平行移動

更新日時 2021/03/28

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曲がっている空間では我々が扱ってきたような「平行移動」はどのように再定義できるでしょうか。

目次
  • より高次元な空間を考える

  • まがった空間における平行移動の定義

より高次元な空間を考える

曲がった空間での平行移動はどのように考えたら良いかを以下に示します。まず曲がった空間を包含する, より高次元(ここではNN次元空間とします)の曲がっていない空間における座標yny^nを考えましょう。ここで,曲がっていない空間とは計量テンソルが定数のみで構成されるような空間をさします。 NN次元空間における不変距離ds2ds^2に対し,定数のみで構成される計量テンソル hnmh_{nm} を用いて(これは gμνg_{\mu\nu} とは異なります) ds2=hnmdyndym ds^2 = h_{nm} dy^n dy^m と表すことができます。曲がった空間(これから簡単のため曲面と呼ぶことにします)内のxμx^{\mu}は,NN次元空間内の点でもあるので,yn(x)y^n(x)と書くことにします。曲面上の微小変位δyn\delta y^nは, δyn=ynxμδxμ(1) \delta y^n = \dfrac{\partial{y^n}}{\partial{x^\mu}}\delta x^\mu \tag{1} とかけるから, δs2=hnmynxμymxνδxμδxν\begin{aligned} \delta s^2 &= h_{nm}\dfrac{\partial{y^n}}{\partial{x^\mu}}\dfrac{\partial{y^m}}{\partial{x^\nu}}\delta x^\mu\delta x^\nu \end{aligned} です。 さて,曲面における微小距離は, ds2=gμνδxμδxν ds^2 = g_{\mu \nu}\delta x^\mu\delta x^\nu これら2式を比較すれば, gμν=hnmynxμymxν g_{\mu\nu} = h_{nm}\dfrac{\partial{y^n}}{\partial{x^\mu}}\dfrac{\partial{y^m}}{\partial{x^\nu}} とかけます。

ynxν=hnmymxν \dfrac{\partial{y_n}}{\partial{x^\nu}} = h_{nm}\dfrac{\partial{y^m}}{\partial{x^\nu}} と書けば, δs2=ynxμynxνδxμδxν \delta s^2 = \dfrac{\partial{y^n}}{\partial{x^\mu}}\dfrac{\partial{y_n}}{\partial{x^\nu}}\delta x^\mu\delta x^\nu と書くこともできます。

まがった空間における平行移動の定義

さて,微小な反変ベクトルに対しては,式 (1)(1) により, An=ynxμAμ A^n = \dfrac{\partial{y^n}}{\partial{x^\mu}}A^\mu が成立します。ここからベクトルの平行移動を考えます。x+dxx+dxにあるAμA^\muAn=An+An=ynxμ(x+dx)Kμ+An A^n = A^{n}_{接} + A^{n}_{法} = \dfrac{\partial{y^n}}{\partial{x^\mu}}(x+dx)K^\mu + A^{n}_{法} と書くことができます。ここでKμK^\mux+dxx+dxにあるベクトルです。さて,AnA^{n}_{接}AnA^{n}_{法}は垂直であるはずなので, hnmAnAn=hnmAnynxμ(x+dx)Kμ=0(2)\begin{aligned} h_{nm}A^n_{法}A^n_{接} &= h_{nm}A^n_{法}\dfrac{\partial{y^n}}{\partial{x^\mu}}(x+dx)K^\mu \\ &= 0 \tag{2} \end{aligned} x+dxx+dxは任意に取れるはずなので,KμK^\muを落として,式 (2)(2)Anynxμ(x+dx)=0 A^n_{法}\dfrac{\partial{y_n}}{\partial{x^\mu}}(x+dx) = 0 と同値になります。これより, Anynxν(x+dx)=ynxμ(x+dx)Kμynxν(x+dx)=Kμgμν(x+dx)=Kμ(x+dx)\begin{aligned} A^n \dfrac{\partial{y_n}}{\partial{x^\nu}}(x+dx) &= \dfrac{\partial{y^n}}{\partial{x^\mu}}(x+dx)K^\mu\dfrac{\partial{y_n}}{\partial{x^\nu}}(x+dx) \\ &= K^\mu g_{\mu\nu}(x+dx) = K_\mu(x+dx) \end{aligned} ここで, ynxν(x+dx)=ynxν(x)+2ynxσxνdxσ+(dxσの二次以上の項) \dfrac{\partial{y_n}}{\partial{x^\nu}}(x+dx) = \dfrac{\partial{y_n}}{\partial{x^\nu}}(x) + \dfrac{\partial^2 y_n}{\partial x^\sigma \partial x^\nu}dx^\sigma + \text{($dx^\sigma$の二次以上の項)} より, Kν(x+dx)An(ynxν(x)+2ynxσxνdxσ)=Aμynxμ(ynxν(x)+2ynxσxνdxσ)=gμνAμ+Aμynxμ2ynxσxνdxσ\begin{aligned} K_\nu(x+dx) &\approx A^n (\dfrac{\partial{y_n}}{\partial{x^\nu}}(x) + \dfrac{\partial^2 y_n}{\partial x^\sigma \partial x^\nu}dx^\sigma) \\ &= A^\mu \dfrac{\partial{y^n}}{\partial{x^\mu}} (\dfrac{\partial{y_n}}{\partial{x^\nu}}(x) + \dfrac{\partial^2 y_n}{\partial x^\sigma \partial x^\nu}dx^\sigma) \\ &= g_{\mu\nu}A^\mu + A^\mu \dfrac{\partial{y^n}}{\partial{x^\mu}}\dfrac{\partial^2 y_n}{\partial x^\sigma \partial x^\nu}dx^\sigma \end{aligned}

ここで, dAν:=Aμynxμ2ynxσxνdxσ dA_\nu := A^\mu \dfrac{\partial{y^n}}{\partial{x^\mu}}\dfrac{\partial^2 y_n}{\partial x^\sigma \partial x^\nu}dx^\sigma とすると, Kν(x+dx)=Aν+dAν K_\nu(x+dx) = A_\nu + dA_\nu と書くことができます。

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