ニュートンの重力場方程式とエネルギー・運動量テンソル
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エネルギー・運動量テンソル
エネルギー・運動量テンソル
→相対論的力学の議論により,質点に対し, ここで, であるから, このことから,静止しているとき に見えていたエネルギーは,速度 で動くと になって見えると言えます。
これは質点以外にも言えるはずです。連続的に質量が分布する空間において,静止している密度に対し,エネルギー密度が に見えていたとき,その密度が速度 で動くと, に見えるはずです。
ただ,ローレンツ収縮により,進行方向 倍に縮むので,体積は 倍増えます。よって,エネルギー密度は に見えるはずです。
運動量密度についても同じことが言えます。 は速度 で動いている時, に見えるはずです。
式 について,これらは4元速度を利用すると簡単な形で表せます。 ここで, についている はエネルギーと運動量の次元合わせのためにつけられているものです。特に意味はないと考えて良いでしょう。
このことから,新たなテンソルを定義します。
ある連続な物理系の4元速度 ,その対象が静止している系で観察した密度が とするとき,エネルギー・運動量テンソル とよばれる量を以下に定義します(節の前半の推論は完全な議論に基づくわけではないです。単にエネルギー・運動量テンソルがどのように考え出されたのかの一例を示しただけであり,定義だけを認めれば良いです。ただ,Einsteinの重力場方程式にも登場するような本質的なテンソルであるので,定義だけを認めれば良い,というのはあまりにも味気ないと思い推論的な考察を載せました)。 この量は定義から明らかに(2,0)テンソルです。これを成分ごとに計算すると, ちなみに, の部分は古典物理的には応力テンソルを表します。ここからの議論には関係ないので省略しますが,気になる方は流体力学の教科書等を参照してください。
Newtonの重力場方程式
Newtonの重力場方程式
位置 にある質量 の質点が位置 につくる重力ポテンシャルは,古典力学では, と表せました。では質点が複数になり, には質量 の質点があるとします。このとき, における重力ポテンシャルは で表せます。質量分布が連続的になった場合は,以下のようになります。 ここで は によって位置が指定される微小体積です。ここで一般に,ベクトル解析の定理として以下のようなものがあります:
の領域 と,その外で0になる関数 に対して, はPoisson方程式: の特殊解である。
証明は以下の記事をご覧ください→デルタ関数でポアソン方程式の特殊解・境界条件下の解の一意性を導出。
このことを利用すると, よって, が成立します。
この式を,Newtonの重力場方程式といいます。ちなみに,この方程式を,無限遠で となるという境界条件を入れて解けば, 解は式 に限られることが数学的に知られています。