赤方偏移・光のドップラー効果

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Einsteinの一般相対性理論は本当に正しいのか?という疑問を持たれた方もいるかもしれません。一般相対性理論は

  • 重力による光の湾曲
  • 水星の近日点移動
  • 赤方偏移

などによってその正しさが認められています。古典力学ではどうしてもうまく説明できなかった現象が,一般相対性理論では 説明できてしまうのです。その一例として,赤方偏移を取り上げてみます。

重力による赤方偏移

原点に星があって,その星が重力場を作っているとします。つまり,Schwarzschild解が適用できる状況を考えます。 星から aa だけ離れた静止点 AA での計量テンソルを gμν(A)g_{\mu\nu}(A), 星から bb だけ離れた静止点 BB での計量テンソルを gμν(B)g_{\mu\nu}(B) とすると, →一般相対性理論における固有時の節「重力による伸び縮み」における式: dτ=g00dt d\tau = \sqrt{-g_{00}} dt により, dτA=g00(A)dtA=12madtAdτB=g00(B)dtB=12mbdtB\begin{aligned} d\tau_A &= \sqrt{-g_{00}(A)} dt_A = \sqrt{1 - \dfrac{2m}{a}}dt_A\\ d\tau_B &= \sqrt{-g_{00}(B)} dt_B = \sqrt{1 - \dfrac{2m}{b}}dt_B \end{aligned} と表せます。ここで,dtA,dtBdt_A, dt_B は一般座標に変換する前の局所慣性系での微小時間間隔であるとします。

一旦,重力場がない場合の光の周期を考えます。星のある場所から,周期 Δt\Delta t の光を発したとすると, 重力場がなければ,AA の観測者が計っても,BB の観測者が計っても周期は Δt\Delta t となるはずです。

重力場があるときは,周期は A,BA,B それぞれの固有時で計った周期で観測されます。A,BA,B で観測される周期を, ΔτA,ΔτB\Delta \tau_A, \Delta \tau_B とすれば, Δt=12maΔtΔt=12mbΔt\begin{aligned} \Delta t &= \sqrt{1 - \dfrac{2m}{a}} \Delta t\\ \Delta t &= \sqrt{1 - \dfrac{2m}{b}} \Delta t \end{aligned} よって,A,BA,B で観測される光の振動数を νA,νB\nu_A,\nu_B とすると, νAνB=ΔτBΔτA=12mb12ma \dfrac{\nu_A}{\nu_B} = \dfrac{\Delta \tau_B}{\Delta \tau_A} = \sqrt{\dfrac{1 - \dfrac{2m}{b}}{1 - \dfrac{2m}{a}}} となります。a<ba< b なら,νB<νA\nu_B < \nu_A となり,波長は AA より BB の方が長くなります。これを,重力による赤方偏移と呼びます。

光のDoppler効果

光のDoppler効果

慣性系 SS で光源が速度 vv+x+x 方向に動いている状況を考えます。詳しい状況は上図 を参照してください。SSx=Lx = L にいる観測者は,光源を観測します。光源は,光源の静止系 SS' において,1f\dfrac{1}{f'} 秒ごとにフラッシュするとします。 つまり,OAOA 間は, t=1f t' = \dfrac{1}{f'} の時間間隔があるとします。OO でフラッシュした光は傾き1の OBOB を通って BB に達します。AA でフラッシュした光は傾き1の ACAC を通って CC に達します。

このとき,BCBC 間の時間間隔 1c=Δt\dfrac{1}{c} = \Delta t を求めることを考えましょう。 これが SS 系における周期に対応します。

AASS' における座標は (t,x)=(1f,0)(t',x') = (\dfrac{1}{f'}, 0) より,ローレンツ変換を適用すれば,AASS における座標は {ct=γcfx=γβcf=γvf \begin{cases} ct = \dfrac{\gamma c}{f'}\\ x = \dfrac{\gamma \beta c}{f'} = \dfrac{\gamma v}{f'} \end{cases} で表せます。よって SS の座標 (t,x)(t,x)B,CB,C を表すと, B(Lc,L),   C(γf+Lcγvfc,L) B\left(\dfrac{L}{c}, L\right), ~~~ C\left(\dfrac{\gamma}{f'} + \dfrac{L}{c} - \dfrac{\gamma v}{f'c}, L\right) これより, 1f=Δt=(γf+Lcγvfc)Lc=γf(1vc)=1vc1+vc 1f \dfrac{1}{f} = \Delta t = \left(\dfrac{\gamma}{f'} + \dfrac{L}{c} - \dfrac{\gamma v}{f'c}\right) - \dfrac{L}{c} = \dfrac{\gamma}{f'}\left(1 - \dfrac{v}{c}\right) = \sqrt{\dfrac{1-\dfrac{v}{c}}{1+\dfrac{v}{c}}}~\dfrac{1}{f'} 1vc1 - \dfrac{v}{c} は古典的なDoppler効果でもみられた成分ですが,γ\gamma がかかっているのが相対論的な効果であると言えます。

重力による赤方偏移と光のDoppler効果を合わせたものが,実際に観測される赤方偏移となります。

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