分可能とは,関数のグラフが滑らかであること。
  • 連続・微分可能の定義
  • 微分可能なら連続であることの証明
  • 連続でも微分可能とは限らない例

を解説します。

連続性,微分可能性の定義

連続とは大雑把には「グラフがつながっていること」です。きちんと言うと以下のようになります。

連続性の定義

以下の条件を満たすとき,関数 f(x)f(x)x=ax=a で連続と言う:

  • limxaf(x)\displaystyle\lim_{x\to a}f(x) が存在してその値が f(a)f(a) に等しい

次は「微分可能」の定義を説明します。微分可能とは,大雑把には「グラフが滑らか」という意味です。

微分可能性の定義

以下の条件を満たすとき,関数 f(x)f(x)x=ax=a で微分可能と言う:

  • limh0f(a+h)f(a)h\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{f(a+h)-f(a)}{h} が存在する。

上記の極限値を x=ax=a における微分係数と呼び,f(a)f'(a) と書きます。

「微分係数が存在する」→「x=ax=a での接線の傾きが1通りに定まる」→ 「グラフが滑らか」と解釈できます。

区間における連続性,微分可能性

以上の定義は x=ax=a での連続性,微分可能性と言うローカルなものでした。ローカルな定義を用いてグローバルな連続性,微分可能性も定義されます:

  • 区間 II 内の任意の点で f(x)f(x) が連続なとき,f(x)f(x) は区間 II で連続と言う。
  • 区間 II 内の任意の点で f(x)f(x) が微分可能なとき,f(x)f(x) は区間 II で微分可能と言う。

注:定義域全体で連続な関数を単に「連続関数」,定義域全体で微分可能な関数を単に「微分可能な関数」と言うことが多いです。

以下ではローカルな連続性と微分可能性の関係を考察します。

微分可能なら連続

重要な定理1

関数 f(x)f(x)x=ax=a で微分可能なら x=ax=a で連続。

大雑把には「グラフが滑らかならつながっている」という意味です。

証明

x=ax=a で微分可能

limh0f(a+h)f(a)h\displaystyle\lim_{h\to 0}\dfrac{f(a+h)-f(a)}{h} が存在する(有限の値となる)

limh0{f(a+h)f(a)}=0\displaystyle\lim_{h\to 0}\{f(a+h)-f(a)\}=0

limh0f(a+h)=f(a)\displaystyle\lim_{h\to 0}f(a+h)=f(a)

limxaf(x)\displaystyle\lim_{x\to a}f(x) が存在してその値が f(a)f(a) に等しい

x=ax=a で連続

連続でも微分可能とは限らない

重要な定理2

関数 f(x)f(x)x=ax=a で連続でも x=ax=a で微分可能とは限らない。

大雑把には「グラフがつながっていても滑らかとは限らない」という意味です。例としては絶対値関数が非常に有名です。

例題

y=xy=|x|x=0x=0 で連続だが微分可能でないことを確認せよ。

  • limh0f(h)=0=f(0)\displaystyle\lim_{h\to 0}f(h)=0=f(0) なので x=0x=0 で連続
  • f(h)f(0)h=hh\dfrac{f(h)-f(0)}{h}=\dfrac{|h|}{h}hh が右から 00 に近づく場合は 11,左から 00 に近づく場合は 1-1 となるので極限値は存在しない。つまり微分不可能。

関連する話題として,関数の右極限,左極限と連続性 があります。

連続関数でありながらいたるところ微分不可能であるような,直感的に想像しがたい複雑な関数もあります(ワイエルシュトラス関数)。

Tag:数学3の教科書に載っている公式の解説一覧