Aμをdx,dyの順で平行移動することを考えます。
まず,スタート地点 x での共変ベクトル Aμ を x+dx まで平行移動すると,
Aμ+dAμ=Aμ+ΓμνσAσdxν
となります。これをさらに,dy だけ並行移動させると,
Aμ+dAμ+d(Aμ(x+dx))
となります。ここで,第3項については,
d(Aμ(x+dx))=Γμνσ(x+dx)Aσ(x+dx)dyν
であり,
Γμνσ(x+dx)Aσ(x+dx)≈Γμνσ(x)+∂xρ∂Γμνσdxρ≈Aσ+ΓσβαAαdxβ
を代入して,3次以上を無視すれば,
Aμ+dAμ+d(Aμ(x+dx))≈Aμ+ΓμνσAσdxν+(Γμνσ+∂xρ∂Γμνσdxρ)(Aσ+ΓσβαAαdxβ)dyν=Aμ+ΓμναAσdxν+ΓμναAσdyν+ΓμνσΓσβαAαdxβdyν+∂xρ∂ΓμνσAσdxρdyν
これと同様に,dy,dxの順で平行移動すると(単にdx,dy を入れ替えれば済みます),
Aμ+dAμ+d(Aμ(y+dy))=Aμ+ΓμναAσdyν+ΓμναAσdxν+ΓμνσΓσβαAαdyβdxν+∂xρ∂ΓμνσAσdyρdxν
これら二つの異なる経路を通って平行移動させた時の差を計算すると,
(ΓμνσΓσβα−ΓμβσΓσνα+∂xβ∂Γμνα−∂xν∂Γμβα)Aαdxβdyν=RμνβαAαdxβdyν
となって,ここに曲率テンソルが出現します。曲がっていない平面上であれば,別の経路を通って平行移動しても,差は生まれないはずです。
これは曲率テンソルが 0 になることと合致する。また,曲がっている平面上だと,別の経路を通って平行移動すれば,
差が生まれることがあるでしょう。その差が曲率テンソルに依るのです。これらの直感的な議論と曲率の定義はよく一致することが確かめられます。
式の形から曲率テンソルは単位面積あたりの曲がり具合に関係することがわかります。dxβ,dyν が微小であれば,ピンポイントで
x における曲がり具合を表すと言えるでしょう。