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運動方程式〜ニュートンの第2法則〜

更新日時 2021/04/11
ニュートンの運動方程式

慣性系において,慣性質量 mm の質点が加速度 a\boldsymbol{a} で動いていて,力 F\boldsymbol{F} が働いているとき,ニュートンの運動方程式: ma=F m \boldsymbol{a} = \boldsymbol{F} が成立する。力の大きさは慣性質量と加速度の大きさに比例する。

力学に登場する「運動方程式」(英:Equation of Motion, EOMと略されることもある)について,意味,利用例等を詳しく解説します。

ちなみに,慣性系とは,第1法則「慣性の法則」によって定義されます。慣性系については慣性の法則〜ニュートンの第1法則〜で紹介します。

目次
  • ニュートンの運動方程式の物理的意味

  • 運動方程式の利用例

  • 運動方程式から導かれる法則

  • 【発展】相対性理論では成立しなくなっていく

ニュートンの運動方程式の物理的意味

実は物理学において「運動方程式」と呼ばれるものは一つではありません。例えば,

等が挙げられます。

しかし,高校生であれば「ニュートンの運動方程式」を真っ先に想起すると思います。運動方程式は,ニュートンの3つの基本原理のうちの2つめとして数えられる,力学においてもっとも重要な式です。

そもそも力とは?

そもそも「力」とは何なのでしょうか。物理において,「力」は「物体に対してなんらかの働きかけをし、物体の状態を変えるもの」と定義されます。

しかし,どの程度の大きさであればどれくらいのものがどれほど動くのか,またどの方向に力を加えたら物体はどの方向に動くのか・・・など曖昧な部分が多いです。

そこで,力は,運動方程式 ma=Fm\boldsymbol{a} = \boldsymbol{F} があって初めて定量的に理解されるものと考えてみましょう。ちなみに,この式から,力は「ベクトル量」であることに注意してください。

ある時刻において, F\boldsymbol{F} という力が働いている物体は,加速度 a\boldsymbol{a} が完全に決まっており,運動方程式により a(t)=Fm \boldsymbol{a}(t) = \dfrac{\boldsymbol{F}}{m} という量にピタリと決まります。力は加速度を決定する重要な概念なのです。

重い物体ほど大きな力が必要

重い荷物を運ぶときは,大きな力が必要であることをみなさんは経験的に知っていると思います。運動方程式にもそのことが現れています。質量が m,100mm,100m である2つの物体 A,BA,B を考えてみましょう。A,BA,B の運動方程式は以下のようになります: maA=FA100maB=FB\begin{aligned} m a_A &= F_A\\ 100m a_B &= F_B \end{aligned} 面倒なので,ある決まった方向での1次元で運動するとして,スカラー量でもって表しました。

これらの物体の加速度がどちらも α\alpha になるように力を加えます。このためには,AAmαm\alpha の力,BB100mα100m\alpha の力が必要です。質量に比例して,必要な力が大きくなってしまいました。経験的に知っていることが,運動方程式にも現れています。

運動方程式は証明,導出はできない

先にも述べた通り,運動方程式は力学における基本原理の1つです。つまりこの式は,数多の物理学者がたくさんの実験を繰り返し,データと照らし合わせて,正しいことが実験的に認められているものであるということです。

したがって,数学の定理にように,正しさを証明したり,他の法則から導出したりすることができるものではありません。

物理の教科書は,わかりやすさや実用性を重視してかかれていることが多いです。ただそのことを押し出そうとするあまり,何を世界のことわりとして受け入れて,そこから何が導出されるのか,という理論物理の楽しさが失われているように感じます。物理を勉強される方々には,この点を曖昧にしないで欲しいと思います。

できるだけ少なくて簡潔な原理だけを認め,そこから全てが導ける!ということこそが理論物理の最大の美しさであると私は考えています。もちろん,全ての物理学の分野においてそのような理解ができるとは限りません。しかし,力学や電磁気学,相対性理論などのすでに確立された分野においては,ちゃんと勉強すれば,感動ポイントがたくさん広がっていることに気づくと思います。このサイトを,そのような感動を分かち合える場にしたい,というのが私の1つの大きな目標です。

運動方程式の利用例

等速運動

運動方程式において F=0\boldsymbol{F} = \boldsymbol{0} とすると, a=0(    dvdt=0) \boldsymbol{a} = \boldsymbol{0} \left(\iff \dfrac{d\boldsymbol{v}}{dt} = \boldsymbol{0}\right) となります。この式を積分することを考えます。t=0t = 0 において速度が v0\boldsymbol{v_0} であったとすれば v=v0 \boldsymbol{v} = \boldsymbol{v_0} となります。

つまり,力が働いていない物体は等速で運動を続けることになります。

等加速度運動

時間に寄らない一定のベクトル f\boldsymbol{f} を用いて,F=f\boldsymbol{F} = \boldsymbol{f} とすると, a=fm \boldsymbol{a} = \dfrac{\boldsymbol{f}}{m} となります。これは加速度が一定の運動になります。

つまり,一定の力が働いている物体は等加速度で運動を続けます。→等加速度運動・等加速度直線運動の公式

運動方程式から導かれる法則

運動量保存則やエネルギー保存則は高校物理でよく登場する法則です。ただ,これらの法則は運動方程式により導出される法則であって,原理ではないということをきちんと意識している人はあまり多くないと思います。運動方程式はそれほど偉大な式なのです。これらの導出については,長くなってしまうので,別の記事でまとめようとおもいます。

物理量同士には,以下のような関係があり,これらは全て運動方程式から導かれます。

【発展】相対性理論では成立しなくなっていく

運動方程式が偉大な式であることを主張してきましたが,相対性理論等,より近代的な物理において,一般的な状況では成立しなくなってくることがわかっています。つまり,ニュートンの運動方程式はある特殊な状況のみで,近似的に成立するということです。詳しくはこちらの記事を覗いてみてください。→相対論的力学

ただ,相対論における特殊な状況とは,速度が光に比べて遅いということであり,実験室や我々の普段の生活ではその誤差はほとんど現れません(現れないので近代まで気づかれなかったのですね)。日常生活においては,ニュートンの運動方程式を考えていれば十分なのです。

世界がf=maという単純な方程式で記述できるように作られている,というのはロマンがありますね。

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